ミニミニ本試験(第4回解答)
ミニミニ本試験(第4回解答)
【労働基準法】
1.労働者が裁判員の職務を行うことは、法7条の「公の職務」に該当しないため、使用者は、裁判員に任命された労働者が労働時間中にその職務を行うために必要な時間を請求した場合、これを拒むことができる。
× 裁判員の職務は、法7条にいう「公の職務」に含まれる。したがって、使用者は、裁判員に任命された労働者が労働時間中に、その職務を行うために必要な時間を請求した場合、これを拒むことはできない。(法7条、平成17.9.30基発0930006号)
2.減給の制裁の規定における平均賃金については、減給の制裁の意思表示が相手方に到達した日をもって、これを算定すべき事由の発生した日とする。
〇 (法12条1項、昭和30.7.19基収5875号)
3.満60歳以上の者が、ある事業場で3年の期間を定めて労働契約を締結して業務に就いていた場合、その者は、民法628条の規定にかかわらず、労働基準法附則137条の規定に基づき、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
× 設問の規定(1年経過後の解約権の保障)は、「契約期間上限3年」が適用される一般の労働者との有期労働契約に限り適用され、「契約期間上限5年」が適用される高度の専門的知識等を有する労働者及び満60歳以上の労働者との有期労働契約には適用されない。(法附則137条)
4.法38条1項に定める事業場を異にする場合の労働時間の通算については、同一事業主に属する異なった事業場において労働する場合にのみ適用されるものであり、事業主を異にする複数の事業場において労働する場合には適用されない。
× 事業主を異にする複数の事業場において労働する場合も労働時間は通算される。(法38条1項、昭和23.5.14基発769号)
5.使用者は、所定労働時間が6時間である労働者に1時間の所定時間外労働を行わせたときは、少なくとも45分の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
〇 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないとされている。(法34条1項)
6.年次有給休暇に係る「出勤率」を計算するに当たり、法定休日を上回る所定の休日に労働させた場合におけるその日は、全労働日に含まれる。
× 所定の休日に労働させたその日については、出勤率を計算するに当たって、全労働日に含まれない。(法39条1項、平成25.7.10基発0710第3号)
7.使用者は、最低年齢の例外によって使用する児童に、休憩時間を除き、修学時間を通算して、1週間について40時間を超えて、1日について7時間を超えて、労働させてはならない。
〇 なお、修学時間については、当該日の授業開始時刻から同日の最終授業終了時刻までの時間から休憩時間(昼食時間を含む)を除いた時間とされている。(法60条2項、32条読替)
【労働安全衛生法】
8.事業者は、統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者、店社安全衛生管理者又は安全衛生責任者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
〇 (則20条ほか)
9.特定機械等に係る検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、登録性能検査機関が行う性能検査を受けなければならない。
〇 (法41条2項)
10.事業者は、常時使用する労働者(特定業務従事者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、一定の項目について医師による健康診断を行わなければならないが、医師が必要でないと認めるときは、40歳未満の者については腹囲の検査を省略することができる。
× 「40歳未満の者」ではなく、「40歳未満の者(35歳の者を除く。)」である。(則44条、平成22.1.25厚生労働省告示25号)
【労災保険法】
1.心理的負荷による精神障害の認定基準においては、うつ病エピソードを発病した労働者がセクシュアルハラスメントを受けていた場合の心理的負荷の程度の評価は、その労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかで評価される。
× の場合の強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されるものであり、「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似する者をいう。(平成23.12.26基発1226第1号)
2.療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所においてのみ行われる。
× 療養の給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所、薬局若しくは指定訪問看護事業者において行われる。(則11条1項)
3.労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族としない。
× 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって障害補償年金差額一時金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、障害補償年金差額一時金を受けることができる遺族としない。後順位者を故意に死亡させても欠格しない。(法附則58条5項)
4.傷病補償年金の支給事由となる障害の程度は、厚生労働省令の傷病等級表に定められており、厚生労働省令で定める障害等級の第1級から第3級までの障害と均衡したものであって、年金給付の支給日数も同様である。
〇 (法12条の8第3項、18条、則18条、則別表第1、第2)
5.年金たる保険給付を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず、その事由が生じた月の翌月以後の分として減額しない額の年金たる保険給付が支払われたときは、その支払われた年金たる保険給付の当該減額すべきであった部分は、その後に支払うべき年金たる保険給付の内払とみなすことができる。
〇 年金の内払の規定である。(法12条1項)
6.いわゆる第三者行為災害において、保険給付と損害賠償との調整は、「求償」については、災害発生後3年以内に支給事由の生じた保険給付であって、災害発生後3年以内に支払うべきものを限度として行い、「控除」については、災害発生後7年以内に支給事由の生じた保険給付であって、災害発生後7年以内に支払うべきものを限度として行う。
〇 (平成25.3.29基発第329011号)
7.海外派遣者に係る特別加入は、新たに日本国内から派遣される場合にのみ認められ、既に日本国内から外国に派遣されて事業に従事している労働者を特別加入させることはできない。
× 海外派遣者として特別加入できるのは、新たに派遣される者に限らない。したがって、既に海外の事業に派遣されている者を特別加入させることも可能である。ただし、現地採用者は、海外派遣者特別加入制度の趣旨及びその加入の要件からみて、特別加入の資格がないとされている。(昭和52.3.30基発192号)
【労働保険徴収法】
8.林業の事業で、労災保険関係が成立している暫定任意適用事業の事業主が当該事業を廃止した場合には、当該労災保険暫定任意適用事業に係る保険関係の消滅を申請することにより、所轄都道府県労働局長の認可があった日の翌日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が消滅する。
× 保険関係が成立している事業が廃止されたときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅するため、設問の場合、保険関係消滅申請書の提出は不要である。(法5条、整備法8条)
9.労災保険率を決定する際の事業の種類に関し、労働者派遣事業における事業の種類は、派遣労働者の派遣先での作業実態に基づき決定され、必ずしも「その他の各種事業」になるものではない。
〇 なお、派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場合には、主たる作業実態に基づき事業の種類を決定することとし、この場合の主たる作業実態は、それぞれの作業に従事する派遣労働者の数、当該派遣労働者に係る賃金総額等により判断するものとされている。(法12条、昭和61.3.30発労徴41号、基発383号)
10.継続事業の一括の認可があった場合には、雇用保険被保険者資格取得届の所轄公共職業安定所長への提出など雇用保険の被保険者に関する事務については、認可後は、原則として、指定された一の事業で一括して行うこととされている。
× 継続事業の一括の認可があった場合であっても、雇用保険の被保険者に関する届出の事務等は、個々の事業所ごとに行わなければならない。(行政手引22003)
【雇用保険法】
1.事業主は、その雇用する被保険者が育児休業、介護休業又は育児・介護に伴う所定労働時間短縮措置を行った場合であって、当該被保険者が離職し、特定理由離職者又は特定受給資格者として受給資格の決定を受けることとなったときは、当該被保険者が当該離職したことにより被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内に、雇用保険被保険者休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書を所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。
〇 育児休業、介護休業又は育児・介護に伴う勤務時間短縮措置により賃金を喪失又は賃金が低下している期間中に特定理由離職者又は特定受給資格者として受給資格の決定を受けた者については、雇用保険被保険者休業・所定労働時間短縮開始時賃金証明書を提出することによって、休業開始前又は勤務時間短縮開始前の賃金日額により基本手当の日額を決定することとなっている。(則14条の4第1項)
2.受給資格者(口座振込受給資格者を除く。)が疾病、負傷、就職その他やむを得ない理由によって、支給日に管轄公共職業安定所に出頭することができないときは、その代理人が当該受給資格者に支給されるべき基本手当の支給を受けることができる。
〇 なお、代理人は、正当な理由があるときを除き、その資格を証明する書類に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出しなければならない。(則46条1項)
3.離職前から引き続き傷病のために職業に就くことができない状態にある者について、一定の要件を満たす場合には、その者の申出により当該離職に係る受給期間を延長することが可能であるが、当該離職の日までの傷病期間に相当する日数は受給期間の延長の対象とならない。
〇 (法20条1項)
4.通所手当は、受給資格者が、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を行う施設への通所のため、交通機関等を利用する場合や自動車等を使用する場合(徒歩で通所するものとした場合の距離が片道2キロメートル未満のものを除く。)に、一定の上限額の範囲内で支給される。
〇 なお、通所手当の月額は、最高42,500円とされている。(則59条1項、2項)
5.日雇労働求職者給付金の特例給付を受給するためには、日雇労働被保険者が失業した場合において継続する6月間に、当該日雇労働被保険者について、印紙保険料が各月11日分以上、かつ、通算して78日分以上、納付されていることが必要である。
〇 (法53条1項)
6.高年齢再就職給付金の支給を受けることができる者が、同一の就職について再就職手当の支給を受けた場合には、高年齢再就職給付金の支給を受けることはできない。
〇 高年齢再就職給付金と再就職手当は、選択受給とされている。(法62条の2第4項)
7.一般教育訓練に係る教育訓練給付金は、教育訓練給付金の支給対象者が、一般教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合(一般教育訓練修了証明書による証明がされた場合に限る。)において、支給要件期間が2年以上(初めて教育訓練給付金の支給を受ける者については、当分の間、1年以上)であるときに、支給する。
× 「2年以上」ではなく、「3年以上」である。(法60条の2第1項、法附則11条)
【労働保険徴収法】
8.事業主が印紙保険料の納付を怠った場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、その納付すべき印紙保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとされており、この場合、当該事業主は、現金により、日本銀行(本店、支店、代理店及び歳入代理店をいう。)又は所轄都道府県労働局収入官吏に、その納付すべき印紙保険料を納付しなければならない。
〇 認定決定に係る印紙保険料及び追徴金は、現金で日本銀行又は所轄都道府県労働局歳入徴収官に納付しなければならず、雇用保険印紙で納付することはできない。(法25条1項、則38条3項)
9.政府が、保険年度の中途に、一般保険料率、第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率又は第三種特別加入保険料率の引上げを行った場合、所轄都道府県労働協歳入徴収官は、事業主に対して、保険料率の引上げによる概算保険料の増加額等を通知して、追加徴収を行うこととなるが、当該事業主は、通知を発せられた日から起算して50日以内に、その増加額を納付しなければならない。
× 概算保険料の追加徴収の納期限は、「通知を発する日から起算して30日を経過した日」である。(法17条、則26条)
10.事業主が事業を廃止した場合において、既に納付した概算保険料の額が確定保険料の額を超えるときは、当該超える部分については、精算返還金として事業主に還付されることになるが、事業主が還付を受ける権利は民法の規定により5年間行使しなければ、時効によって消滅する。
× 労働保険料その他徴収法の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅する。(法41条1項)
【労働一般】
1.「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」によれば、対価型セクシュアルハラスメントとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じていることであるとされている。
× 「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」によれば、対価型セクシュアルハラスメントとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、当該労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることであるとされている。設問の記述は、「環境型セクシュアルハラスメント」の定義である。(平成28.8.2厚労告314号)
2.育児・介護休業法によれば、1歳未満の子に係る育児休業の申出は、原則として、同一の子について1回に限り行うことができるが、子の出生日から起算して8週間経過日の翌日までの育児休業をした場合は、特段の事情がなくとも、同一の子について、その後2回目の申出が認められる。
〇 いわゆる「パパ休暇」の特例である。なお、設問の特例の対象となるためには、出産後8週間以内に育児休業が終了していることが必要とされ、また、産後休業を取得した労働者にはこの特例は適用されない。(育児・介護休業法5条2項)
3.最低賃金法によれば、労働者に対し、地域別最低賃金を支払わなかった使用者は、30万円以下の罰金に処せられる。
× 「30万円以下」ではなく、「50万円以下」である。(最低賃金法40条)
4.労働施策総合推進法によれば、事業主は、その雇用する労働者の労働時間の短縮その他の労働条件の改善その他の労働者が生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる環境の整備をしなければならない。
× 「環境の整備をしなければならない」ではなく、「環境の整備に努めなければならない」である。(労働施策総合推進法6条1項)
5.労働者派遣法によれば、紹介予定派遣を行うことができる期間は、同一の派遣労働者につき1年以内とされている。
× 「1年以内」ではなく、「6か月以内」である。なお、「紹介予定派遣」とは、労働者派遣のうち、派遣元事業主が労働者派遣の開始前又は開始後に、派遣労働者及び派遣先について、許可を受け又は届出をして職業紹介(派遣労働者・派遣先の間の雇用関係の成立のあっせん)を行い、又は行うことを予定してするものをいう。(労働者派遣法2条)
【社会一般】
6.児童手当法によれば、児童手当は、原則として、毎年1月、5月及び9月の3期に、それぞれの月の前月までの分を支払う。
× 「毎年1月、5月及び9月の3期に、」ではなく、「毎年2月、6月及び10月の3期に、」である。なお、前支払期月に支払うべきであった児童手当又は支給すべき事由が消滅した場合におけるその期の児童手当は、その支払期月でない月であっても支払うものとされている。(児童手当法8条)
7.確定給付企業年金法によれば、確定給付企業年金の給付には、法定給付として老齢給付金及び脱退一時金があり、任意給付として障害給付金及び遺族給付金がある。
〇 なお、事業主又は基金は、脱退一時金を受けるための要件として、規約において、3年を超える加入者期間を定めてはならないこととされている。(確定給付企業年金法29条)
8.確定拠出年金法によれば、企業型年金加入者等に係る運用関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関等は、対象運用方法を10以下で、かつ、3以上で選定し、企業型年金加入者等に提示しなければならない。
× 「10以下で、かつ、3以上」ではなく、「35以下で、かつ、3以上」である。なお、簡易企業型年金にあっては、「35以下で、かつ、2以上」とされている。(確定拠出年金法23条1項、令15条の2)
9.社会保険審査官及び社会保険審査会法によれば、社会保険審査官は、各地方厚生局(地方厚生支局を含む。)に置かれ、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が任命する。また、その定数は、103人とされている。
〇 (社会保険審査官及び社会保険審査会法1条、2条)
10.海外在留邦人等が日本及び外国の年金制度に二重に加入することを防止等することを目的として、平成12年から外国との間で社会保障協定の締結が進められているが、最初の締結国は、イギリスであった。
× 「イギリス」ではなく、「ドイツ」である。
【健康保険法】
1.後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の健康保険の被保険者が寝たきり等になり、当該後期高齢者医療広域連合から政令で定める程度の障害にある旨の認定を受け後期高齢者医療の被保険者となった場合、当該障害状態にある旨の認定を受けた者は、健康保険の被保険者の資格を喪失することとなる。
〇 (法3条1項7号、高齢者医療確保法50条)
2.全国健康保険協会が管掌する健康保険の事業に関する業務のうち、被保険者の資格の取得及び喪失の確認、標準報酬月額及び標準賞与額の決定並びに保険料の徴収(任意継続被保険者に係るものを除く。)並びにこれに附帯する業務は、厚生労働大臣が行う。
〇 なお、任意継続被保険者の保険料の徴収等は、協会が行うこととされている。(法5条2項)
3.定期昇給により基本給は上昇したが、それ以上に残業手当が減少したため、3か月間の報酬総額の平均額が結果として2等級以上下がった場合は、随時改定の対象とならない。
〇 固定的賃金は増加しても、それ以上に残業手当など非固定的賃金が減少したため、3か月間の平均額が結果として2等級以上下がった場合、また、逆に、固定的賃金は減少しても、それ以上に残業手当など非固定的賃金が増加し、3か月間に平均額が2等級以上上がった場合などは、たとえ2等級以上の差を生じても随時改定には該当しないものとして取り扱うこととされている。(43条1項、昭和50.3.29保険発25号)
4.2以上の適用事業所の事業主が同一であって、当該事業主が所定の手続きを経て当該2以上の事業所を一の適用事業所としている場合であっても、一括適用となっている2以上の事業所の従業員である被保険者が都道府県をまたいで転勤したときは、被保険者資格の取得・喪失の手続きが必要である。
× 一括適用となっている2以上の事業所間を従業員である被保険者が異動した場合には、たとえ都道府県をまたいで転勤した場合であっても、被保険者資格の取得・喪失の手続きは不要である。(法34条2項)
5.入院時生活療養費の生活療養標準負担額に係る「境界層該当者」とは、食費及び居住費について、それぞれ1食につき100円、1日につき0円に減額したとすれば、生活保護法の規定による保護を必要としない状態となる者をいう。
〇 (法85条の2第2項、平成29年厚生労働省告示239号)
6.被保険者が私傷病により労務に服することができなくなったため令和4年4月25日から休業し、傷病手当金を請求したが、同年5月20日までは年次有給休暇を取得したため、同年5月21日から傷病手当金が支給された。この場合の傷病手当金の支給期間は、同年4月28日から通算して1年6か月間となる。
× 「支給を始めた日」とは、現実に支給を開始した日であるため、設問の場合の傷病手当金の支給期間は、令和4年5月21日から通算して1年6月間となる。(法99条4項)
7.出産した場合において報酬の全部又は一部を受けることができる者に対しては、これを受けることができる期間は、出産手当金を支給しない。ただし、その受けることができる報酬の額が、出産手当金の額より少ないときは、その差額を支給する。
〇 (法108条2項)
8.被保険者の資格を喪失した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)であった者が、療養のため労務に服していなかったが、在職中は報酬を受けていたため傷病手当金の支給を停止されていた場合、退職して報酬の支払いがなくなったときは、資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けることができる。
〇 資格喪失後の傷病手当金の継続給付を受けるためには、資格喪失日の前日には、傷病手当金の支給を受けているか受け得る(報酬との調整等のためにその支給が停止されている)状態であることが要件とされている。(法104条、昭和27.6.12保文発3367号)
9.介護保険第2号被保険者でない日雇特例被保険者の賞与に係る保険料は、当該賞与額について1,000円未満を切り捨て、40万円を上限とした額に平均保険料率を乗じて得た額を被保険者と事業主が2分の1ずつ負担する。
〇 なお、「平均保険料率」とは、都道府県単位保険料率を加重平均したものをいう。(法168条1項2号、169条)
10.全国健康保険協会が交付する被保険者資格証明書の有効期限は、交付の日から20日以内とし、20日を経過する前においても被保険者が被保険者証を入手した時点で失効するものとされている。
〇 なお、被保険者資格証明書の交付を受けた被保険者は、被保険者証の交付、返付若しくは再交付を受けたとき、又は被保険者資格証明書が有効期限に至ったときは、直ちに、被保険者資格証明書を事業主を経由して厚生労働大臣(日本年金機構)に返納しなければならないこととされている。(則50条の2第1項)
【厚生年金保険法】
1.船員法に規定する船員として船舶所有者に2か月以内の期間を定めて臨時に使用される70歳未満の者は、当該期間を超えて使用されないときは、被保険者とならない。
× 臨時に使用される者であっても、船舶所有者に使用される船員は、当初より被保険者となる。(法12条1号)
2.被保険者の配偶者が出産した場合であっても、所定の要件を満たす被保険者は、厚生年金保険法26条に規定する3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例の申出をすることができる。
〇 3歳に満たない子を養育する被保険者等の標準報酬月額の特例は、性別にかかわりなく適用される。(法26条)
3.厚生年金保険法38条の2に規定される受給権者の申出による年金たる保険給付の支給停止は、その旨の申出を行った日の属する月の翌月分から支給停止となり、また、支給停止の申出を撤回したときは、その旨の申出を行った日の属する月の翌月分から支給が開始される。
〇 (法38条の2)
4.被保険者が船舶に使用され、かつ同時に船舶以外の事業所に使用される場合においては、船舶所有者は保険料を負担せず、保険料納付義務を負わないものとし、船舶所有者以外の事業主が被保険者の保険料の半額を負担し、当該保険料及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負う。
× 被保険者が船舶に使用され、かつ同時に船舶以外の事業所に使用される場合においては、船舶所有者以外の事業主は保険料を負担せず、保険料納付義務を負わないものとし、船舶所有者が被保険者の保険料の半額を負担し、当該保険料及び当該被保険者の負担する保険料を納付する義務を負うものとされている。(法82条3項、令4条4項)
5.特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の計算に用いられる被保険者期間の月数は、昭和21年4月2日以後に生まれた者については、480月が上限とされている。
× 「報酬比例部分の額」ではなく、「定額部分の額」である。(平成16年法附則36条2項)
6.障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日(基準障害による障害厚生年金については基準傷病に係る障害認定日とし、併合認定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日のうちいずれか遅い日とする。)の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。
〇 (法51条)
7.失踪の宣告を受けた被保険者であった者に係る遺族厚生年金は、被保険者であった者が行方不明となった当時、その者に生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹に支給される。
× 「兄弟姉妹」は、遺族厚生年金を受けることができる遺族に含まれない。(法59条1項)
8.日本に短期在留を繰り返す外国人について、脱退一時金の請求回数に関する制限は特に定められていない。
〇 (法附則29条)
9.離婚等をした場合に当事者が行う標準報酬の改定又は決定の請求について、請求すべき按分割合の合意のための協議が調わないときは、当事者の一方の申立てにより、家庭裁判所は当該対象期間における保険料納付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮して、請求すべき按分割合を定めることができる。
〇 (法78条の2第2項)
10.保険料の納付義務者である事業主が国税等の滞納処分を受けるときや強制執行、破産手続開始の決定を受けたとき、或は競売の開始があったときなどは納期前であってもすべて徴収することができるが、この繰上げ徴収する場合には、厚生労働大臣は当該事業主に対してその旨を督促状によって通知しなければならない。
× 保険料の繰上げ徴収を行う場合には、督促は行わない。保険料の繰上げ徴収は、保険料の徴収が不可能となる場合があるため保険料の納期限前に徴収するものであり、滞納には当たらないためである。(法85条、86条)
【国民年金法】
1.第1号被保険者が死亡したときは、戸籍法の規定による届出義務者は、当該事実があった日から14日以内に、その旨を市町村長に届け出なければならない。ただし、厚生労働大臣が住民基本台帳法の規定により機構保存本人確認情報の提供を受けることができる第1号被保険者であって、かつ、死亡の日から14日以内に当該被保険者に係る戸籍法の規定による届出があった場合は、その旨の届出をすることを要しない。
× 設問のただし書きについては、「14日以内」ではなく、「7日以内」である。(法105条4項、則4条3項、4項)
2.偽りその他不正な手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる。また、偽りその他不正な手段により給付を受けた者は、10万円以下の過料に処せられる。
× 偽りその他不正な手段により給付を受けた者は、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。ただし、刑法に正条があるときは、刑法によることとされている。(法23条、111条)
3.第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月以前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間は、老齢基礎年金の合算対象期間に算入される。
× 「20歳に達した日の属する月以前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間」ではなく、「第2号被保険者としての被保険者期間のうち、20歳に達した日の属する月前の期間及び60歳に達した日の属する月以後の期間」である。(昭和60年法附則8条4項)
4.旧国民年金法による障害年金の受給権者に対して、更に障害基礎年金を支給すべき事由が生じた場合には、前後の障害を併合した障害基礎年金が支給されるが、この場合、従前の障害年金の受給権は消滅する。
× 設問の場合、従前の障害年金の受給権は消滅しない。したがって、併合認定による障害基礎年金と旧国民年金法の障害年金を選択受給することになる。(昭和60年法附則26条1項)
5.老齢基礎年金の受給権者(保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者とする。)が死亡したときは、遺族基礎年金の支給要件のうち、保険料納付要件は問われない。
〇 なお、保険料納付要件が問われるのは、「被保険者が、死亡したとき」又は「被保険者であった者であって、日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であるものが、死亡したとき」である。(法37条)
6.夫の死亡により死亡一時金の支給を受ける者が、その死亡により寡婦年金を受けることができるときは、その者の選択により、死亡一時金と寡婦年金とのうち、その一を支給し、他は支給しない。
〇 (法52条の6)
7.保険料の納付受託者は、厚生労働省令で定めるところにより、国民年金保険料納付受託記録簿を備え付けなければならず、当該帳簿をその完結の日から2年間保存しなければならない。
× 「2年間」ではなく、「3年間」である。なお、保険料の納付受託者となることができるのは、①国民年金基金又は国民年金基金連合会、②納付事務を適正かつ確実に実施することができると認められた厚生労働大臣が指定するもの(コンビニエンスストアなど)、③厚生労働大臣に対し、納付事務を行う旨の申出をした市町村(保険料を滞納している者であって市町村から特別の有効期間を定められた国民健康保険の被保険者証の交付を受け、又は受けようとしている者に限る。)である。(法92条の5第1項、則72条の7)
8.被保険者の属する世帯の世帯主及び被保険者の配偶者(当該被保険者と同居している者に限る。)は、被保険者と連帯して保険料を納付する義務を負うこととされている。
× 設問の配偶者には、別居している者を含むこととされている。(法88条2項、3項、昭和35.9.21年国発48号)
9.保険料4分の3免除が受けられる所得基準は、扶養親族等がない場合、保険料を納付することを要しないものとすべき月の属する年の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については、前々年の所得)が78万円以下であるときである。
「78万円以下」ではなく、「88万円以下」である。(法90条の2第1項1号、令6条の8の2)
10.年金給付の受給権者が死亡した場合で、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときに、自己の名で、その未支給年金の支給を請求することができる者は、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であって、当該受給権者の死亡の当時その者により生計を維持されていた者に限られる。
× 「その者により生計を維持されていた者」ではなく、「その者と生計を同じくしていた者」である。(法19条1項)