本日の受験弁当
〔問1〕択一式定番問題(労働基準法)
法36条1項ただし書においては、36協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出た場合であっても、坑内労働その他厚生労働省令で定める危険な業務又は健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、1日について2時間を超えてはならないとされている。
〔問2〕判例選択式(労働基準法)
最高裁判所の判例によると、労働基準法第114条の付加金支払義務は、使用者が同法第20条の予告手当等を支払わない場合に、当然発生するものではなく、【 A 】により裁判所がその支払を命ずることによって、初めて発生するものと解すべきであるから、使用者に同法第20条の違反があっても、既に予告手当に相当する金額の支払を完了し使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、労働者は同法第114条による付加金請求の申立をすることができないものと解すべきである、とされている。
- 選択肢
①労働者の申告 ②労働者の請求 ③労働基準監督署長の申請 ④労働基準監督署長の認定
〔答1〕× 労働時間の延長時間が1日2時間以内に制限されているのは、「坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務」であり、「危険な業務」については対象になっていない。(労働基準法36条1項)
〔答2〕A:労働者の請求(最判昭和35年「細谷服装事件」)
【細谷服装事件】
1.事案概要
Y会社は、その雇用するXに対して、昭和24年8月4日に、予告手当を支給することなしに一方的に解雇の通告をした。その後、1審の口頭弁論の終結日である昭和26年3月19日に至り、昭和24年8月分の給料1万円と予告手当の額として給料1か月分に相当する1万円に当日までの遅延利息を加算した額をXに対して支払った。Xは、解雇の効力は、昭和26年3月19日までは生じなかったと主張して、昭和24年8月分から昭和26年3月分までの賃金の未払い等及び付加金請求を訴えた事案。
2.試験対策上の論点
(1)解雇予告手当が遅れて支払われ、その後労働者が裁判所に請求した場合、使用者に付加金支払義務が発生するか。
(2)解雇予告義務に違反して行われた解雇は有効か。
3.試験対策上の結論
(1)発生しない。(付加金支払義務は、使用者が予告手当等を支払わない場合に、当然発生するものではなく、労働者の請求により裁判所がその支払を命ずることによって、初めて発生するものと解すべきであるから、使用者に労働基準法20条の違反があっても、既に予告手当に相当する金額の支払を完了し使用者の義務違反の状況が消滅した後においては、労働者は同条による付加金請求の申立をすることができない。)
(2)無効だが、即時解雇の意思がなければ30日経過後に有効となる。(使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず、または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合、その通知は即時解雇としては効力を生じないが、使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り、通知後同条所定の30日の期間を経過するか、または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは、そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであって、本件解雇の通知は30日の期間経過と共に解雇の効力を生じたものとする原判決の判断は正当である。)
4.択一式出題例(平成19年度)
使用者が、労働基準法20条所定の予告期間を置かず予告手当の支払もしないで労働者に解雇の通知をした場合には、解雇の通知後30日の期間を経過したとしても解雇の効力は発生しないとするのが最高裁判所の判例である。
〔答〕×