冬休みの友・第5回解答
労働基準法
【就業規則】
問81 使用者は、法89条に規定する事項について就業規則を作成しなければならず、また、常時10人以上の労働者を使用する場合には、それを作成し、又は変更したときは、行政官庁に届け出なければならない。
答81 × 法89条において、就業規則を作成しなければならないとされている使用者は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」である。(法89条)テキストP105
【コメント】
就業規則の作成義務が「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に課せられている理由は、「10人未満」であれば、社長の目の届く範囲に入るから(社長曰く、俺が会社のルールブックだ!)だと言われています。
問82 退職金に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項であり、退職金について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、就業規則に記載する必要がある。
答82 〇 退職金に関する不支給事由又は減額事由を設ける場合には、相対的必要記載事項である「退職手当の決定及び計算の方法に関する事項」に該当するので、就業規則に記載する必要がある。(法89条、昭和63.1.1基発1号)テキストP106
【コメント】
これに対して、同じ退職関連でも「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」は、絶対的必要記載事項とされていますので、気をつけて!
問83 同一事業場で、法3条(均等待遇)に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない。
答83 〇 なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合わせたものが法89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条の就業規則となるものではない。(平11.3.31基発168号)テキストP107
【コメント】
実務でも「パート就業規則」や「嘱託就業規則」など雇用形態や就業条件が異なる者について別規則とすることが一般的です。(個別の雇用管理がしやすくなるからです。)
問84 出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない就業規則の定めは、減給の制裁に該当しない。したがって、法91条(制裁規定の制限)の適用はない。
答84 〇 「減給の制裁」とは、実際に労働した対価を減じることであり、設問の場合や、格下げ等の処分も減給の制裁に該当しない。(昭和23.7.3基収2177号)テキストP108
【コメント】
「減給の制裁」とは、実際に働いた(汗をかいた)分の賃金を減らすことです。設問の者は、冷や汗はかいていると思いますが…
問85 使用者は、就業規則の変更について、当該事業場の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
答85 〇 なお、使用者は、就業規則の作成(又は変更)の届出をなすについて、設問の意見を記した書面(意見書)を添付しなければならないこととされている。(法90条1項)テキストP107
【コメント】
意見を聴く相手は、過半数労組がある場合は必ず過半数労組、ない場合は労働者の過半数代表者です。
問86 法91条は、就業規則の制裁規定について制限をしているが、この制限は、就業規則の作成及び届出の義務を負う常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に限らず、作成義務がない使用者が作成する就業規則にも適用がある。
答86 〇 また、事業場の内規又は不文の慣行に基づいて、法91条の制限を超える減給の制裁を行うことも同条違反となる。(法91条)テキストP108未記載
【コメント】
「そりゃそーだ」ですね。そうでないと、常時労働者数10人未満の事業所は、減給し放題になってしまいますよね。
問87 就業規則に添付した意見書の内容が、当該規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、又その反対事由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない。
答87 〇 「意見を聴く」とは、労働者の団体的意見を求めるという意味であり、同意を得るとか協議を行うことまでは求められていない。(昭和24.3.28基発373号)テキストP107
【コメント】
就業規則は、本来、使用者が一方的に定めるもの(職場のルールブック)だからです。
問88 減給の制裁は、1回の職場規律違反等の事案に対しては、平均賃金の1日分の半額以内でなければならないが、この場合の平均賃金の算定事由発生日は、減給の制裁の意思表示が相手方の労働者に到達した日である。
答88 〇 当該平均賃金の算定事由発生日は、減給の制裁の意思表示が相手方の労働者に到達した日である。(昭和30.7.19基収5875号)テキストP108
【コメント】
これも「到達主義」の一つです。
問89 就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する、というのが最高裁判所の判例の考え方である。
答89 〇 また、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておかなければならないこととされている。(最判平成15.10.10フジ興産事件)テキストP109
【コメント】
従業員が見たこともない(社長だけが知っている)就業規則は、単なる「紙切れ」ということです。
問90 使用者は、法令規則等の周知義務を負うが、就業規則については、その要旨を常時各作業場の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により労働者に周知しなければならない。
答90 × 労働基準法及び同法に基づく命令についてはその要旨を周知することをもって足りるが、就業規則(及び労使協定並びに労使委員会)の決議については「全文」を設問の方法により周知しなければならない。(法106条1項)テキストP115
【コメント】
「法令」はとても全文なんて周知できません(見たくもありません)が、就業規則、労使協定、労使委員会の決議については、当然、「丸見え食品」になっていなければおかしいですよね。
労働安全衛生法
【安全衛生管理体制】
問91 産業医は、労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項について、総括安全衛生管理者に対して勧告し、又は安全管理者若しくは衛生管理者に対して指導し、若しくは助言することができる。
答91 × 産業医が安全管理者に対して指導・助言をすることができるとの規定は置かれていない。(則14条3項)テキストP135
【コメント】
慌てて読むと敵のワナにハマる引っ掛け問題です。産業医の職務は、「労働者の健康管理」です。「安全」に関しては、門外漢ですね。設問のほか、産業医は「事業者に対して勧告することができる」ことも押さえておきましょう。
問92 安全管理者はその事業場に専属の者を選任しなければならないが、2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、当該安全管理者のうち1人については専属の者でなくてもよい。
答92 × 安全管理者はその事業場に専属の者を選任しなければならないが、2人以上の安全管理者を選任する場合において、当該安全管理者の中に労働安全コンサルタントがいるときは、「当該者(労働安全コンサルタント)」のうち1人については専属の者でなくてもよい。(則4条1項2号)テキストP133
【コメント】
ココは頻出項目です。仮に、安全管理者を10人選任し、そのうち9人が労働安全コンサルタントであった場合、専属の者でなくともよいのは、9人のうちたった1人です。(ちょっと違和感があるので、良く出題されるのだと思います。)なお、衛生管理者についても同様の規定があります。
問93 常時1,000人の労働者を使用する事業場においては、少なくとも3人の衛生管理者を選任しなければならない。
答93 〇 事業者は、下記①~⑥に掲げる事業場の規模に応じて、それぞれに掲げる数以上の衛生管理者を選任しなければならない。
① 50人以上200人以下…1人以上
② 200人超500人以下…2人以上
③ 500人超1,000人以下…3人以上
④ 1,000人超2,000人以下…4人以上
⑤ 2,000人超3,000人以下…5人以上
⑥ 3,000人超…6人以上
(則7条1項4号)テキストP134
【コメント】
この人数要件は、覚えておきましょう。おすすめ(特に出題確率が高いの)は、「500人超1,000人以下…3人以上」です。
問94 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業については、厚生労働大臣の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任しなければならない。
答94 × 「厚生労働大臣の免許を受けた者」ではなく、「都道府県労働局長の免許を受けた者」である。(法14条)テキストP136
【コメント】
試験対策上、安衛法に規定される「免許」は、すべて都道府県労働局長が交付します。(めんきょくちょう!?です。)
問95 安全委員会、衛生委員会又は安全衛生委員会(以下「委員会」という。)は、毎月1回以上開催するようにしなければならず、事業者は、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを2年間保存しなければならない。
答95 × 「2年間」ではなく、「3年間」である。(則23条1項、4項)テキストP138
【コメント】
会社(使用者、事業者、事業主)に係る「書類の保存」規定は、労基法、安衛法、労災法、雇用法、健保法、厚年法に出てきますが、原則として、「被保険者のいない法律は3年間(いない=3文字)、被保険者のいる法律は2年間(いる=2文字)」です。なお、労基法は、近年の改正で「ごとーさん=5年間(当分の間3年間)」になっています。
問96 総括安全衛生管理者の選任は、総括安全衛生管理者を選任すべき事由が発生した日から14日以内に行わなければならず、事業者は、総括安全衛生管理者を選任したときは、遅滞なく、報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
答96 〇 安全管理者、衛生管理者、産業医についても同様の規定がある。(則2条)テキストP132
【コメント】
「14日以内」と「遅滞なく」の入れ替えにも注意しましょう。(じゅ~したいなくの順です。)
問97 選任すべき安全管理者の数については、一般的規定は設けられていないが、事業場の規模、作業の態様等の実態に則し、必要な場合には、2人以上の安全管理者を選任するように努めなければならない。
答97 〇 (昭和41.1.22基発46号)テキストP133
【コメント】
衛生管理者との比較論点です。衛生管理者の規模別の選任数(問93参照)については、しっかり押さえておきましょう。
問98 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、衛生管理者の増員又は解任を命ずることができる。
答98 〇 安全管理者についても同様の規定がある。(法11条2項)テキストP134
【コメント】
安全衛生管理体制に係る行政介入の中で、「ぞうカメ(増員・解任命令)」があるのは、安全管理者、衛生管理者、元方安全衛生管理者です。
問99 都道府県労働局長は、必要があると認めるときは、地方労働審議会の議を経て、衛生管理者を選任することを要しない2以上の事業場で、同一の地域にあるものについて、共同して衛生管理者を選任すべきことを勧告することができる。
答99 〇 いわゆる「共同の衛生管理者の選任」規定である。(則9条)テキストP134
【コメント】
出題確率は低いですが、選択式対策として「地方労働審議会」は覚えておいて損のない用語です。(試験対策上は、問題文の箇所しか出てきません。)
問100 事業者は、安全衛生推進者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由により職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
答100 × 安全衛生推進者については、代理者選任の規定はない。衛生推進者についても同様である。(該当規定なし)テキストP137
【コメント】
安全衛生管理体制のメンバーの中で、「代理者選任義務」があるのは、名前に「責任者か管理者」が付く人だけです。(どちらも「出て来い!」といって呼出しを受ける=いつもそこに居ないといけない人の名前ですね。)