冬休みの友・第8回解答
労働安全衛生法
【健康診断】
問141 短時間労働者が一般健康診断の対象となるための要件としては、期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年(一定の有害業務に従事する短時間労働者にあっては6月。以下において同じ。)以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)であり、かつ、その者の1週間の所定労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3以上であることとされている。
答141 〇 なお、1週間の所定労働時間が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の4分の3未満であっても、概ね2分の1以上である者に対しても、一般健康診断を実施することが望ましいとされている。(平成5.12.1基発663号)テキストP174
【コメント】
短時間労働者に対する健康診断の基準についての出題ですが、ポイントは、前段の常時使用する労働者としての定義については「1年」、後段の労働時間については「4分の3以上」です。
問142 法66条(一般健康診断及び特殊健康診断)の規定により実施される健康診断の費用については、事業者が負担することが望ましいとされている。
答142 × 法で事業者に健康診断の実施義務を課している以上、当然に事業者が負担すべきものである。(昭和47.9.18基発602号)テキストP177
【コメント】
労働安全衛生法の「名宛人」は事業者であることからも当然のことですね。
問143 深夜業に従事する労働者であって、常時使用され、自ら受けた健康診断を受けた日前6月間を平均して1月当たり3回以上深夜業に従事したものは、自ら受けた健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。
答143 × 設問の自発的健康診断の結果の提出を行うことができるのは、深夜業に従事する労働者であって、常時使用され、自ら受けた健康診断を受けた日前6月間を平均して「1月当たり3回以上」ではなくて、「1月当たり4回以上」深夜業に従事したものである。(法66条の2、則50条の2)テキストP177
【コメント】
実務では、「ロクイチヨン」健診といいます。
問144 事業者は、健康診断の結果(異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師又は歯科医師の意見を聴くように努めなければならない。
答144 × 医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。健康診断の結果についての医師等からの意見聴取は、事業者の義務である。(法66条の4)テキストP179
【コメント】
定番の文末論点(義務か努力か)です。
問145 事業者は、健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師又は保健師による保健指導を行わなければならない。
答145 × 保健指導を行うように努めなければならない。医師等による保健指導の実施は、事業主の努力義務である。(法66条の7)テキストP179
【コメント】
こちらも定番の文末論点です。前問の「医師からの意見聴取」は義務、本問の「保健指導」は努力(比較論点)です。そのほか、「保健師」にも気をつけておきましょう。「ほけんし~ど(努)~」です。
【健康診断、長時間労働に関する面接指導】
問146 事業者は、法66条の4(健康診断の結果について医師等からの意見聴取)の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の事情を考慮して、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全委員会又は安全衛生委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。
答146 × 「衛生委員会若しくは『安全委員会』又は安全衛生委員会」ではなくて、「衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は『労働時間等設定改善委員会』」である。(法66条の5)テキストP179未記載
【コメント】
安全委員会は、直接「健康」とは関係がないからですね。
問147 事業者は、健康診断を受けた労働者に対し、遅滞なく、その結果を通知しなければならない。
答147 〇 (法66条の6)テキストp178
【コメント】
秘密にしておく!?わけにはいかないからですね。
問148 長時間労働に関する面接指導の結果に基づく医師からの意見聴取は、面接指導が行われた後(他の医師が行う面接指導に相当する面接指導を受けた場合にあっては、当該労働者が面接指導の結果を証明する書面を事業者に提出した後)、遅滞なく行わなければならない。
答148 〇 (則52条の7)テキストP180
【コメント】
ポイントは、「遅滞なく」(健康診断との比較論点)です。面接指導を受けるということは、心の病に罹っているかもしれないため、事は急を要するからです。(健康診断の場合は、原則として、健康診断が行われた日から「3月以内」とされています。)
問149 産業医は、長時間労働に関する面接指導の対象となる労働者の要件に該当する労働者に対して、面接指導の申出を行うよう勧奨することができる。
答149 〇 (則53条の3)テキストP180
【コメント】
ポイントは、「勧奨」です。長時間労働に関する面接指導は、「労働者の申出」が要件となっているため、産業医は、躊躇している方の背中を押す(受けないかんしょ)ことができます。
問150 事業者は、長時間労働に関する面接指導(事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において当該労働者が受けた面接指導を含む。)の結果に基づき、面接指導の結果の記録を作成して、これを5年間保存しなければならない。
答150 〇 (則52条の6)テキストP180
【コメント】
ポイントは、「5年間」です。健康診断個人票の保存期間(個人票の「コ」と「ゴ」をつなぐ)と同じです。
【心理的な負担の程度を把握するための検査】
問151 事業者は、常時使用する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、所定の事項について、医師等による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
答151 × 「6月以内ごとに1回」ではなく、「1年以内ごとに1回」である。(法66条の10第1項、則52条の9)テキストP181
【コメント】
定期健康診断と同じ頻度になりますね。
問152 心理的な負担の程度を把握するための検査の実施者は、医師又は保健師に限られる。
答152 × 医師、保健師のほか、検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理師もストレスチェックの実施者となることができる。(法66条の10第1項、則52条の12)テキストP182
【コメント】
歯科医師と公認心理師は、人手不足で近年入ってきた新人さんです。選択式でも要注意人物です。
問153 心理的な負担の程度を把握するための検査について、常時使用される労働者数が100人未満の事業場においては、当分の間、その実施が努力義務とされている。
答153 × 「100人未満」ではなく、「50人未満」である。(法附則4条)テキストP182
【コメント】
産業医がいない事業場ですね。
問154 事業者は、心理的な負担の程度を把握するための検査を行った場合は、当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他一定規模の集団ごとに集計させ、その結果について分析させなければならない。
答154 × 「分析させなければならない」ではなく、「分析させるよう努めなければならない」である。(則52条の14)テキストP183
【コメント】
集団分析(例えば、会社の中でどの部署が一番高ストレス者が多いかなどを分析すること)は、あくまでも二次的な効果を狙ったものなので、できればして欲しいという願いをこめて努力義務規定になっています。
問155 心理的な負担の程度を把握するための検査を受けるために要した時間に係る賃金の支払いについては、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものである。
答155 〇 なお、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、検査を受けるために要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこととされている。(平成27.5.1基発0515第3号)テキストP181未記載
【コメント】
健康診断系で「労働時間」となることがはっきり決まっているのは、「特殊健康診断(歯科医師による健康診断を含む)」のみです。
【総則その他】
問156 労働安全衛生法において、「労働災害」とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
答156 〇 「労働災害」とは、業務に起因した「事故」そのものを意味するのではなく、事故の結果生じた労働者の被害のことをいう。(法2条)テキストP127
【コメント】
労働災害は、大きく2つの要因によって発生することにも(選択式対策として)気をつけておきましょう。(① 作業環境(就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等)、② 作業行動)
問157 安衛法において、「労働者」とは、労働基準法9条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
答157 〇 なお、労働基準法9条では、「労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。」と定義されている。(法2条)テキストP127
【コメント】
労働安全衛生法は、昭和47年に施行されましたが、それ以前は、労働基準法に「安全又は衛生」という項目で規定されていました。そのため、労働者の定義は、労働時基準法と同じものになります。
問158 事業者は、単に労働安全衛生法で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。
答158 〇 「事業者の責務」の規定である。(法3条)テキストP127
【コメント】
この問題が出たら、「文末一直線(義務か努力義務か)」が論点ですが、選択式にも要注意です。
問159 労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
答159 〇 「労働者の責務」の規定である。(法4条)テキストP128
【コメント】
この問題も「文末一直線(義務か努力義務か)」が論点ですが、選択式にも要注意です。
問160 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内等における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、四半期ごとにその最後の月の翌月末日までに、労働者死傷病報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
答160 × 「四半期ごとにその最後の月の翌月末日までに」ではなく、「遅滞なく(休業の日数が4日未満のときは、四半期ごとにその最後の月の翌月末日までに)」である。(則97条)テキストP190
【コメント】
死(し)傷病報告は「し」がポイント(四半期のし、4日のし、したいなく?のし)ですが、報告期限が2パターンに分かれていることをしっかり押さえておきましょう。これまた選択式にも要注意です。
【派遣労働者】
問161 派遣労働者に関しての「長時間労働に関する面接指導」の実施の義務は、派遣先の事業者のみに課せられている。
答161 × 設問の義務は、派遣元の事業者のみに課されている。(法66条の8、平成18.2.24基発0224003号)テキストP177
【コメント】
健康診断系は、「特殊健康診断(歯科医師による健康診断を含む)」のみが派遣先ですね。
問162 派遣労働者に関しての安全管理者の選任の義務及び安全委員会の設置の義務は、派遣先及び派遣元の双方の事業者に課せられている。
答162 × 設問の義務は、派遣先の事業者のみに課されている。安全管理は、主として派遣先の問題であるからである。なお、事業規模の算定に当たっては、派遣先の事業場は、派遣中の労働者を含めて、常時使用する労働者の数を算出する。(法11条、労働者派遣法45条、昭和61.6.6基発333号)テキストP145
【コメント】
「安全オンリー(「安全」管理者、「安全」委員会)派遣先」ですね。
問163 派遣労働者が派遣就業中に労働災害により死亡し、又は休業した場合、派遣先及び派遣元の事業者は、労働者死傷病報告書をそれぞれの所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
答163 〇 派遣労働者が被災した場合、派遣先及び派遣元の事業者は、労働者死傷病報告書をそれぞれの所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(法100条、則97条、労働者派遣法45条)テキストP190
【コメント】
「先にも元にも支障(死傷)あり」です。
問164 派遣労働者の雇入れ時の安全衛生教育の実施の義務は、派遣先及び派遣元の双方の事業者に課せられている。
答164 × 設問の義務は、派遣元の事業者のみに課されている。(法59条、労働者派遣法45条)テキストP166
【コメント】
どちらが雇っているかを考えれば当たり前ですね。
問165 派遣労働者の職長等の安全衛生教育の実施の義務は、派遣元の事業者のみに課されている。
答165 × 設問の義務は、派遣先の事業者に課されている。(法60条、労働者派遣法45条)テキストP168
【コメント】
「危険・有害系」は、派遣先です。一般的に派遣会社自体に危険・有害業務は存在しません。
【届出その他】
問166 2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合には、当該事業者は、そのうちの1人を代表者として定め、当該仕事の開始の日の14日前までに、これを当該仕事が行われる場所を管轄する労働基準監督署長を経由して、都道府県労働局長に届け出なければならない。
答166 〇 なお、労働安全衛生法の適用においては、当該事業(ジョイント・ベンチャー又は共同企業体という。)は、選定された代表者のみの事業と、当該代表者のみが当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者は当該代表者のみが使用する労働者とみなされることになる。(法5条)テキストP128
【コメント】
「ジョイントは、14(じよ)いんと(都道府県労働局長)」です。
問167 都道府県労働局長は、事業場の施設等について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるときは、事業者に対し、安全衛生改善計画を作成することを指示することができる。
答167 〇 なお、事業者が、安全衛生改善計画を作成する場合には、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、当該労働組合がないときは労働者の過半数代表者の意見を聴かなければならない。(法79条1項)テキストP187
【コメント】
法78条の重大な労働災害に係る「特別安全衛生改善計画(厚生労働大臣→指示)」と比較をしておきましょう。
問168 労働者は、事業場に労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反する事実があるときは、その事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長又は労働基準監督官に申告して是正のため適当な措置をとるように求めることができる。
答168 〇 なお、事業者は、設問の申告をしたことを理由として、労働者に対し、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(法97条1項)テキストP189
【コメント】
あってしかりの規定です。労働基準法104条にも同様の規定(監督機関に対する申告)があります。確認しておきましょう。
問169 事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
答169 × 「労働基準監督署長」ではなく、「厚生労働大臣」である。「大規模建設業の仕事の届出」規定である。高さが300メートル以上の塔の建設の仕事、長さが3,000メートル以上のずい道等の建設の仕事などが該当する。(法88条3項)テキストP188
【コメント】
安衛法の届出論点は、「いつまでに」と「誰に」です。この規定の届出先は、「大」ちゃんつながり(大規模→大臣)で覚えましょう。
問170 事業者は、建設業及び土石採取業の仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、労働基準監督署長に届け出なければならない。
答170 〇 「一定建設業等の仕事の届出」規定である。最大支間50メートル以上の橋梁の建設の仕事、坑内掘りによる土石の採取のための掘削の作業を行う仕事などが該当する。(法84条4項)テキストP188
【コメント】
こちらは、「いし」つながり(土石→14日)で覚えましょう。