ステイホームワーク第9回(解答)

労働基準法
●就業規則
問81 使用者は、法89条に規定する事項について就業規則を作成しなければならず、また、常時10人以上の労働者を使用する場合には、それを作成し、又は変更したときは、行政官庁に届け出なければならない。
答81 × 法89条において、就業規則を作成しなければならないとされている使用者は、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」である。(法89条)
【コメント】
就業規則の作成義務が「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に課せられている理由は、「10人未満」であれば、社長の目の届く範囲に入るから(社長曰く、俺がルールブックだ!)だと言われています。

問82 退職金に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項であり、退職金について不支給事由又は減額事由を設ける場合には、就業規則に記載する必要がある。
答82 〇 退職金に関する不支給事由又は減額事由を設ける場合には、相対的必要記載事項である「退職手当の決定及び計算の方法に関する事項」に該当するので、就業規則に記載する必要がある。(法89条、昭和63.1.1基発1号)
【コメント】
これに対して、同じ退職関連でも「退職に関する事項(解雇の事由を含む)」は、絶対的必要記載事項とされていますので、気をつけて!

問83 同一事業場で、法3条(均等待遇)に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えない。
答83 〇 なお、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合わせたものが法89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条の就業規則となるものではない。(平11.3.31基発168号)
【コメント】
実務でも「パート就業規則」や「嘱託就業規則」など雇用形態や就業条件が異なる者について別規則とすることが一般的です。(雇用管理がしやすくなるからです。)

問84 出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない就業規則の定めは、減給の制裁に該当しない。したがって、法91条(制裁規定の制限)の適用はない。
答84 〇 「減給の制裁」とは、実際に労働した対価を減じることであり、設問の場合や、格下げ等の処分も減給の制裁に該当しない。(昭和23.7.3基収2177号)
【コメント】
「減給の制裁」とは、実際に働いた(汗をかいた)分の賃金を減らすことです。設問の者は、冷や汗はかいていると思いますが…

問85 使用者は、就業規則の変更について、当該事業場の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
答85 〇 なお、使用者は、就業規則の作成(又は変更)の届出をなすについて、設問の意見を記した書面(意見書)を添付しなければならないこととされている。(法90条1項)
【コメント】
意見を聴く相手は、過半数労組がある場合は必ず過半数労組、ない場合は労働者の過半数代表者です。

問86 法91条は、就業規則の制裁規定について制限をしているが、この制限は、就業規則の作成及び届出の義務を負う常時10人以上の労働者を使用する使用者が作成する就業規則に限らず、作成義務がない使用者が作成する就業規則にも適用がある。
答86 〇 また、事業場の内規又は不文の慣行に基づいて、法91条の制限を超える減給の制裁を行うことも同条違反となる。(法91条)
【コメント】
「そりゃそーだ」ですね。そうでないと、常時労働者数10人未満の事業所は、減給し放題になってしまいます。

問87 就業規則に添付した意見書の内容が、当該規則に全面的に反対するものであると、特定部分に関して反対するものであるとを問わず、又その反対事由の如何を問わず、その効力の発生についての他の要件を具備する限り、就業規則の効力には影響がない。
答87 〇 「意見を聴く」とは、労働者の団体的意見を求めるという意味であり、同意を得るとか協議を行うことまでは求められていない。(昭和24.3.28基発373号)
【コメント】
就業規則は、本来、使用者が一方的に定めるもの(職場のルールブック)だからです。

問88 減給の制裁は、1回の職場規律違反等の事案に対しては、平均賃金の1日分の半額以内でなければならないが、この場合の平均賃金の算定事由発生日は、減給の制裁の意思表示が相手方の労働者に到達した日である。
答88 〇 当該平均賃金の算定事由発生日は、減給の制裁の意思表示が相手方の労働者に到達した日である。(昭和30.7.19基収5875号)
【コメント】
これも「到達主義」の一つです。

問89 就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する、というのが最高裁判所の判例の考え方である。
答89 〇 また、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておかなければならないこととされている。(最判平成15.10.10フジ興産事件)
【コメント】
従業員の方が見たこともない(社長だけが知っている)就業規則は、単なる「紙切れ」ということです。

問90 使用者は、法令規則等の周知義務を負うが、就業規則については、その要旨を常時各作業場の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により労働者に周知しなければならない。
答90 × 労働基準法及び同法に基づく命令についてはその要旨を周知することをもって足りるが、就業規則(及び労使協定並びに労使委員会)の決議については全文を設問の方法により周知しなければならない。(法106条1項)
【コメント】
「法令」はとても全文なんて周知できません(見たくもありません)が、就業規則、労使協定、労使委員会の決議については、当然、「丸見え食品」になっていなければおかしいですよね。