週間「超ミニ本試験」第1回/②解答・解説
【労災保険法】
1.通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合でも、その逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむをえない事由により行うための最小限度のものであるときは、その逸脱又は中断の間及びその後の移動は、通勤に該当する。
× 通勤としての移動の経路を逸脱し、又は移動を中断した場合でも、その逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむをえない事由により行うための最小限度のものであるときは、その逸脱又は中断の間を除き、その後の移動は、通勤に該当する。逸脱・中断中は、いかなる場合であっても通勤に該当しない。(法7条3項)テキストP213
2.傷病補償年金、複数事業労働者傷病年金又は傷病年金は、政府の職権によって支給が決定されるものであるから、これを受ける権利に関して労災保険法では時効について定めていないが、支給が決定された年金の支払期ごとに生ずる請求権については、会計法上の時効の規定が適用される。
〇 傷病(補償)等年金は、被災労働者の請求ではなく労働基準監督署長の職権で支給決定がされるため、これを受ける権利(基本権)については時効の問題は生じないが、支給が決定された年金の支払期ごとに生ずる請求権(支分権)については、会計法30条の規定により5年で時効消滅する。(法42条、昭和52.3.30基発192号)テキストP277
3.障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族は、労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていた配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹である。
× 障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族は、設問のほかに、労働者の死亡の当時その者と生計を同じくしていなかった配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹が含まれる。(法附則58条2項)テキストP239
4.遺族補償年金の受給資格要件の一つである厚生労働省令で定める障害の状態は、身体に障害等級第5級以上に該当する障害がある状態又は傷病が治らないで、身体の機能若しくは精神に、労働が高度の制限を受けるか、若しくは労働に高度の制限を加えることを必要とする程度以上の障害がある状態である。
〇 (則15条)テキストP242
5.船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった際現にその船舶に乗っていた労働者若しくは船舶に乗っていてその船舶の航行中に行方不明となった労働者の生死が3か月間わからない場合又はこれらの労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付、葬祭料、障害補償年金差額一時金、遺族給付、葬祭給付及び障害年金差額一時金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となった日又は労働者が行方不明となった日に、当該労働者は、死亡したものと推定する。
〇 死亡の推定の規定である。(法10条、法附則58条4項)テキストP255
6.労災保険法の障害補償年金前払一時金が支給されたことにより、労災保険の障害補償年金が支給停止されるときは、国民年金法30条の4の規定による(いわゆる20歳前傷病による)障害基礎年金の支給停止が解除される。
× 国民年金法30条の4の規定(いわゆる20歳前障害)による障害基礎年金は、労災保険法による障害補償年金が障害補償年金前払一時金が支給されたことにより全額支給停止された場合であっても、支給されない。(法附則49条6項、国民年金法36条の2第2項)テキストP262、テキスト社会保険科目P183
7.休業特別支給金の額は、1日につき休業給付基礎日額の100分の30に相当する額である。
× 「100分の30」ではなく、「100分の20」である。(特別支給金支給規則3条1項)テキストP268
【労働保険徴収法】
8.労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業に該当する場合の保険関係成立届の提出先は、所轄労働基準監督署長である。
〇 (則1条1項1号)テキストP388
9.徴収法には、労働保険の事業に要する費用に充てるため政府が徴収する保険料(労働保険料)の種類として、一般保険料、第一種特別加入保険料、第二種特別加入保険料、第三種特別加入保険料及び印紙保険料が規定されている。
× 労働保険料の種類は、一般保険料、第一種特別加入保険料、第二種特別加入保険料、第三種特別加入保険料、印紙保険料及び「特例納付保険料」である。(法10条2項)テキストP397
10.数次の請負による建設の事業において下請負人に係る事業が一定の規模以上であるときは、当該下請負人の請負に係る事業については、請負事業の一括はなされないこととされている。
× 請負事業の一括は、下請負事業の規模にかかわらず、法律上当然に行われる。なお、下請負人の請負に係る事業規模が一定規模以上である場合は、下請負事業の分離申請(厚生労働大臣の認可)により、当該下請負人をその事業主とすることができることとされている。(法8条1項、則7条)テキストP392~393