社会保険労務士試験・論点ファイル

科目:労働基準法

項目:賃金

 

1.労働者が法令により負担すべき所得税、社会保険料等を事業主が代わって負担する場合は、賃金とみなされる。

 

  • 過去問(平成19年度出題)

労働者が法令の定めにより負担すべき社会保険料を使用者が労働者に代わって負担する場合は、労働者の福利厚生のために使用者が負担するものであるから、この使用者が労働者に代わって負担する部分は、労働基準法第11条の賃金には該当しない。(×)

 

2.解雇予告手当は、賃金ではない。

 

  • 過去問(平成26年度出題)

賞与、家族手当、いわゆる解雇予告手当及び住宅手当は、労働基準法第11条で定義する賃金に含まれる。(×)

 

3.「退職手当、慶弔見舞金(結婚手当、死亡弔慰金、私傷病見舞金等)」は、原則として賃金ではないが、労働協約、就業規則等によりあらかじめ支払条件が明確なものについては、(臨時の)賃金となる。

 

  • 過去問(平成22年度出題)

結婚手当は、使用者が任意的、恩恵的に支給するという性格を持つため、就業規則によってあらかじめ支給条件が明確に定められ、その支給が使用者に義務付けられている場合でも、労働基準法第11条に定める賃金には当たらない。(×)

 

4.賃金の通貨払の例外に「労働協約に別段の定めがある場合」があり、賃金の全額払の例外に「労使協定がある場合」がある。

 

  • 過去問(平成20年度出題)

使用者は、賃金を通貨で支払わなければならないが、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときには労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、通貨以外のもので支払うことができる。(×)

 

5.賞与について「支給日在籍要件」が設けられている場合、支給日前の退職者には具体的債権が発生していないため、支給日に在籍していない労働者に対する不支給は、賃金の全額払に違反しない。(最高裁判例)

 

  • 過去問(平成22年度出題)

賞与を支給日に在籍している者に対してのみ支給する旨のいわゆる賞与支給日在籍要件を定めた就業規則の規定は無効であり、支給日の直前に退職した労働者に賞与を支給しないことは、賃金全額払の原則を定めた労働基準法第24条第1項に違反するとするのが最高裁判所の判例である。(×)