週間「超ミニ本試験」第6回/①解答・解説
【労働基準法】
1.下請負人がその雇用する労働者の労働力を自ら直接利用するとともに、当該業務を自己の義務として相手方(注文主)から独立して処理するものである限り、注文主と請負関係にあると認められるから、自然人である下請負人が、たとえ作業に従事することがあっても法9条の労働者ではなく、法10条にいう事業主である。
〇 なお、「自然人である下請負人」とは、下請の個人事業の事業主のことである。この者は、現場で労働者に混じって働く場合であっても、事業主という立場に変わりはない。(法10条、昭和63.3.14基発150号)テキストP18
2.法24条1項の賃金全額払の原則は、労働者が退職に際し自ら賃金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、その意思表示の効力を否定する趣旨のものと解することができ、それが自由な意思に基づくものであることが明確であっても、賃金債権の放棄の意思表示は無効であるとするのが、最高裁判所の判例である。
× 設問の場合、労働者の自由な意思に基づくものであることが明確であるときは、賃金債権の放棄の意思表示は有効であるとするのが最高裁判所の判例である。(最判昭和48.1.19「シンガー・ソーイング・メシーン事件」)テキストP44
「キーワードは」「フリーストーン(自由な意思)」
3.労働者がパソコン等の情報通信機器を活用して自宅で業務に従事するいわゆる在宅勤務を行わせる場合は、労働契約の締結に際し、「業務の場所」として、労働者の自宅を明示する必要がある。
〇 (法15条1項、則15条1項、平成20.7.28基発0728001号)テキストP24
4.1週間単位の非定型的変形労働時間制については、日ごとの業務の繁閑を予測することが困難な事業に認められる制度であるため、1日の労働時間の上限は定められていない。
× 1日当たりの労働時間の上限は、10時間とされている。(則12条の4第4項)テキストP70
「そこが私の」「ウイーク(週)ポイント(10)」
5.36協定を締結し所轄労働基準監督署長に届け出た場合はもちろんのこと、災害その他避けることができない事由によって臨時の必要がある場合であっても、使用者は、満18歳未満の労働者に休日労働をさせることはできない。
× 満18歳未満の労働者(いわゆる年少者)であっても、法33条1項(災害等による臨時の必要がある場合の時間外・休日労働)の規定は適用されるので、災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合には、所定の手続きを経た上で休日労働を行わせることができる。(法33条1項、60条1項、61条4項)テキストP95~96
6.年次有給休暇の期間について、就業規則により所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合において、1か月単位の変形労働時間制を採用していることにより各日の所定労働時間が異なるときは、時給制の労働者に対しては、変形期間における1日当たりの平均所定労働時間に応じて算定される賃金を支払わなければならない。
× 変形労働時間制を採用している事業場における時給制の労働者の変形期間中における年次有給休暇の通常の賃金の算定方法は、平均所定労働時間ではなく、「各日の所定労働時間」に応じて算定することとされている。(法39条9項、昭和63.3.14基発150号)テキストP91
7.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)は、必ず就業規則に記載しなければならない絶対的必要記載事項であり、退職手当に関する事項は、その定めをする場合に限り就業規則に記載義務が生じる相対的必要記載事項である。
〇 (法89条)テキストP106
【労働安全衛生法】
8.事業者は、2人以上の安全管理者を選任する場合においては、そのうちの1人を除いては、その事業場に専属の者でない外部の労働安全コンサルタントを安全管理者として選任しても差し支えない。
× 安全管理者に選任された労働安全コンサルタントのうち、「1人を除いて専属でない外部の労働安全コンサルタントを選任できる」わけではなく、「労働安全コンサルタントのうち1人については専属の者でなくてもよい」とされている。(法11条1項、則4条1項2号)テキストP133
9.事業者は、労働者を本邦以外の地域に6月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、定期健康診断の項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師又は歯科医師が必要であると認める項目について、医師又は歯科医師による健康診断を行わなければならない。
× 「医師又は歯科医師」ではなく、「医師」である。なお、本邦外の地域に6月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、定期健康診断の検査項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならないこととされている。(則45条の2第1項)テキストP174~175
10.心理的な負担の程度を把握するための検査の実施については、産業医を選任しなければならない事業場以外の事業場については、当分の間、努力義務とされている。
〇 いわゆるストレスチェックの実施については、常時使用される労働者数50人未満の事業場については、当分の間、努力義務とされている。(法66条の10、法附則4条)テキストP182