週間「超ミニ本試験」第9回/⑤解答・解説

1.健康保険の被扶養者から外れる手続きについては、被保険者からの届出に基づいて行われるところであるが、被保険者である夫からの暴力を受けた妻が被扶養者から外れるに当たっては、当該被保険者である夫から届出がなされなくとも、被害者である妻から、一定の証明書を添付して被扶養者から外れる旨の申出がなされた場合には、被扶養者から外れることができる。

〇 被保険者の被扶養者から外れる手続については、被保険者からの届出に基づくこととされているが、配偶者である被保険者から暴力を受けた被扶養者が被扶養者から外れるに当たっては、当該届出は期待できないため、当該被保険者から届出がなされなくとも、被扶養者から、婦人相談所が発行する配偶者からの暴力を理由として保護した旨の証明書を添付して被扶養者から外れる旨の申出がなされた場合には、被扶養者から外れることができることとされている。(則38条2項、平成20.4.25庁保険発0425001号、平成25.11.18保保発1118第1号)テキストP111(未記載)

2.地域型健康保険組合が、不均一の一般保険料率の決定の認可を受けようとするときは、合併前の健康保険組合を単位として不均一の一般保険料率を設定することとし、当該一般保険料率並びにこれを適用すべき被保険者の要件及び期間について、組合会において組合会議員の定数の3分の2以上の多数により議決しなければならない。

〇 なお、不均一の一般保険料率を決定することができる期間は、当該合併が行われた日の属する年度及びこれに続く5か年度に限ることとされている。(法附則3条の2第2項、令25条の2)テキストP27

3.業務上の傷病として労働基準監督署に認定を申請中の未決定期間は、一応業務上の取扱いをし、最終的に業務上の傷病でないと認定され、健康保険による業務災害以外と認定された場合には、さかのぼって療養費、傷病手当金等の給付が行われる。

〇 設問にあるとおり、労災保険で業務上の傷病でないと決定されたものは、自動的に健康保険の業務災害以外として取り扱われるのではなく、健康保険の業務災害以外としての認定が必要となる。(昭和28.4.9保文発2014号)テキストP13(未記載)

4.被保険者の68歳の父(日本国内に住所を有する者とする。)が被保険者と同一の世帯に属している場合、被保険者の年間収入が450万円であり、当該父の年間収入が200万円であるときは、当該父は、被扶養者として認められない。

〇 60歳以上の被扶養者の認定対象者が被保険者と同一の世帯に属している場合、認定対象者の年間収入が180万円未満であって、かつ、原則として、被保険者の年間収入の2分の1未満であるときは生計維持関係を満たしているものとされるが、設問の父の年間収入が200万円であるため、被扶養者として認められない。(法3条7項1号、平成5.3.5保発15号・庁保発4号)テキストP41

5.70歳未満で標準報酬月額が53万円以上83万円未満である被保険者が、療養のあった月以前の12か月以内に既に高額療養費が支給された月数が3月以上あるときは、高額療養費算定基準額が44,400円に減額される。

× 「44,400円」ではなく、「93,000円」である。(令41条1項、42条1項)テキストP80

6.患者申出療養に係る申出は、厚生労働大臣の定めるところにより、厚生労働大臣に対し、当該申出に係る療養を行う医療法4条の3に規定する臨床研究中核病院(保険医療機関であるものに限る。)の開設者の意見書その他必要な書類を添えて行うものとする。

〇 なお、「臨床研究中核病院」とは、高度に専門的な知識や経験が要求される等実施に困難を伴う治験(医薬品や医療機器の製造販売に関して、医薬品医療機器等法上の承認を得るために行われる臨床試験)等を計画・実施できる専門部門及びスタッフを有し、基盤が整備された病院をいう。(法63条第4項)テキストP64

「かもりけ(鴨池)中」

7.定期昇給により基本給は上昇したが、それ以上に残業手当が減少したため、3か月間の報酬総額の平均額が結果として2等級以上下がった場合は、随時改定の対象とならない。

〇 固定的賃金は増加しても、それ以上に残業手当など非固定的賃金が減少したため、3か月間の平均額が結果として2等級以上下がった場合、また、逆に、固定的賃金は減少しても、それ以上に残業手当など非固定的賃金が増加し、3か月間に平均額が2等級以上上がった場合などは、たとえ2等級以上の差を生じても随時改定には該当しないものとして取り扱うこととされている。(43条1項、昭和50.3.29保険発25号)テキストP48(未記載)

8.健康保険の被保険者の資格取得の届出は、則25条3項に規定する特定法人の事業所の事業主にあっては、原則として、同項に規定する電子情報処理組織を使用して行うものとされている。

× 健康保険の被保険者の資格取得の届出は、特定法人に係る電子申請義務化の対象とされていない。特定法人について電子申請が義務化されているのは、①定時決定に係る報酬月額の届出、②随時改定に係る報酬月額変更の届出及び③標準賞与額に係る賞与額の届出の3つに限られる。(則24条)テキストP110

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9.任意継続被保険者は、保険料を前納しようとするときは、前納しようとする額を前納に係る初月の前月の末日までに払い込まなければならない。

〇 なお、保険料の前納は、原則として、4月から9月まで若しくは10月から翌年3月までの6月間又は4月から翌年3月までの12月間を単位として行うものとされている。(則139条1項)テキストP100

10.社会保険審査官に対する審査請求の対象となる事項は、①被保険者の資格、②標準報酬、③保険給付、④保険料等の賦課若しくは徴収又は滞納に関する処分である。

× 「保険料等の賦課若しくは徴収の処分又は滞納処分」に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができるとされている。(法189条1項、190条)テキストP108~109