択一式定番問題第3回

第3回は、「雇用保険法(21問)」と「労働保険徴収法(9問)」です。前回同様、すべて「誤り」の問題(過去問ベースの問題)です。

その前にちょっと一言、18日の答練の解説時にお伝えしたものですが、いらっしゃらなかった方へ「労働シックス(施策)総合推進法」の目的条文(法1条1項)について。(選択式の「本命」と言われている条文です。「本命」が出題されるかどうかは、「神のみぞ知る」ですが・・・)

「この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な事情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。」

上記条文が、そのまま姿焼きで出題された場合のお話ですが、「労働」という言葉が6回(労働シックス)出てきます。それから、「経済」という言葉が3回(エコノみっつ)出てきます。困ったときの助け舟になるかもしれないと思いお伝えしておきます。
ちなみに、この条文の選択式のキーワードは、「労働市場の機能」、「労働者の多様な事情」、「労働生産性の向上」、「完全雇用の達成」です。

●雇用保険法
問1 同時に2つの適用事業に雇用される労働者は、週当たりの所定労働時間が通算して20時間以上であれば、両方の適用事業において被保険者となる。

答1 同時に2以上の雇用関係にある労働者については、当該2以上の雇用関係のうち一の雇用関係(原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受けている雇用関係とする。)についてのみ被保険者となる。

問2 労働者が適用事業に雇い入れられて被保険者となった場合、事業主は、その者が被保険者となった日の翌日から起算して10日以内に、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に、雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければならない。

答2 事業主は、雇用する労働者が被保険者となったことについて、「当該事実のあった日の属する月の翌月10日まで」に、その事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に、雇用保険被保険者資格取得届を提出しなければならない。(この届出期限(翌月10日まで)は、数ある被保険者関係の届出の中で、「資格取得届」のみですね。)

問3 雇用保険被保険者証の交付を受けた者が、当該被保険者証を滅失又は損傷し、その再交付を受ける場合は、その者の住所を管轄する公共職業安定所の長に申請しなければならない。

答3 被保険者証の再交付を申請する者は、その者の「選択する」公共職業安定所の長に申請すれば足りる。(「洗濯(選択)してしまって破れたので再交付してください」ですね。)

問4 被保険者又は被保険者であった者が、被保険者資格の得喪に関する確認請求を行う場合は、天災その他やむを得ないと認められる場合を除いて、文書により行わなければならない。

答4 確認の請求は、「文書又は口頭のいずれでも」行うことができる。(「いつでもできる」ことにも注意してください。)

問5 事業主は、雇用保険に関する書類を、その完結の日から3年間(被保険者に関する書類にあっては、5年間)保管しなければならない。

答5 事業主は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は徴収法施行規則による書類を除く。)をその完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあっては、「4年間」)保管しなければならない。

問6 基本手当の受給資格者が失業の認定を受けるためには、認定日に管轄公共職業安定所に出頭し、失業認定申告書に雇用保険被保険者証を添えて提出した上で、職業の紹介を求めなければならない。

答6 受給資格者は、失業の認定を受けようとするときは、失業の認定日に、管轄公共職業安定所に出頭し、失業認定申告書に「受給資格者証」を添えて提出した上、職業の紹介を求めなければならない。(失業中の手続きは、何はさておき「受給資格者証」です。)

問7 受給資格者に係る失業の認定は、失業の認定日において、前回の失業の認定日(初回の失業の認定日の場合は、求職の申込みの日)の翌日から当該失業の認定日当日までの28日の各日について行われるのが原則である。

答7 前回の失業の認定日(初回の失業の認定日の場合は、求職の申込みの日)から当該失業の認定日の前日までの28日の各日について行われるのが原則である。(失業の認定日は、その日に仕事をする可能性があるからですね。また、公共職業訓練等受講中の受給資格者については、「1月に1回、直前の月に属する各日について行う」ことも忘れないでください。)

問8 基本手当の日額は、原則として、その者について算定された賃金日額に、100分の80から100分の60までの範囲で定められた率を乗じて得た金額であるが、受給資格に係る離職の日に60歳以上65歳未満の者については、上記の範囲は100分の80から100分の50までに拡大される。

答8 基本手当の日額は、原則として、その者について算定された賃金日額に100分の80から「100分の50」までの範囲で定められた率を乗じて得た金額とされているが、離職の日において60歳以上65歳未満である受給資格者の基本手当の日額については、賃金日額に100分の80から「100分の45」までの範囲で定められた率を乗じて得た金額とされている。

問9 賃金日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の3か月間に支払われた賃金の総額(臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除く。)を、その期間の総日数で除して得た金額である。

答9 賃金日額は、原則として、被保険者期間として計算された最後の「6か月間」に支払われた賃金の総額(臨時に支払われる賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は除く。)を、「180」で除して得た金額である。

問10 被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、その者が当該離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間(ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間は除く。)は、基本手当が支給されない。

答10 受給資格者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合、又は正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合は、「待期期間の満了後」1か月以上3か月以内の間で公共職業安定所長の定める期間(ただし、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わった日後の期間は除く。)は、基本手当は支給されない。

問11 基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後の最初の7日については支給されず、この7日には、その者が職業に就いた日及び負傷又は疾病のため職業に就くことができない日も含まれる。

答11 基本手当は、受給資格者が当該基本手当の受給資格に係る離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む。)が通算して7日に満たない間は、支給されない。その者が「負傷又は疾病のため職業に就くことができない日」は待期期間に含まれるが、「職業に就いた日」は待期期間に含まれない。

問12 期間の定めのある労働契約の更新により2年以上引き続き雇用されてきた者が、本人が契約更新を希望していたにもかかわらず、契約更新がなされなかったために離職した場合には、特定受給資格者となる。

答12 「2年以上」ではなく、「3年以上」である。(特定受給資格者となり得る規定のうち、条文どおりの出題で「数字が一つ」の場合は、必ず「3」です。)

問13 個別延長給付の適用を受けることのできる受給資格者であっても、同時に訓練延長給付の対象となる場合には、まず訓練延長給付が行われ、それが終わった後でなければ、個別延長給付は行われない。

答13 個別延長給付又は地域延長給付、広域延長給付、全国延長給付、訓練延長給付の順に優先度が高いものとされている。(「こっち、こうぜん君」ですね。)

問14 高年齢求職者給付金の額は、被保険者であった期間が1年未満の場合、基本手当の日額(その者を一般被保険者とみなした場合に適用されることになる基本手当の日額を意味する。)の45日分である。

答14 「45日分」ではなく、「30日分」である。(算定基礎期間1年未満:30日分、算定基礎期間1年以上:50日分。「これ(50)だけでさみ(30)し~い」ですね。)

問15 日雇労働被保険者となった者(日雇労働被保険者の任意加入の認可を受けた者は除く。)は、その事実のあった日から起算して10日以内に、日雇労働被保険者資格取得届を提出しなければならない。

答15 「10日以内に」ではなく、「5日以内に」である。(「いつか(5日)日雇労働被保険者になってみたい!」ですね。)

問16 就業手当の額は、現に職業に就いている日について、基本手当の日額に10分の4を乗じて得た額である。

答16 「10分の4」ではなく、「10分の3」である。(「父さん(10・3)ちょこっとバイトした。」ですね。)

問17 受給資格者が安定した職業に就いた日前3年以内の就職について常用就職支度手当を受給したことがある場合であっても、所定の要件を満たせば、再就職手当を受給することが可能である。

答17 受給資格者等が、安定した職業に就いた日前3年以内の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがあるときは、再就職手当又は常用就職支度手当は支給されない。

問18 受講開始時に適用事業Aで一般被保険者として雇用されている者が、その前に適用事業Bで一般被保険者として雇用されていた場合、Bの離職後に基本手当を受給したことがあれば、教育訓練給付金の支給要件期間の算定に当たって、Bにおける雇用期間は通算されない。

答18 基本手当等の受給の有無は、支給要件期間の通算には影響しない。(基本手当等の受給の有無が期間の通算に影響するのは、「算定基礎期間」です。)

問19 被保険者が初めて育児休業給付金の支給を受けようとする場合、支給単位期間の初日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までに、育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書を、原則として、事業主を経由して所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。

答19 「2か月」ではなく、「4か月」である。
【雇用継続給付の支給申請期限】
「すべて月末まで。「初回」とあるところは「4か月」=始発(4初)」
(1)高年齢雇用継続基本給付金(初回):支給対象月の初日から起算して「4か月」以内
(2)高年齢再就職給付金(初回):再就職後の支給対象月の初日から起算して「4か月」以内
(3)育児休業給付金(初回):支給単位期間の初日から起算して「4か月」を経過する日の属する月の末日まで
(4)介護休業給付金:介護休業を終了した日の翌日から起算して「2か月」を経過する日の属する月の末日まで

問20 介護休業給付金の支給を受けることができる一般被保険者に係る休業開始時賃金日額の最高額は、受給資格者に係る賃金日額の最高額と同様に、当該被保険者の介護休業を開始した日における年齢により異なる。

答20 休業開始時賃金日額の最高額は、年齢に関わりなく、「45歳以上60歳未満≒介護年齢」の額を適用する。(育児休業給付金に係る休業開始時賃金日額の最高額については、「30歳以上45歳未満≒育児年齢」の額を適用します。)

問21 政府は、偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者に対し、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずるとともに、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の3倍に相当する額の金額を納付することを命ずることができる。

答21 偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の「2倍」に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。

●労働保険徴収法
問22 所轄都道府県労働局歳入徴収官の承認を受けて、口座振替による労働保険料の納付を行う事業主については、所轄都道府県労働局歳入徴収官が指定する日までに納付すれば、その納付は、納期限においてされたものとみなされる。

答22 所轄都道府県労働局歳入徴収官により送付された納付書が、金融機関に到達した日から2取引日(金融機関の休日以外の日)を経過した最初の取引日までに納付すれば、その納付は、納期限においてされたものとみなされる。(「口座振替はニトリ(2取)で」ですね。)

問23 既に納付した概算保険料の額が申告した確定保険料の額を超える場合、事業主が充当の申出を行った場合は、次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料その他徴収法の規定による徴収金に充当され、充当の申出のない場合は超過額が還付される。

答23 事業主が、確定保険料申告書を提出する際に、又は確定保険料の認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に、それぞれ、すでに納付した概算保険料の額のうち、確定保険料の額を超える額の還付を請求したときは、官署支出官又は所轄都道府県労働局資金前渡官吏が、その超過額を還付する。事業主からの還付請求がない場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官が、次の保険年度の概算保険料等に充当する。

問24 事業主が印紙保険料の納付を怠った場合に、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとされており、その納付は原則として現金により納付することとなっているが、雇用保険印紙によっても行うことができる。

答24 認定決定された印紙保険料及びその追徴金は、雇用保険印紙で納入することができず、現金で納付しなければならない。(「悪いことをしたので、ニコニコ(追徴金の率=100分の25)現金でお支払い」ですね。)

問25 概算保険料申告書を提出しなかったためにいわゆる認定決定の通知を受けた事業主は、その政府が決定した労働保険料のほか、その労働保険料の額に100分の10を乗じて得た額の追徴金を納付しなければならない。

答25 概算保険料の認定決定については、追徴金は課されない。(確定保険料の認定決定については、追徴金が課されます。)

問26 事業主は、あらかじめ雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けることにより、公共職業安定所にて雇用保険印紙を購入することができる。

答26 総務大臣が厚生労働大臣に協議して定める「日本郵便株式会社の営業所(郵便の業務を行うものに限る。)」にて雇用保険印紙を購入することができる。(公共職業安定所では、印紙は売っていません。)

問27 事業主は、雇用保険印紙を購入しようとするときは、あらかじめ雇用保険印紙購入通帳交付申請書を所轄公共職業安定所長に提出して、雇用保険印紙購入通帳の交付を受けなければならないが、その新たに交付を受けた雇用保険印紙購入通帳の有効期間は、交付の日の翌日から1年間である。

答27 雇用保険印紙購入通帳は、「その交付の日の属する保険年度に限り」、その効力を有する。(なお、雇用保険印紙購入通帳の有効期間の更新は、3月1日から3月31日までの間に行わなければならないこととされています。)

問28 延滞金は、督促状により指定する期限の翌日から労働保険料の完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算される。

答28 延滞金は、「納期限」の翌日からその完納又は財産差押えの日の前日までの日数により計算される。(健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法でも共通の部分です。しっかり押さえておきましょう。)

問29 政府が追徴金又は延滞金を徴収する場合において、その徴収について、事務組合の責めに帰すべき理由があるときは、その限度で事務組合が政府に対して当該徴収金の納付の責めに任ずることとなるので、その納付責任が、当該事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に及ぶことはない。

答29 労働保険事務組合が納付すべき徴収金については、政府が労働保険事務組合に対して滞納処分を行っても、なお徴収すべき残余がある場合に限り、その残余の額を当該事業主から徴収することができることとされている。

問30 労災保険に係る労働保険の保険関係が成立しているすべての事業の事業主は、労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならない。

答30 労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならないことになっているのは、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち「建設の事業」に係る事業主に限られる。

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