令和6年度本試験択一式解答・解説(雇用保険法・徴収法)
注)この解答・解説は、速報段階のものであり、後日変更する場合があります。また、試験機関による解答について保証するものではありません。
〔問 1〕 正解 A
A × 株式会社の代表取締役は、被保険者とならない。なお、株式会社の取締役は、原則として、被保険者としない。取締役であって同時に会社の部長、支店長、工場長等従業員としての身分を有する者は、報酬支払等の面からみて労働者的性格の強い者であって、雇用関係があると認められるものに限り被保険者となる。(法4条1項、行政手引20351)
B 〇 適用事業の事業主に雇用されつつ自営業を営む者又は他の事業主の下で委任関係に基づきその事務を処理する者(雇用関係にない法人の役員等)については、当該適用事業の事業主の下での就業条件が被保険者となるべき要件を満たすものである場合には、被保険者として取り扱う。(法4条1項、行政手引20352)
C 〇 労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限り賃金の支払を受けていると否とを問わず被保険者となる。(法4条1項、行政手引20352)
D 〇 中小企業等協同組合法に基づく企業組合の組合員は、組合との間に中小企業等協同組合法に基づく組合関係が存在することはもちろんであるが、次の2つの要件を満たしている場合で、企業組合と組合員との間において組合関係とは別に雇用関係も存在することが明らかに認められる場合は、被保険者となる。
イ 組合と組合員との間に使用従属の関係があること。すなわち、組合員が組合の行う事業に従事し、組合に労働を提供する場合に、組合員以外の者で組合の行う事業に従事する者と同様に組合の支配に服し、その規律の下に労働を提供していること。
ロ 組合との使用従属関係に基づく労働の提供に対し、その対償として賃金が支払われていること。
(法4条1項、行政手引20351)
E 〇 なお、昼間学生は、原則として、被保険者とならない。(法4条1項、6条4号、則3条の2第3号、行政手引20303)
〔問 2〕 正解 B
(1)Y社で被保険者であった期間は、Z社を離職した日より2年以上前であるため、被保険者期間の算定の対象とならない。
(2)したがって、被保険者期間は、下記のとおり「3と2分の1か月」となる。
・ 令和6年2月29日~令和6年1月30日(1か月)
・ 令和6年1月29日~令和5年12月30日(1か月)
・ 令和5年12月29日~令和5年11月30日(1か月)
・ 令和5年11月29日~令和5年11月5日(2分の1か月)
(法13条1項、14条1項、2項)
〔問 3〕 正解 D
A 〇 法19条(基本手当の減額)、法21条(待期)、法31条(未支給の基本手当の請求手続)並びに法34条1項及び2項(不正受給による基本手当の給付制限)の規定は、傷病手当についても準用されている。(法21条、37条9項)
B 〇 (法37条4項)
C 〇 なお、口座振込受給資格者以外の者にあっては、原則として、職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の支給日までに、傷病の認定を受けなければならない。なお、当該支給日がないときは、受給期間の最後の日から起算して1か月を経過した日までに傷病の認定を受けなければならないこととされている。(法37条1項、則62条1項)
D × 傷病の認定を受けた受給資格者が、当該認定を受けた日について、健康保険法の規定による傷病手当金の支給を受けることができる場合には、傷病手当は支給しない。(法37条8項)
E 〇 なお、傷病手当を支給したときは、雇用保険法の規定の適用については、当該傷病手当を支給した日数に相当する日数分の基本手当を支給したものとみなす。(法37条3項)
〔問 4〕 正解 D
A 〇 (則7条1項、3項)
B 〇 (則19条1項、行政手引50007、50306)
C 〇 (則7条1項、行政手引21452)
D × 離職し、被保険者資格を喪失した者であっても、当該離職前からの雇用関係、委任関係又は自営業を継続すること等により受給資格の決定の際に就職状態にある場合には、受給資格の決定を行うことはできないこととされており、この段階では、失業等給付に関する処分とはいえないため、雇用保険審査官に審査請求をすることができない。(法69条1項、行政手引50102、雇用保険に係る不服申立て及び訴訟に関する業務取扱要領)
E 〇 (則19条4項)
〔問 5〕 正解 E(エとオ)
ア × 設問の場合、不正の行為として取り扱われない。(法19条3項、34条1項、則29条)
イ × 「3倍に相当する額の金額」ではなく、「2倍に相当する額以下の金額」である。(法10条の4第1項)
ウ × 過去適法に受給した基本手当の額は、返還命令等の対象とならない。この場合の「基本手当の全部又は一部」とは、不正に受給した基本手当の全部という意味である。(法10条の4第1項)
エ 〇 (則139条の4第2項)
オ 〇 (法34条1項)
〔問 6〕 正解 A
A 〇 (法61条6項)
B × 高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職につき再就職手当の支給を受けることができる場合において、その者が再就職手当の支給を受けたときには高年齢再就職給付金を支給せず、高年齢再就職給付金の支給を受けたときは再就職手当を支給しない。つまり、選択受給となっている。(法61条の2第4項)
C × 「100分の85」ではなく、「100分の61」である。(法61条の2第3項)
D × 支給限度額が変更されたときは、変更された月からその額が適用される。(法61条7項)
E × 月の初日から末日まで引き続いて、育児休業給付金の支給を受けることができる休業をした月については、高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。(法61条2項)
〔問 7〕 正解 E
A 〇 (則102条の3第1項2号イ)
B 〇 (則102条の3第5項)
C 〇 (則102条の3第7項)
D 〇 (則102条の3第1項4号イ)
E × 設問の雇用調整助成金の支給は、原則として、支給日数が100日に達するまで受けることができる。(「届出の際に当該事業主が指定した日から起算して3年間受けることができるわけではない。」(則102条の3第1項3号、3項)
〔問 8〕 正解 C
A × 雇用保険暫定任意適用事業に該当する事業が雇用保険法第5条1項の適用事業に該当するに至った場合は、その該当するに至った日に、その事業が開始されたものとみなされ、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。(法附則3条)
B × 都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業については、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別個の事業とみなして徴収法を適用する。すなわち、一般保険料の算定、納付等の手続を二元的に処理する事業として定められている。(法39条1項、則70条1号)
C 〇 いわゆる「名称、所在地等変更届」の規定である。(法4条の2第2項、則5条1項1号、2項)
D × 「厚生労働大臣の認可があった日」ではなく、「厚生労働大臣の認可があった日の翌日」である。(法附則4条)
E × 「その日」ではなく、「その翌日」に消滅する。(法5条)
〔問 9〕 正解 D
A 〇 なお、雇用保険印紙購入通帳の有効期間の更新を受けようとする事業主は、当該雇用保険印紙購入通帳の有効期間が満了する日の翌日の1月前から当該期間が満了する日までの間に、当該雇用保険印紙購入通帳を添えて、所定の事項を記載した申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、新たに雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならない。(則42条2項、5項)
B 〇 雇用保険印紙購入通帳をき損し、又は購入申込書がなくなったことにより再交付を申し出る事業主は、当該き損し、又は購入申込書がなくなった雇用保険印紙購入通帳を所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(則42条6項)
C 〇 なお、事業の廃止等により雇用保険印紙を購入する必要がなくなったときも同様である。(則42条8項)
D × 雇用保険印紙と印紙保険料納付計器を併用して印紙保険料を納付する場合、毎月における雇用保険印紙の受払状況については印紙保険料納付状況報告書により、毎月における印紙保険料納付計器の使用状況については印紙保険料納付計器使用状況報告書によって、翌月末日までに、所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局歳入徴収官に報告しなければならない。(法24条、則54条、55条)
E 〇 (則52条1項、2項)
〔問10〕 正解 D
A × 「同年5月10日までに」ではなく、「同年5月20日までに」である。継続事業であって、保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、当該保険関係が消滅した日(事業を廃止した日の翌日)から50日以内に、確定保険料申告書を提出しなければならない。(法19条1項)
B × 「同年5月10日までに」ではなく、「同年5月20日までに」である。有期事業については、保険関係が消滅した日(事業が終了した日の翌日)から50日以内に、確定保険料申告書を提出しなければならない。(法19条2項)
C × 「7月1日まで」ではなく、「7月10日まで」である。一括有期事業報告書については、確定保険料申告書を提出する際(次の保険年度の6月1日から起算して40日以内又は保険関係が消滅した日から起算して50日以内)に所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。(則34条)
D 〇 保険年度中に使用した労働者に支払うことが具体的に確定した賃金であれば、その保険年度に支払われていないものも当該保険年度の確定保険料の算定の基礎となる賃金総額に含まれる。(法19条1項、昭和24.10.5基災収5178号)
E × 「通知を受けた日から起算して」ではなく、「通知を発する日から起算して」である。(法21条3項、則26条読替、則38条5項)