「判例道場」第3回
【第2回解答】
大学新規卒業予定者で特定企業との間の採用内定者の地位は、一定の試用期間を付して雇用関係に入った者の試用期間中の地位と基本的には異なるところはないので、試用期間における留保解約権行使に関する法理が、採用内定期間中の留保解約権の行使についても同様に妥当するものと考えられる。したがって採用内定の取消事由は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限り認められる。
〔選択肢〕
B ① 契約期間 ② 存続期間 ③ 試用期間 ④ 研修期間
〔解説〕
- 科目「労働基準法」:難易度「普通」
- 解答根拠
最判昭和54.7.20「大日本印刷事件」
- 事案概要
学生Xは、会社Aの翌年3月卒業予定者の求人募集に応募し、7月に採用内定通知を受け、誓約書も送付したが、翌年2月にグルーミー(陰気)な印象であることを理由に採用内定を取り消されたため、その無効を訴えた事案
- 論点
採用内定の取消しは、どのような場合に有効となるのか
- 結論
「内定当時知ることができない事実」を理由とするものであれば有効(採用内定者の地位は、雇用後の試用期間中にある者と同等と認めることかができ、採用内定通知に対する誓約書等の提出は、解約権を留保した労働契約(※)が成立したものと解されるため)
※「解約権を留保した労働契約」とは、「就労開始時までに採用内定通知書や誓約書に記載された採用内定取消し事由が生じた場合には、使用者から労働契約を解除出来るとする合意が含まれている(特殊な)労働契約」のことをいう。
【第3回問題】
就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、 C 手続が採られていることを要する。
〔選択肢〕
① 所轄労働基準監督署長に届け出る ② その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる ③ 過半数労働組合又は労働者の過半数代表者の意見を聴く ④ 過半数労働組合又は労働者の過半数代表者の同意を得る