社会保険労務士試験・論点ファイル

科目:労働基準法
項目:総則

1.法1条1項において「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」とされているが、この「労働条件」とは、「職場における一切の待遇」をいい、一定の項目に限定されているわけではない。

●過去問(平成25年度出題)
労働基準法第1条にいう「労働条件」とは、賃金、労働時間、解雇、災害補償等の基本的な労働条件を指し、安全衛生、寄宿舎に関する条件は含まない。(×)

2.法2条2項において「労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。」とされており、使用者のみならず、労働者についても遵守義務を課している。

●過去問(平成21年度出題)
使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実にその義務を履行しなければならないが、使用者よりも経済的に弱い立場にある労働者についてはこのような義務を定めた規定はない。(×)

3.法3条(均等待遇)にいう差別的取扱い禁止事項は、「国籍、信条又は社会的身分」に限定されており、性別、人種等その他の事項については、その対象となっていない。

●過去問(平成29年度出題)
労働基準法第3条は、使用者は、労働者の国籍、信条、性別又は社会的身分を理由として、労働条件について差別的取扱をすることを禁じている。(×)

4.法4条において「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について差別的取扱いをしてはならない。」とされているが、この「差別的取扱い」には、不利に取扱う場合のみならず、有利に取扱う場合も含まれる。

●過去問(平成21年度出題)
労働基準法第4条が禁止する女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、女性を男性より有利に取扱う場合は含まれない。(×)

5.法6条は、中間搾取(業として他人の就業に介入して利益を得ること)を禁じているが、法律に基づいて許される場合がある。

●過去問(平成23年度出題)
何人も、他の法律の定め如何にかかわらず、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。(×)