ろんてんのど飴(その2)
第2回は、労働安全衛生法(55)です。
1.「事業者」とは、法人企業であれば、当該法人(法人の代表者ではない。)、個人企業であれば、事業経営主を指す。(労働基準法上の「使用者」とは異なる。)(テキストP143~144)
2.「労働災害防止計画」は、厚生労働大臣(事業者ではない。)が策定する。(特別安全衛生改善計画及び安全衛生改善計画は、事業者が作成する。)(テキストP147、211~212)
3.総括安全衛生管理者は、当該事業場における事業の実施について実質的に統括管理する権限及び責任を有する者をもって充てなければならない。(総括安全衛生管理者となるために、特段の資格、免許、経験を有する必要はない。)(テキストP150)
4.安全管理者は、その事業場に専属の者(その事業場のみに勤務する者をいう。)を選任しなければならないが、2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、当該労働安全コンサルタントのうち1人(当該安全管理者のうち1人ではない。)については、事業場に専属の者でなくてもよい。
注)衛生管理者についても同様の規定がある。(上記中、安全管理者を衛生管理者に、労働安全コンサルタントを労働衛生コンサルタントに読替え)(テキストP150~151、152)
5.安全管理者については、衛生管理者と異なり、①定期巡視の「頻度」、②事業規模に応じた「選任数」についての規定が設けられていない。(テキストP151)
6.衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、産業医は、少なくとも毎月1回(事業者から毎月1回以上一定の情報の提供を受け、事業者の同意を得ている場合少なくとも2月に1回)作業場等を巡視しければならない。(テキストP153、158)
7.事業者は、安全衛生推進者(又は衛生推進者)を選任したときは、その安全衛生推進者(又は衛生推進者)の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。(総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医と異なり、所轄労働基準監督署長へ選任報告書を提出する必要はない。)(テキストP155~156)
8.常時3,000人を超える(以上ではない。)労働者を使用する事業場にあっては、2人以上の産業医を選任しなければならない。(テキストP156)
9.産業医は、その職務に関する事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができる。(安全管理者に対して指導し、若しくは助言することはできない。)(テキストP158)
10.作業主任者については、14日以内の選任義務や及び選任報告書の提出義務は課されていないが、当該作業主任者の氏名及び「その者に行わせる事項」(安全衛生推進者又は衛生推進者と異なり氏名のみではない。)を関係労働者に周知する必要がある。(テキストP160)
11.統括安全衛生責任者は、当該場所において、その事業の実施を統括管理する者をもって充てなければならない。(統括安全衛生責任者となるために、特段の資格、免許、経験を有する必要はない。)(テキストP164)
12.請負組織の安全衛生管理体制(統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、安全衛生責任者及び店社安全衛生管理者の選任義務等)の対象となる事業(特定事業)は建設業と造船業であるが、このうち元方安全衛生管理者及び店社安全衛生管理者については、建設業の元方事業者についてのみ選任義務がある。(テキストP164、166)
13.店社安全衛生管理者は、少なくとも毎月1回、労働者が作業を行う場所を巡視しなければならない。(テキストP166)
14.安全衛生責任者を選任した請負人は、統括安全衛生責任者を選任している事業者に遅滞なくその旨を通報しなければならない。(統括安全衛生責任者、元方安全衛生責任者、店社安全衛生管理者と異なり、当該場所を管轄する労働基準監督署長へ選任報告書を提出する必要はない。)(テキストP165)
15.請負組織の安全衛生管理体制において、事業場に専属の者を選任しなければならないのは元方安全衛生管理者のみである。(統括安全衛生責任者、店社安全衛生管理者及び安全衛生責任者については事業場に専属の者を選任しなくてもよい。)(テキストP164)
16.安全衛生管理体制の中で、「代理者選任義務」があるのは、名称が「管理者」又は「責任者」となっている者(総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者、安全衛生責任者)である。(テキストP150、152、154、164、165、167)
17.安全委員会(若しくは衛生委員会又は安全衛生委員会)の議長は、総括安全衛生管理者の選任対象事業場においては、必ず総括安全衛生管理者でなければならない。(総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者等を指名できるのは、総括安全衛生管理者の選任対象事業場以外の事業場の場合である。)(テキストP161、162)
18.安全委員会(若しくは衛生委員会又は安全衛生委員会)の委員は、議長を除く委員の半数(単に、委員の半数ではない。)を過半数労働組合又は労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名する必要がある。(テキストP161、162)
19.安全委員会を設置しなければならない事業場は、必ず衛生委員会を設置しなければならない事業場である。(安全委員会は、第1号又は第2号業種で、常時使用労働者数50人以上又は100人以上の事業場、衛生委員会は、業種を問わず、常時使用労働者数50人以上の事業場で設置義務がある。)(テキストP160、161)
20.安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会の「委員数」についての規定は置かれていない。(事業場の規模、作業の実態に即し、適宜に決定すべきものとされている。)(テキストP161)
21.産業医の衛生委員会の委員への指名は義務とされているが、作業環境測定士の衛生委員会の委員への指名は義務ではない。(委員として指名することができるとされている。)(テキストP162)
22.製造業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、「作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置」その他必要な措置を講じなければならないが、特定元方事業者の講ずべき措置と異なり「協議組織の設置及び運営を行うことに関する措置」を講じることは必要とされていない。(テキストP171、172)
23.特定機械等の製造時等検査は、特別特定機械等(ボイラー及び第1種圧力容器)については登録製造時等検査機関が行い、特別特定機械等以外の特定機械等については都道府県労働局長が行う。(テキストP176)
24.型式検定に合格した型式については型式検定合格証が交付されるが、個別検定について個別検定合格証といったものは存在しない。(テキストP180)
25.特定機械等は、定期自主検査の対象となるが、特定自主検査の対象となっていない。(テキストP181)
26.定期自主検査は事業者が行うこととされているが、特定自主検査(定期自主検査のうち、特に検査が技術的に難しい機械等の検査)については、その使用する労働者で一定の資格を有する者又は検査業者に実施させなければならない。(テキストP181)
27.特定機械等の製造許可は都道府県労働局長から受けるが、ジクロルベンジジン等の有害物の製造許可は厚生労働大臣から受ける。(テキストP175、182)
28.雇入れ時・西行内容変更時の教育については、安全管理者を選任すべき業種以外の業種(第3号業種)の事業場の労働者については、労働安全衛生規則に規定する教育内容の一部(危険性・有害性等に係る事項)を省略することができる。(テキストP187)
29.特別教育については、特別教育の受講者、科目等の記録を作成して3年間保存しなければならない。(雇入れ時、作業内容変更時の教育及び職長等教育については、記録の保存義務がない。)(テキストP187)
30.職長等教育が必要な業種は、①建設業、②製造業(一定のものを除く)、③電気業、④ガス業、⑤自動車整備業、⑥機械修理業に限られる。(テキストP188)
31.すべての「安全衛生教育」について、有知識者等(教育事項の全部又は一部について十分な知識及び技能を有していると認められる者)に係る教育の省略規定が置かれている。(テキストP187~188)
32.就業制限に係る業務は、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者等の有資格者でなければ、就くことができない。(テキストP189)
33.最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く。)は特別教育を必要とする業務であるが、最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転(道路上を走行させる運転を除く。)は就業制限の対象となる業務である。(テキストP187、189)
34.作業環境測定の結果の記録及び評価の記録の保存義務期間は、原則として3年間であるが、石綿の濃度については40年間とされている。(テキストP191~192)
35.作業時間に制限が設けられているのは、潜水業務と高圧室内業務である。(テキストP192~193)
36.雇入れ時の健康診断の対象となるのは、常時使用される労働者である。(雇入れ時の教育は臨時の労働者も対象となる。)(テキストP193、186)
37.雇入れ時の健康診断については、医師による健康診断を受けた後、3月(6月ではない。)を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する事項について省略することができる。(テキストP193~194)
38.特定業務従事者の健康診断は、特定業務(深夜業を含む業務、坑内における業務、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務など)への配置替えをした際及び原則として6月以内ごとに1回、定期に行わなければならない。(テキストP195)
39.給食の業務に従事する労働者に対する検便については、定期に行う必要はなく、雇入れ時と給食業務への配置換えの際に行えばよい。(テキストP196)
40.都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医(産業医ではない。)の意見に基づき、事業者に対し、臨時の健康診断の実施を指示することができる。(テキストP198)
41.自発的健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる労働者は、常時使用される労働者であって、当該健康診断を受けた日前6月間を平均して1月当たり4回以上深夜業に従事した者である。(テキストP198)
42.事業者による「医師又は歯科医師からの意見聴取」は、健康診断実施後3月以内(自発的健康診断の結果に基づく医師からの意見聴取は、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日から2月以内)に行う必要がある。(テキストP199)
43.健康診断実施後の事業者の行うべき措置として、「医師又は歯科医師からの意見聴取」は義務であり、「医師又は保健師による保健指導の実施」は努力義務である。(テキストP199、200)
44.健康診断結果報告書の所轄労働基準監督署長への提出義務が課されている事業者は、原則として「常時50人以上の労働者を使用する事業者」であり、その提出期限は、定期の健康診断を行った後「遅滞なく」である。(テキストP199)
45.事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対し、医師による面談指導を実施することとされているが、この面談指導は、「労働者の申出」により行う。(テキストP201)
46.長時間労働に係る面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後、「遅滞なく」行わなければならない。(健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取は、原則として、健康診断が行われた日から「3月以内」に行わなければならない。)(テキストP201)
47.事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えた労働時間が1月当たり100時間を超えた「新たな技術、商品又は役務の研究開発に従事する労働者」に対し、当該労働者からの申出の有無にかかわらず、医師による面接指導を行わなければならない。(テキストP202)
48.事業者は、1週間当たりの健康管理時間が40時間を超えた場合におけるその超えた時間について、1月当たり100時間を超えた高度プロフェッショナル制度の対象労働者に対し、当該労働者からの申出の有無にかかわらず、医師による面接指導を行わなければならない。(テキストP203~204)
49.常時使用する労働者数50人以上の事業場の事業者は、1年以内ごとに1回、定期に、心理的な負荷の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行わなければならない。(常時使用する労働者数50人未満の事業場については、当分の間、努力義務とされている。)(テキストP205、207)
50.ストレスチェックを行うことができるのは、医師・保健師に限られていない。(検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師も行うことができる。)(テキストP206)
51.健康管理手帳の交付は、該当者の申請に基づいて、当該業務に従事した事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長(離職の後に該当するものにあっては、その者の住所を管轄する都道府県労働局長)が行う。(テキストP208)
52.事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法に規定する受動喫煙をいう。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。(受動喫煙の防止は、義務ではない。)(テキストP209)
53.特別安全衛生改善計画の作成・提出を指示するのは厚生労働大臣であり、安全衛生改善計画の作成を指示するのは都道府県労働局長である。(テキストP211、212)
54.「特に大規模な建設業の仕事の計画に係る届出」は、当該仕事の開始の日の30日前までに厚生労働大臣に届け出なければならないが、「建設業及び土石採取業の仕事の計画に係る届出」は、当該仕事の開始の日の14日前までに労働基準監督署長に届け出なければならない。(テキストP213~214)
55.労働者死傷病報告書は、「死亡又は休業日数4日以上」の場合は遅滞なく、「休業日数4日未満」の場合は四半期ごとにそれぞれの期間における最後の月の翌月末日までに、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(テキストP216)