ミニミニ本試験(第1回解答)

【労働基準法】

1.「平均賃金」とは、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前6か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、180で除した金額をいう。

× 「平均賃金」とは、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。(法12条1項)

2.使用者は、賃金を通貨で支払わなければならないが、労使協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。

× 賃金を通貨以外のもので支払うことが認められるためには、労働協約に別段の定めが必要であり、設問の労使協定をもって支払うことはできない。(法24条1項)

3.使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならず、このことに例外はない。

〇 いわゆる「強制貯蓄契約の禁止」である。(法18条1項)

4.派遣中の労働者の労働契約と当該派遣中の労働者を派遣している労働者派遣契約とは別個のものであり、派遣先による労働者派遣契約の解除について、労働基準法の解雇に関する規制が適用されることはない。

〇 したがって、派遣先が、派遣中の労働者の解雇制限期間中に労働者派遣契約を解除し、又は、予告期間なしに即時に解除することは労働基準法上の問題はないが、派遣元の使用者が当該派遣されていた労働者を解雇しようとする場合には、労働基準法が適用されるので、解雇制限期間中は解雇できず、また、解雇予告等の手続が必要となる。また、労働基準法19条(解雇制限)及び20条(解雇の予告)における事業の継続が不可能であるかどうかの判断は、派遣元の事業について行われるので、仮に、当該派遣中の労働者が派遣されている派遣先の事業の継続が不可能となったとしても、これには該当しない。(昭和61.6.6基発333号)

5.労働者を就業規則に定める休憩時間に来客当番として事務所に待機させたが、その時間に実際に来客がなかった場合には、休憩時間以外の労働時間が法定労働時間どおりであれば、使用者は、法37条1項の規定による割増賃金を支払う義務はない。

× 休憩時間に来客当番として事務所に待機させた場合には、その待機時間は労働時間となり、設問の場合、割増賃金の支払義務が使用者に生ずることとなる。(法32条、37条1項、平成11.3.31基発168号)

6.事業場外労働に関するみなし労働時間制は、情報機器を用いて行う在宅勤務の場合、どのような要件の下でも、結局は当該通信機器を通じて使用者の管理を受けることとなるため、適用されない。

× 情報通信機器を用いて行う在宅勤務の場合であっても、下記の①~③のすべての要件を満たせば、事業場外労働に関するみなし労働時間制が適用される。

① 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅により行われること。

② 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていること。

③ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。

(法38条の2、平成20.7.28基発078002号)

7.時間単位の年次有給休暇の取得は、事業の正常な運営との調整を図る観点から、対象労働者の範囲及び取得目的の制限について労使協定で定めることができる。

× 労使協定により時間単位の年次有給休暇の対象労働者の範囲を定めることは、事業の正常な運営を妨げる場合(例えば一斉に作業を行うことが必要とされる業務に従事する労働者等がいる場合)に限って認められているが、本来の年次有給休暇同様、取得目的に制限を加えることは許されない。(平成21.5.29基発0529001号)

【労働安全衛生法】

8.製造業に属する事業者は、総括安全衛生管理者を、常時100人以上の労働者を使用する事業場ごとに選任しなければならない。

× 「100人以上」ではなく、「300人以上」である。(法10条1項、令12条)

9.特定機械等を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

〇 なお、都道府県労働局長は、設問の申請があった場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。(法37条1項)

10.運送業の事業者は、新たに職務に就く職長に対して、作業方法の決定及び労働者の配置に関すること、労働者に対する指導又は監督の方法に関すること等について安全又は衛生のための教育を行わなければならない。

× 運送業については、いわゆる職長等教育の対象となっていない。職長等教育の対象業種は、①建設業、②製造業(一定のものを除く。)、③電気業、④ガス業、⑤自動車整備業、⑥機械修理業とされている。(法60条、令19条)

【労災保険法】

1.通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合でも、その逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむをえない事由により行うための最小限度のものであるときは、その逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤に該当する。

× 通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合でも、その逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむをえない事由により行うための最小限度のものであるときは、その逸脱又は中断の間を除き、その後の移動は、通勤に該当する。逸脱・中断中は、いかなる場合であっても通勤に該当しない。(法7条3項)

2.傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金は、政府の職権によって支給が決定されるものであるから、これを受ける権利に関して労災保険法では時効について定めていないが、支給が決定された年金の支払期ごとに生ずる請求権については、会計法上の時効の規定が適用される。

〇 傷病(補償)等年金は、被災労働者の請求ではなく労働基準監督署長の職権で支給決定がされるため、これを受ける権利(基本権)については時効の問題は生じないが、支給が決定された年金の支払期ごとに生ずる請求権(支分権)については、会計法30条の規定により5年で時効消滅する。(法42条、昭和52.3.30基発192号)

3.障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹である。

× 障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族は、設問のほかに、労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていなかった配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹が含まれる。(法附則58条2項)

4.遺族補償年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。

〇 (則15条)

5.船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、遺族給付及び葬祭給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。

〇 死亡の推定の規定である。(法10条)

6.労災保険法の障害補償年金前払一時金が支給されたことにより、労災保険の障害補償年金が支給停止されるときは、国民年金法30条の4の規定による(いわゆる20歳前傷病による)障害基礎年金の支給停止が解除される。

× 国民年金法30条の4の規定(いわゆる20歳前障害)による障害基礎年金は、労災保険法による障害補償年金が障害補償年金前払一時金が支給されたことにより全額支給停止された場合であっても、支給されない。(法附則49条6項、国民年金法36条の2第2項)

7.休業特別支給金の額は、1日につき休業給付基礎日額の100分の30に相当する額である。

× 「100分の30」ではなく、「100分の20」である。(特別支給金支給規則3条1項)

【労働保険徴収法】

8.労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業に該当する場合の保険関係成立届の提出先は、所轄労働基準監督署長である。

〇 (則1条1項1号)

9.徴収法には、労働保険の事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料(労働保険料)の種類として、一般保険料、第一種特別加入保険料、第二種特別加入保険料、第三種特別加入保険料及び印紙保険料が規定されている。

× 労働保険料の種類は、①一般保険料、②特別加入保険料(第1種、第2種及び第3種)、③印紙保険料及び④特例納付保険料である。(法10条2項)

10.数次の請負による建設の事業において下請負人に係る事業が一定の規模以上であるときは、当該下請負人の請負に係る事業については、請負事業の一括はなされないこととされている。

× 請負事業の一括は、下請負事業の規模にかかわらず、法律上当然に行われる。なお、下請負人の請負に係る事業規模が一定規模以上である場合は、下請負事業の分離申請(厚生労働大臣の認可)により、当該下請負人をその事業主とすることができることとされている。(法8条1項、則7条)

【雇用保険法】

1.民間企業に勤務する被保険者が病気のため当該企業を長期にわたり欠勤している場合でも、雇用関係が存続する限り、賃金の支払いを受けているか否かにかかわりなく被保険者たる資格を失わず、この期間は基本手当の算定基礎期間に算入される。

〇 (法4条1項、22条3項、行政手引20352)

2.事業主は、その雇用する被保険者が死亡した場合、所轄公共職業安定所長に、雇用保険被保険者資格喪失届を提出しなければならないが、これに雇用保険被保険者離職証明書を添付する必要はない。

〇 雇用保険被保険者離職証明書は、被保険者が離職によって被保険者資格を喪失した場合に提出を要するものである。(法7条、則7条1項)

3.失業の認定は、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者を除き、求職の申込みを受けた公共職業安定所において、待期期間が経過した日から起算して4週間に1回ずつ直前の28日の各日について行うものとする。

× 「待期期間が経過した日から起算して」ではなく、「受給資格者が離職後最初に出頭した日から起算して」である。なお、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者に係る失業の認定は、1月に1回、直前の月に属する各日(既に失業の認定の対象となった日を除く。)について行うこととされている。(法15条3項)

4.傷病手当は、受給資格者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、継続して15日以上の疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に支給されるものであるが、延長給付を受給中の受給資格者については、支給されない。

〇 (法37条7項、行政手引53004)

5.就業手当を支給したときは、雇用保険法の規定の適用については、当該就業手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなす。

〇 (法56条の3第4項)

6.みなし賃金日額に30を乗じて得た額が300,000円、支給対象月の賃金が150,000円、当該支給対象月に疾病により支払を受けることができなかった賃金が30,000円であった場合、当該支給対象月について支給される高年齢雇用継続基本給付金の額は、27,000円である。

× 「27,000円」ではなく、「22,500円」である。支給対象月に支払われた賃金の額(設問の場合、疾病により支払を受けることができなかった賃金を含めることになるため、150,000円+30,000円=180,000円)が60歳時の賃金(設問の場合、300,000円)の100分の61未満であるときは、支給対象月の賃金(設問の場合、150,000円)に100分の15を乗じて得た額が、高年齢雇用継続基本給付金の額となる。(法61条5項)

7.教育訓練給付金の支給対象者は、教育訓練を開始した日に一般被保険者又は高年齢被保険者である者に限られる。

× 設問の者のほかに、基準日が当該基準日の直前の一般被保険者又は高年齢被保険者でなくなった日から1年以内にある者も支給対象者となる。なお、前記の「1年」については、最長「20年」とする特例措置がある。(法60条の2第1項、則101条の2の5)

【労働保険徴収法】

8.事業主(請負事業の一括の規定により元請負人が事業主とされる場合にあっては、当該事業に係る労働者のうち元請負人が使用する労働者以外の日雇労働被保険者に係る印紙保険料については、当該日雇労働被保険者を使用する下請負人)は、日雇労働被保険者を使用する日ごとに、その者に係る印紙保険料を納付しなければならない。

× 「日雇労働被保険者を使用する日ごとに、」ではなく、「日雇労働被保険者に賃金を支払う都度」その者に係る印紙保険料を納付しなければならない。(法23条1項)

9.継続事業(一括有期事業を含む。)について、保険年度の中途で保険関係が成立した事業に係る概算保険料は保険関係が成立した日から起算して50日以内に納付しなければならない。

× 保険年度の中途で保険関係が成立した事業に係る概算保険料は保険関係が成立した日の翌日から起算して50日以内に納付しなければならない。(法15条1項)

10.労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を納付しない者があるときは、政府は、納付義務者に対して督促状を発するが、この場合において、督促状に指定すべき期限は、督促状を発する日から起算して10日以上経過した日でなければならない。

〇 労働保険料等の徴収金を滞納した場合には、督促が行われ、督促状の指定期限(督促状を発する日から起算して10日以上経過した休日でない日)までに納付しない場合は、滞納処分の対象となり、さらに、労働保険料については延滞金徴収の対象となる。(法27条1項、2項)

【労働一般】

1.労働契約法は、労働基準法と異なり、民法の特別法であるから、同居の親族のみを使用する場合の労働契約及び家事使用人の労働契約についても適用される。

× 労働契約法は、使用者が同居の親族のみを使用する場合の労働契約については、適用されない。(労働契約法2条1項、21条2項)

2.短時間・有期雇用労働法において、「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ、30時間未満の労働者をいう。

× 短時間・有期雇用労働法において、「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者をいう。30時間未満といった所定労働時間数の要件は付されていない。(短時間・有期雇用労働法2条)

3.要介護状態にある対象家族の介護その他の厚生労働省令で定める世話を行う労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において5労働日(要介護状態にある対象家族が2人以上の場合にあっては、10労働日)を限度として、介護休暇を取得することができる。

〇 (育児・介護休業法16条の5第1項)

4.派遣中の労働者については、その派遣元事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金額が適用される。

× 「派遣元事業場」ではなく、「派遣先事業場」である。(最低賃金法13条)

5.労働者派遣法において、「労働者派遣」とは、自己の雇用する労働者を、雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。

〇 (労働者派遣法2条)

【社会一般】

6.社会保険労務士は、事業における労務管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。

〇 なお、設問の陳述は、当事者又は訴訟代理人がその陳述を取り消し、又は更生したときを除き、当事者又は訴訟代理人がしたものとみなされる。(社会保険労務士法2条の2第1項)

7.国民健康保険法において、都道府県は、被保険者の資格の取得及び喪失に関する事項、国民健康保険の保険料の徴収、保健事業の実施その他の国民健康保険事業を適切に実施するものとする。

× 「都道府県は、」ではなく、「市町村は、」である。都道府県は、安定的な財政運営、市町村の国民健康保険事業の効率的な実施の確保その他の都道府県及び当該都道府県内の市町村の国民健康保険事業の健全な運営について中心的な役割を果たすものとするとされている。(国民健康保険法4条)

8.高齢者医療確保法において、都道府県は、医療費適正化基本方針に即して、6年ごとに、6年を1期として、都道府県医療費適正化計画を定めるものとされている。

〇 なお、厚生労働大臣は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図る観点から、医療費適正化を総合的かつ計画的に推進するため、医療費適正化基本方針を定めるとともに、6年ごとに、6年を1期として、全国医療費適正化計画を定めるものとされている(高齢者医療確保法9条)

9.介護保険第2号被保険者は、その介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病(特定疾病)によって生じたものであるものに限り、保険給付を受けることができる。

〇 なお、第1号被保険者については、設問のような要件は付されていない。(介護保険法7条)

10.船員保険の保険者は、政府である。

× 「政府」ではなく、「全国健康保険協会」である。(船員保険法4条1項)

【健康保険法】

1.適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けることにより、当該事業所を適用事業所とすることができるが、当該認可を受けようとするときは、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る。)の2分の1以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。

〇 なお、任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができるが、当該認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る。)の4分の3以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。(法31条)

2.任意継続被保険者の資格の取得の申出は、被保険者の資格を喪失した日から20日以内にしなければならないが、保険者は、正当な理由があると認めるときは、この期間を経過した後の申出であっても受理することができる。なお、この場合の「正当な理由」とは、天災地変の場合や法律の不知による場合などをいう。

× この場合の「正当な理由」とは、天災地変の場合や交通通信関係のスト等によって法定期間内に届出ができなかった場合などをいい、法律の不知による場合はこれに該当しない。(法37条1項、昭和24.8.11保文発1400号)

3.健康保険の被扶養者となるためには、日本国内に住所を有する者又は日本国内に生活の基礎があると認められる者であることが要件とされているため、被保険者が外国に赴任している間に婚姻により配偶者となった者は被扶養者とならない。

× 「被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、外国に赴任する被保険者に同行する者と同等と認められるもの」は、日本国内に生活の基礎があると認められる者に該当することとされており、設問の配偶者は、被扶養者となり得る。(法3条7項、則37条の2)

4.全国健康保険協会は、毎事業年度、財務諸表を作成し、これに当該事業年度の事業報告書等を添え、監事及び厚生労働大臣が選任した会計監査人の意見を付けて、決算完結後2月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

なお、全国健康保険協会は、毎事業年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。)の決算を翌事業年度の5月31日までに完結しなければならないこととされている。(法7条の28)

5.4月に遡って昇給が行われ、その昇給による差額給与が6月に支給された場合、随時改定の対象月となるのは、「6月、7月及び8月」であって、「4月、5月及び6月」ではない。

〇 例えば、4月に遡って4万円の昇給を行うこととなり、6月に4月分と5月分の昇給差額である8万円(4万円×2)が支給された場合は、6月に受けた報酬からその8万円を控除して6月の報酬とし、これと7月及び8月に受けた報酬との総額の平均額が、従前の標準報酬月額の決定の基礎となった報酬月額に比べて著しく高低(原則として、2等級以上の差)を生じたときは、9月から随時改定されることになる。(法43条1項、昭和50.3.29保険発25号)

6.保険医療機関、保険薬局の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときに、その効力を失うが、保険医及び保険薬剤師の登録は、登録の抹消又は取消しがない限り、有効とされる。

〇 (法68条1項、71条)

7.身体に違和感を覚えて診察を受けたが、結果的になんらの異常が認められなかった場合、その診察は、療養の給付の対象とならない。

× 設問のような診察は、療養の給付の対象となる。(昭和10.11.9保規338号)

8.保険外併用療養費を受けるため、病院又は診療所に移送されたときは保険者が必要であると認めれば、移送費が支給される。

〇 移送費は、被保険者が療養の給付(保険外併用療養費を含む。)を受けるため、病院又は診療所に移送されたときに、保険者が必要であると認める場合に限り、支給するものとされている。(法97条)

9.日雇特例被保険者が1日において2以上の事業所に使用される場合、最初にその者を使用する事業主は、その者を使用する日ごとに、その者及び自己の負担すべきその日の標準賃金日額に係る保険料を納付する義務を負う。

〇 なお、賃金を一定期間分まとめて支払う場合であっても、事業主は、使用する日ごとに保険料を納付しなければならない。(法169条2項)

10.被保険者の保険料は月を単位として徴収され、被保険者の資格取得日が月の最終日であってもその月分の保険料は徴収される。また、被保険者(前月から引き続き被保険者であるものとする。)の資格喪失日が月の最終日であってもその月分の保険料は徴収されない。

〇 保険料は、被保険者の資格を取得した日の属する月から徴収される。また、前月から引き続き被保険者である者が、その資格を喪失したときは、その月分の保険料は徴収されない。(法156条)

【厚生年金保険法】

1.2以上の船舶の船舶所有者が同一である場合には、当該船舶所有者は、厚生労働大臣の承認を受けて、当該2以上の船舶を一の適用事業所とすることができる。

× 同一の船舶所有者が所有する2以上の船舶は、法律上当然に一の適用事業所とされる。(法8条の3)

2.季節的業務に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)は、当初から継続して6か月を超えて使用されるべき場合を除き、被保険者とならない。

× 「6か月を超えて」ではなく、「4か月を超えて」である。(法12条3号)

3.障害厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したとしても、それらは併給されないため、いずれか一方のみを受給することができるが、遺族厚生年金の受給権者が65歳になり、老齢基礎年金の受給権を取得したときは、それらの両方を受給することができる。

〇 (法38条1項、法附則17条)

4.いわゆる在職定時改定による老齢厚生年金の年金額の改定は、9月に行われる。

× 「9月」ではなく、「10月」である。(法43条2項)

5.老齢厚生年金の支給繰上げの請求は、老齢基礎年金の支給繰上げの請求と同時に行わなければならない。

〇 (法附則7条の3第2項)

6.障害等級3級に該当する障害厚生年金の受給権者の障害の程度が増進し2級に改定された場合、その受給権を取得した日以後に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときであっても、配偶者加給年金額は加算されない。

× 受給権を取得した日の翌日以後に、その者によって生計を維持している65歳未満の配偶者を有するに至ったときは、当該配偶者を有するに至った日の属する月の翌月から、配偶者加給年金額が加算される。(法50条の2)

7.配偶者に支給される遺族厚生年金は、その年齢に関係なく支給される。

× 配偶者のうち「妻」については年齢要件は問わないが、夫については死亡当時55歳以上という年齢要件を満たさなければならない。(法59条1項1号、65条の2)

8.厚生年金保険の被保険者期間が離婚時みなし被保険者期間のみである者は、特別支給の老齢厚生年金を受給することはできない。

〇 特別支給の老齢厚生年金の支給要件である「1年以上の被保険者期間」に離婚時みなし被保険者期間は算入されない。(法78条の11、則8条2号)

9.2以上の種別の被保険者であった期間を有する者の老齢厚生年金の額の計算においては、その者の2以上の被保険者の種別に係る期間を合算して一の期間に係る被保険者期間のみを有するものとみなして平均標準報酬額を算出する。

× 2以上の種別の被保険者であった期間を有する者に係る老齢厚生年金については、「それぞれの被保険者であった期間に係る被保険者期間ごと」に区分して平均標準報酬額を算出する。(法78条の26)

10.厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。(法83条の2)

【国民年金法】

1.政府は、少なくとも5年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びに国民年金法による給付に要する費用の額その他国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通し(以下「財政の現況及び見通し」という。)を作成しなければならないが、当該財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね100年間とされている。

〇 なお、政府は設問の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこととされている。(法4条の3第1項、2項)

2.第3号被保険者が、就職により第2号被保険者となったときは、当該事実があった日から14日以内に、厚生労働大臣に対して種別変更の届出を行わなければならない。

× 第2号被保険者については、国民年金法による届出の規定は適用されない。厚生年金保険法の規定に基づき、当該被保険者の属する各実施機関で届出を行うこととされている。(法附則7条の4第1項)

3.障害基礎年金の支給を受けていた者が、厚生年金保険法に規定する障害等級に該当する程度の状態に該当しなくなった日から起算して、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当することなく3年が経過した後、65歳に達して当該障害基礎年金の受給権が消滅した場合は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることはできない。

× 65歳に達し、障害基礎年金の受給権が消滅した者は、老齢基礎年金の支給繰下げの申出をすることができる。(法28条1項)

4.初めて被保険者となった月又はその翌月に障害基礎年金に係る初診日があるときは、保険料納付要件は問われない。

〇 初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間がない場合は、保険料納付要件は問われない。(法30条1項)

5.保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したときは、その者が日本国内に住所を有していなかった場合でも、所定の要件を満たす遺族に遺族基礎年金が支給される。

〇 なお、日本国内に住所を有していなければならないのは、「被保険者であった者であって、60歳以上65歳未満であるもの」である。(法37条)

6.死亡一時金の支給要件となる第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数が20月、保険料半額免除期間の月数が20月、及び保険料4分の3免除期間の月数が20月ある者が死亡した場合において、その者の遺族に死亡一時金が支給される。

× 保険料納付済期間の月数が「20」、保険料半額免除期間の月数の2分の1に相当する月数が「10」、保険料4分の3免除期間の月数の4分の1に相当する月数が「5」で、これらを合算しても36月以上にならないため、死亡一時金は支給されない。(法52条の2第1項)

7.障害基礎年金の受給権を有していなくても、3級の障害厚生年金の受給権を有していれば、保険料の法定免除の適用を受けることができる。

× 障害に係る法定免除の対象者は、障害等級2級以上の障害年金(旧法の障害年金を含む。)である。ただし、障害の程度が軽減し、障害等級3級以上の障害状態に該当することなく3年を経過した者は除かれる。(法89条1項1号、令6条の5第1項)

8.年金給付の受給権者の属する世帯の世帯主その他その世帯に属する者は、当該受給権者の所在が3か月以上明らかでないときは、速やかに、所定の事項を記載した届書を日本年金機構に提出しなければならない。

× 「3か月以上」ではなく、「1か月以上」である。法105条3項、則23条ほか)

9.国民年金基金の加入員又は加入員であった者が死亡した場合に支給される一時金の額は、死亡一時金を超えるものでなければならない。

× 「死亡一時金を超える」ではなく、「8,500円を超える」である。(法130条3項)

10.受給権者が、正当な理由がなくて、法105条3項の規定による届出をせず、又は書類その他の物件を提出しないときは、年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる。

× 「年金給付の額の全部又は一部につき、その支給を停止することができる」ではなく、「年金給付の支払を一時差し止めることができる」である。(法73条)

次の記事

白書んクリニック49