必勝!社会保険労務士試験・第3回
本日は予定を変更して、先日合格発表が行われた「今年度の本試験」についてお話ししたいと思います。
今年度の本試験の合格基準点は以下のとおりでした。
1.選択式試験は、総合点26点以上かつ各科目3点以上(ただし、雇用保険法及び健康保険法は2点以上)である者
2.択一式試験は、総合点45点以上かつ各科目4点以上(ただし、労働及び社会保険に関する一般常識は3点以上)である者
総合点については、選択式・択一式ともおおむね各社の予想どおりでしたが、それぞれの救済科目については、相変わらず意外性のあるものとなりました。
選択式は、「労働に関する一般常識」が多くの受験生にとって「難問」だったのですが、ジンクス(選択労一は救済されない)どおりとなり、今年度も「あと1点」に泣かれた受験生も多かったのではないかと思われます。
ただ、これ(なぜ労一は救済されず、雇用・健保が救済されたのか)には全く理由がないわけではありません。
選択式の「難問」と言われるものには2種類あり、一つは「ほとんどの受験生が全く見たことも聞いたこともない問題」、もう一つは「テキスト等には記載されているが、非常に細かい知識を問いかけてくる問題」です。
通称、前者の方を「文章問題」、後者の方を「知識問題」といいます。
「文章問題」の場合は、その場で前後の文章をヒントに正解肢を見つけて行くことになりますが、受験生全員が横一線になる(受験勉強をしっかりされた方とそうでない方の差が着きにくい)問題になります。結果として「当たる」確率が高くなり、得点分布に偏りが生じにくくなります。
「知識問題」の場合は、受験勉強をしっかりされた方のみが得点することができることになります。結果として多くの受験生は低得点となり、得点分布に偏りが生じやすくなります。
今年度の選択式では、「文章問題」が労働に関する一般常識(救済なし)、「知識問題」が健康保険法(救済あり)でした。
一方、択一式は、「労働及び社会保険に関する一般常識」が最も難しい科目でした。ただ、もともとこの科目は(範囲が膨大であるため)高得点が狙えるものではなく、「4点死守」の科目と言われています。毎年の試験を見ていても、受験勉強をしっかりされた方であれば、4点は必ず取れる問題構成となっています。
ちなみに、今年の一般常識もそのような問題構成だったのですが、模擬試験などで高得点を上げておられた方の中に、何故か「3点」しか取れなかった(思わぬミスをしてしまった)方が多くいらっしゃいました。(8年ぶりの択一式救済があったため、結果として事なきを得ましたが・・・)
「取れるはずの4点をどうして取れなかったのか」について私なりに考えてみました。そこで思いあたったのが、「試験当日独特の雰囲気と時間の流れ」です。
試験当日は、誰しも自分が思っている以上に緊張しています。目には見えませんが、実は全くといっていいほど普段と違う自分がそこにいることになります。
試験問題を解いて行くうちに、必要以上に神経をすり減らし、難問や奇問が前半に多くあればあるほど徐々に思考能力が麻痺して、思わぬところで勘違いをしてしまうのです。
今年度の択一式には、新しい問題のスタイルが登場しました。いわゆる「個数問題」と言われるもので、「正しいもの(誤っているもの)はいくつあるか」について答える問題です。(内容にかかわらず難問となります。)
「個数問題」は70問中4問出題されましたが、うち2問が労働基準法・労働安全衛生法、残りの2問が労災保険法(労働保険徴収法を含む)でした。つまり、試験の最初の2科目に集中していたため、これによって多くのスタミナを奪われ、あせりが生じてしまったことが思わぬミスを招いた原因ではないかと思います。
このようなことから、来年度の受験にあたって「文章問題」の解き方や「試験当日のシミュレーション」なども大切なトレーニングの一つとなります。
最後に、今年度の合格率は前年度(5.4%史上最低)と打って変わって、9.3%と近年にない高率となりました。このあたりについては、また別の機会にお話しさせていただきたいと思います。