週間「超ミニ本試験」第2回/①解答・解説
【労働基準法】
1.法3条は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、労働条件について差別をすることを禁じているが、これは雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制限する規定ではないとするのが、最高裁判所の判例である。
〇 (法3条、最判昭和48.12.12三菱樹脂本採用拒否事件)テキストP14
2.移籍型出向は、出向先との間にのみ労働契約関係がある形態であり、出向元と出向労働者との労働契約関係は終了していることから、移籍型出向の出向労働者については、出向先についてのみ労働基準法の適用がある。
〇 なお、在籍型出向の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。(法10条、昭和61.6.6基発333号)テキストP18
3.使用者は、労働者が出産、疾病、災害等の非常の場合の費用に充てるため請求する場合においては、支払期日前であっても、次回の賃金支払日に支払うべき賃金を支払わなければならない。
× 設問の「非常時払」の規定に基づき支払わなければならない賃金は、既往の労働に対する部分であり、未だ労務の提供のない部分についてまで支払う必要はない。(法25条)テキストP45
4.「所定労働時間を超える労働の有無」は、法15条1項の規定により使用者が労働契約の締結に際して明示しなければならない労働条件(いわゆる絶対的明示事項)の一つとされており、また、法89条において就業規則に記載しなければならない労働条件(いわゆる絶対的必要記載事項)の一つとされている。
× 「所定労働時間を超える労働の有無」は、法15条1項の規定により使用者が労働契約の締結に際して明示しなければならない労働条件(いわゆる絶対的明示事項)の一つとされているが、法89条において就業規則に記載しなければならない労働条件(いわゆる絶対的必要記載事項)には含まれていない。(法15条1項、89条、則5条1項)テキストP24、106~107
5.フレックスタイム制における労使協定は、清算期間が1か月を超える場合に限り、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
〇 (法32条の3第4項)テキストP72
6.1日の所定労働時間7時間、1週間の所定労働日数4日の勤務形態で採用されたパートタイム労働者が、採用後5か月を経過した時点で、週4日の勤務のままで、1日の所定労働時間が8時間に変更になった。この労働者がその雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した場合においては、使用者は、当該労働者に対し、10労働日の年次有給休暇を付与しなければならない。
〇 年次有給休暇は、基準日(初年度の場合は、労働者の雇入れの日から起算して6か月間継続勤務した日)において発生するものである。設問の場合、雇入れ当初は比例付与の対象となっているが、基準日において週所定労働時間が32時間となっており、比例付与の対象とならない。したがって、通常の労働者の付与日数である10労働日の年次有給休暇を与えなければならない。(法39条3項、昭和63.3.14基発150号)テキストP86~87
7.使用者は、法66条2項の規定により、妊産婦が請求した場合においては、法33条1項及び3項並びに36条1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならないが、この法66条2項の規定は、法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦にも適用される。
× 法41条2号に規定する監督又は管理の地位にある妊産婦については、法66条2項の時間外・休日労働に係る就業制限の規定は適用されない。(法41条2号、66条2項)テキストP101~102
【労働安全衛生法】
8.事業者は、常時50人の労働者を使用する旅館業の事業場においては、安全管理者を選任する必要はない。
× 常時50人以上の労働者を使用する旅館業(屋内産業的工業的業種)の事業場においては、安全管理者を選任する必要がある。(法11条1項、令3条)テキストP132~133
9.派遣労働者に対する労働安全衛生法59条1項の規定に基づく雇入れ時の安全衛生教育は、派遣先事業者に実施義務が課せられており、派遣労働者を就業させるに際して実施すべきものとされている。
× 雇入れ時の安全衛生教育は、「派遣元事業者」に実施義務がある。(法59条1項、労働者派遣法45条)テキストP166
10.長時間労働に関する面接指導の対象となる労働者とは、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者であり、当該労働者が申し出た場合に限り、事業者に面接指導を行う義務が課せられる。
〇 (則52条の2)テキストP179~180