ろんてんのど飴(濃い味)1

本日から、毎週1回(2コマ)の授業の範囲に合わせて、週2回ペースで「基本論点」を掲載していきます。

第1回(範囲:労働基準法P12~28)50粒入り

1.法1条1項(労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。)の「労働条件」とは、「職場における労働者の一切の待遇」をいう。(一定の項目に限定されているわけではない。)

また、「人たるに値する生活」には、標準家族(その範囲は、その時その社会の一般通念によるとされ、具体的なものは定められていない。)の生活も含めて考えることとされている。(テキストP12)

2.法1条2項にいう「労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならない」とは、労働基準法に規定があることが決定的な理由となって、労働条件を低下させている場合をいうことから、社会経済情勢の変動等他に決定的な理由があれば、同条に抵触するものではない。(テキストP12)

3.法2条2項では、「労働者及び使用者は、労働協約(労使協定ではない。)、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」と規定されており、この遵守義務は、使用者のみならず、労働者にも課されている。(テキストP13)

4.法1条(労働条件の原則)と法2条(労働条件の決定)は、訓示的な規定であり、違反に対する罰則規定は置かれていない。(テキストP12~13、一部未記載)

5.法3条(均等待遇)にいう「差別的取扱い禁止」事項は、「国籍、信条又は社会的身分」に限定されている。(性別、人種その他の事項については、その対象となっていない。)(テキストP14)

【やってて良かったツモン式】

「明日の授業は?」「コク(国)、シン(信)、シャ(社)、みんな一緒(均等)だよ」(シンって?身体検査さ。)

6.法3条(均等待遇)にいう「信条」には、特定の宗教的信念のみならず、特定の政治的信念も含まれる。(テキストP14)

7.法3条(均等待遇)により差別的取扱い禁止の対象となる「労働条件」は、すべての労働条件(職場における一切の待遇)である。したがって、賃金、労働時間のほか、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件も含まれる。(テキストP14)

8.法3条(均等待遇)は、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない。したがって、使用者は、いかなる者を雇い入れ、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として、自由にこれを決定することができる。(テキストP14)

9.法4条(男女同一賃金の原則)は、「賃金」についてのみ差別的取扱いを禁止したものであり、その他の労働条件についての差別的取扱いについては、法4条違反の問題は生じない。(テキストP14)

10.法4条(男女同一賃金の原則)は、労働者が「単に女性であること」を理由とする差別的取扱いを禁止しているが、「女性であることを理由として」とは、一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者ではないこと等を理由とすることをいう。したがって、男女労働者について、職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって賃金に個人的差異が生じていても本条違反ではない。(テキストP14)

11.使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について差別的取扱いをしてはならないが、この「差別的取扱い」には、不利に取扱う場合のみならず有利に取扱う場合も含まれる。(法3条の「均等待遇」についても同様)(テキストP14)

【やってて良かったツモン式】

「ゆりあん(有利に取り扱う場合を)含む」

12.就業規則に賃金について男女差別の規定があるが、現実に行われておらず、賃金の男女差別待遇の事実がなければ、その規定は無効であるが、法4条(男女同一賃金の原則)違反とはならない。(テキストP14)

13.法5条(強制労働の禁止)は、使用者が労働者に強制労働をさせることを禁止しているが、必ずしも形式的な労働契約が成立していることを要求するものではなく、当該具体例において事実上労働関係が存在すると認められる場合であれば足りる。(テキストP15)

14.法5条(強制労働の禁止)にいう「不当」とは、「不法」なもののみに限られない。(たとえ合法的なものであっても、「不当」なものとなることがある。)(テキストP15)

15.法5条(強制労働の禁止)に違反した使用者は、「1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金」に処せられるが、これは労働基準法で最も重い罰則である。(テキストP15、119)

【やってて良かったツモン式】

「110番(1年、10年)」「捕まる(20万円)、さらわれる(300万円)」

16.法6条(中間搾取の排除)にいう「何人も」とは、他人の就業に介入して利益を得る第三者(当事者である使用者と労働者以外の者)をいい、個人、団体又は公人たると私人たるとを問わない。(テキストP15)

17.法律に基づいて許される場合には、法6条(中間搾取の排除)には違反しない。(具体的には、職業安定法の規定による有料職業紹介事業などが該当する。)(テキストP15)

18.法6条(中間搾取の排除)にいう「業として利益を得る」とは、営利を目的として、同種の行為を反復継続することをいう。したがって、1回の行為であっても、反復継続して利益を得る意思があれば充分である。また、主業として為されると副業として為されるとを問わない。(テキストP15)

19.法7条(公民権行使の保障)において、使用者は、権利の行使又は職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻、又は日を変更することができることとされているが、公民権の行使を労働時間外に実施すべき旨定めたことにより、労働者が就業時間中に選挙権の行使を請求することを拒否すれば違法である。(テキストP16)

20.法7条(公民権行使の保障)に基づき、「労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使」した場合の給与に関しては、有給であろうと無給であろうと労使当事者の自由に委ねられている。(テキストP16)

21.労働審判員、裁判員については、法7条(公民権行使の保障)に規定する「公の職務」に該当する。(テキストP16)

22.予備自衛官の防衛招集・訓練招集、非常勤消防団員の職務(単に労務の提供を主たる目的とする職務=代わりの人が行っても差し支えない職務)については、法7条(公民権行使の保障)に規定する「公の職務」に該当しない。(テキストP16)

23.公職の就任を使用者の承認にかからしめ、その承認を得ずして公職に就任した者を懲戒解雇に附する旨の就業規則条項は、法7条(公民権行使の保障)の趣旨に反し無効である、とするのが最高裁判所の判例である。(テキストP16)

24.労働基準法において一の事業であるか否かは主として「場所的観念」によって決定する。ただし、たとえ同一の場所であっても工場内の診療所などのように労働の態様が著しく異なるときは、これを切り離して独立の事業とすることがあり、別々の場所にある事業であっても、出張所などで著しく小規模で独立性がないものについては、直近上位の機構と一括して一つの事業とすることがある。(テキストP17、一部未記載)

25.同居の親族のみを使用する事業には、労働基準法は適用されないが、常時同居の親族以外の労働者を使用する事業には、労働基準法は適用される。(テキストP17)

26.株式会社の「代表取締役」は労働者ではないが、「取締役」は労働者となることがある。(業務執行権をもたない、法人の取締役が、工場長や部長等といった役職を兼務し、賃金の支払を受けている場合などは、法9条に規定する労働者に該当することもある。)(テキストP18)

27.法人に雇われ、その役職員の家庭において、その家族の指揮命令の下で家事一般に従事している者は、「家事使用人」に該当し、労働基準法は適用されない。(テキストP17)

28.個人家庭における家事を事業として請け負う者に雇われて、その指揮命令の下に、家事を行う者(家政婦派遣会社等に雇われている家政婦)は「家事使用人」に該当しない。(労働者に該当し、労働基準法が適用される。)(テキストP17)

29.形式上は請負契約のようなかたちをとっていても、その実体において「使用従属関係」が認められるときは、当該関係は労働関係であり、当該請負人は法9条の労働者に当たる。(テキストP18)

30.労働基準法にいう「使用者」とは、事業主(法人の場合は法人そのもの、個人事業では事業主個人)に限るものではない。(使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。)(テキストP18)

31.労働基準法にいう「使用者」とみなされるかどうかは、部長、課長等の形式にとらわれることなく実質的に一定の権限を与えられているかどうかによる。したがって、単に上司の命令の伝達者にすぎない場合は使用者とみなされない。(テキストP18)

32.法9条にいう「労働者」であっても、その者が同時にある事項について権限と責任を持っていれば、その事項については、その者が法10条の「使用者」となることがある。(テキストP18)

33.在籍型の出向労働者については、出向元及び出向先の双方とそれぞれ労働関係があるので、出向元及び出向先に対して、それぞれ労働契約関係が存在する限度で労働基準法等の適用がある。一方、移籍型出向は、出向先との間にのみ労働契約関係がある形態であり、出向元と出向労働者との労働契約関係は終了しているため、出向先についてのみ労働基準法等の適用がある。(テキストP18)

34.派遣労働者については、派遣元事業主と労働契約関係があるため、基本的には派遣元に労働基準法の適用があることとなるが、派遣先で指揮命令を受けて労働するため、労働者派遣法に基づき、労働基準法の規定ごとに、それぞれ派遣元、派遣先、双方に適用がある。(テキストP18)

35.労働基準法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その全体を無効とするわけではない。(労働基準法で定める基準に達しない部分のみを無効とし、その部分については労働基準法で定める基準による。)(テキストP20)

36.契約期間の上限が5年とされるのは、「高度の専門的知識等を有する労働者」と「満60歳以上の労働者」とされているが、「高度の専門的知識等を有する労働者」については、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限られる。(テキストP22)

37.法附則137条(1年経過後の任意退職の特例)の規定は、労働契約の期間の上限を5年とすることができる労働者(高度の専門的知識等を有する労働者及び満60歳以上の労働者)には、適用されない。(テキストP22)

38.契約期間の制限を定める法14条の例外とされる「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、その事業が有期的事業(土木建設事業等)であることが客観的に明らかな場合であり、かつ、その事業の終期までの期間を定めて契約することが必要である。(テキストP21)

39.使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上(1回以上、ではない。)更新し、又は(かつ、ではない。)雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告(雇止めの予告)をしなければならない。(テキストP23)

【やってて良かったツモン式】

「やっと射止め(雇止め)た」「さん(3回)ま(又は)、イッチョ(1年超)上がり、さんま(30日)」

40.使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上(3回以上、ではない。)更新し、かつ、(又は、ではない。)雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。(長くするようにしなければならない、ではない。)(テキストP23)

【やってて良かったツモン式】

「イカ(1回)イッチョ(1年超)上がりツトム(努力)くん」

41.労働条件の明示事項である「労働契約の期間に関する事項」については、期間の定めのない労働契約の場合であってもその旨(期間の定め無し)を明示しなければならない。(テキストP24)

42.労働条件の明示において、「退職に関する事項」は絶対的明示事項であるが、「退職手当に関する事項」は、相対的明示事項である。(テキストP24)

43.派遣元の使用者は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により、自己が労働基準法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、労働条件の明示をする必要がある。(テキストP25)

44.法15条1項(労働条件の明示)の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。(テキストP25)

45.労働契約の不履行についての違約金の定め、又は損害賠償額を予定する契約を禁止する法16条(賠償予定の禁止)の規定は、当該契約の相手方を労働者本人に限っていないために、使用者が労働者の親権者又は身元保証人と違約金又は損害賠償額を予定する契約を締結することも禁止されている。(テキストP26)

46.法16条(賠償予定の禁止)は、金額を予定することを禁止するのであって、現実に生じた損害について賠償を請求することは禁止されていない。(テキストP26)

47.「故意又は重大な過失により会社に損害を与えた場合、損害賠償を請求することがある」旨の契約を締結することは、法16条(賠償予定の禁止)には抵触しない。(テキストP26)

48.法17条(前借金相殺の禁止)は、前借金そのものを禁止しているわけではなく、「(労働することを条件とする)前借金と賃金を使用者が(一方的に)相殺すること」を禁止している。したがって、労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融、弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないものは、労働することを条件とする債権に含まれない。(テキストP26)

49.労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をすることは例外なく禁止されているが、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理することは、一定の要件(労使協定締結・届出及び貯蓄金管理規程作成・周知)の下で認められている。(テキストP27)

【やってて良かったツモン式】

「フズイ(附随)は」「マズイ」

50.使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れ(社内預金)であるときは、利子(下限利率は年5厘)を付けなければならない。(テキストP27)

【やってて良かったツモン式】

「五輪(五厘)ピックの」「金利メダル」