ステイホームワーク第4回(解答)
労働基準法
●強制貯蓄の禁止と任意貯金
問31 使用者は、労働者の福祉の増進を図るため、労使協定に基づき、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をすることができる。
答31 × いかなる場合であっても労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をすることはできない。このことに例外はない。(法18条1項)
【コメント】
設問は、「強制貯蓄」に該当します。「働かせてやるから貯金をしろ」は、労働者の不当拘束(貯金を人質に取られ、辞めたくても辞められない)につながるためです。
問32 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
答32 〇 貯蓄金管理規程には、労使協定で定めた協定事項を中心に、その具体的な取扱い方法が定められることになる。なお、貯蓄金管理規程については、労使協定と異なり行政官庁への届出義務はない。(法18条3項)
【コメント】
設問の任意貯金をするためには、労使協定の締結・届出と貯蓄金管理規程の作成・周知が必須条件となります。
問33 金融機関が、使用者としての立場において労働者の委託を受けてその預金の受入れ又は預金通帳の保管を行う場合は、法18条の「労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合」には該当しない。
答33 × 金融機関が、その金融機関たる立場において、銀行法その他の法律に基づく本来の業務として預金の受入れ等を行うのではなくして、使用者としての立場において労働者の委託を受けてその預金の受入れ又は預金通帳の保管を行う場合は、法18条の「労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合」に該当する。(昭和41.12.24基発1359号)
【コメント】
たまたま務めた会社が銀行だったということですね。
問34 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入れであるときは、利子をつけなければならないこととされているが、使用者に義務づけられている下限利率は、年5分である。
答34 × 「年5分」ではなく、「年5厘」である。(法18条4項、預金省令4条)
【コメント】
「五厘ピックの金利メダル」ですね。任意貯金には、「社内預金」と「通帳保管」の2種類がありますが、「社内預金」は預かったお金を会社で運用して利子を付けることになるため、設問の「下限利率」が規定されています。
問35 法18条5項は、「使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、4週間以内に、これを返還しなければならない」と定めている。
答35 × 「4週間以内に」ではなく、「遅滞なく」である。(法18条5項)
【コメント】
「適当に誤りを作る」問題です。「4週間以内」という期限は、他の法律にも出てきません。(もし、本当にそうだったら絶対覚えています。)本試験ではこのような「ハッタリ的な入替え」もまま見られますので、敵の作戦にハマらないように気をつけましょう。
●解雇・退職
問36 使用者は、労働者が「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児・介護休業法」という。)の規定によって育児休業又は介護休業をする期間及びその後30日間は、当該労働者を解雇してはならない。
答36 × 事業主は、労働者が育児(介護)休業申出をし、又は育児(介護)休業をしたことを理由として当該労働者を解雇することはできない(育児・介護休業法10条、16条)が、解雇制限期間について設問のごとき規定はない。(法19条)
【コメント】
良くある「まやかし問題」ですね。本試験で出会ったら肘鉄(又はアンパンチ)をプレゼントしてあげてください。
問37 即時解雇の場合、解雇予告手当は、解雇通告と同時に支払わなければならないが、解雇予告と解雇予告手当を併用する場合の解雇予告手当は、解雇の日までに支払えば足りる。
答37 〇 なお、解雇予告手当は賃金ではないが、通貨払、直接払の原則は、解雇予告手当にも準用される。(昭和23.3.17基発464号、労働基準法コンメンタール)
【コメント】
つまり、解雇予告手当は、「さようならを言う日」に払えばよいということですね。
問38 法20条に規定する解雇予告義務に反する解雇については、その通知は無効とされる。
答38 × 予告義務に反する解雇については、その通知は即時解雇としては無効であるが、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後所定の30日を経過したとき、又は通知後に所定の予告手当を支払ったときから解雇の効力が生ずると解されている。(最判昭和35.3.11細谷服装事件)
【コメント】
なんとなく「労働者保護」に欠ける判決なので、意外性がありますね。裁判長様の虫の居所が悪かったのかもしれません。
問39 解雇制限期間中の労働者であっても、療養補償を受ける労働者が、療養開始後1年6か月を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合に、使用者が、平均賃金の1,200日分の打切補償を支払う場合は、使用者は当該労働者を解雇することができる。
答39 × 「療養開始後1年6か月を経過しても」ではなく、「療養開始後3年を経過しても」である。(法19条)
【コメント】
「打切補償は、いちに(1,200日)のさん(3年)で」ですね。
問40 日々雇い入れられる者については、法20条に定める解雇予告に関する規定は適用されない。
答40 × 日々雇い入れられる者が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、解雇予告に関する規定が適用される。(法21条)
【コメント】
あちら様が大好きな「解雇予告の適用除外」関連です。選択式にも十分気をつけて。