令和6年度本試験択一式解答・解説(労災保険法・徴収法)
注)この解答・解説は、速報段階のものであり、後日変更する場合があります。また、試験機関による解答について保証するものではありません。
〔問 1〕 正解 A
A × 日常生活上必要な行為として、労災保険法施行規則8条が定めるものに含まれない。設問の行為は、逸脱・中断に該当しない「ささいな行為」に含まれる。(則8条、平成20.4.1基発0401402号)
B 〇 日常生活上必要な行為(日用品の購入その他これに準ずる行為)として、労災保険法施行規則8条が定めるものに含まれる。(則8条1号)
C 〇 日常生活上必要な行為(病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為)として、労災保険法施行規則8条が定めるものに含まれる。(則8条4号)
D 〇 日常生活上必要な行為(職業訓練、学校教育法1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為)として、労災保険法施行規則8条が定めるものに含まれる。(則8条2号)
E 〇 日常生活上必要な行為(要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。))として、労災保険法施行規則8条が定めるものに含まれる。(則8条5号)
〔問 2〕 正解 D
A × 通勤は、一般には労働者が事業主の支配管理下にあると認められる事業場構内に到達した時点で終了するものであるが、設問のようにマイカー通勤者が駐車場に引き返すことは一般的にあり得ることであって、通勤とかけ離れた行為でなく、この場合、いったん事業場構内に入った後であっても、時間の経過もほとんどないことなどから、通勤災害と認められる。(法7条1項3号、2項、昭和49.6.19基収1739号)
B × 配偶者の勤務先で配偶者を下車させて自分の勤務先に向かう経路などは、そのような立場にある労働者であれば、当然、就業のためにとらざるを得ない経路であるので、合理的な経路となり、通勤災害と認められる。(法7条1項3号、2項、昭和49.3.4基収289号)
C × 入院中の配偶者の看護のため労働者が病院に宿泊することは社会慣習上通常行われることであり、かつ、長期間継続して宿泊していた事実があることから、当該病院は労働者にとっての就業のための拠点としての性格を有し、住居となるため、通勤災害と認められる。(法7条1項3号、2項、昭和52.12.23基収981号)
D 〇 設問の場合、事業主の支配管理下において発生した災害であるので、「住居」と「就業の場所」との間の災害(通勤災害)には該当しない。(業務災害となる。)(法7条1項1号、昭和50.12.15基収1724号)
E × 「通勤による疾病」とは、通勤による負傷又は通勤に関連ある諸種の状態(突発的又は異常な出来事等)が原因となって発病したことが医学的に明らかに認められるものをいうが、特に発病の原因となるような通勤による負傷又は通勤に関連する突発的な出来事等が認められない場合における、労働者の通勤途中に発生した急性心不全による死亡については、「通勤に通常伴う危険が具体化したもの」とは認められない。(法7条1項3号、2項、則18条の4、昭和50.6.9基収4039号)
〔問 3〕 正解 C(三つ)
ア × 対象疾病となる精神障害には、頭部外傷等の器質性脳疾患に附随する精神障害、及びアルコールや薬物等による精神障害は含まれていない。(令和5.9.1基発0901第2号)テキストP209、白書・統計冊子P11
イ 〇 (令和5.9.1基発0901第2号)
ウ × 特別な出来事がなくとも、悪化の前に業務による強い心理的負荷が 認められる場合には、当該業務による強い心理的負荷、本人の個体側要因(悪化前の精神障害の状況)と業務以外の心理的負荷、悪化の態様やこれに至る経緯(悪化後の症状やその程度、出来事と悪化との近接性、発病から悪化までの期間など)等を十分に検討し、業務による強い心理的負荷によって精神障害が自然経過を超えて著しく悪化したものと精神医学的に判断されるときには、悪化した部分について業務起因性を認めることとされている。(令和5.9.1基発0901第2号)
エ 〇 (令和5.9.1基発0901第2号)
オ 〇 (令和5.9.1基発0901第2号)
〔問 4〕 正解 D
A 〇 (令和3.3.18基管発0318第1号・基補発0318第6号・基保発0318第1号)
B 〇 (令和3.3.18基管発0318第1号・基補発0318第6号・基保発0318第1号)
C 〇 (令和2.8.21基発0821第2号)
D × 複数事業労働者の疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日において、災害発生事業場を離職している場合の非災害発生事業場に係る平均賃金相当額については、算定事由発生日に当該事業場を離職しているか否かにかかわらず、「遅発性疾病等の診断が確定した日」ではなく、「災害発生事業場を離職した日」から3か月前の日を始期として、災害発生事業場における離職日までの期間中に、非災害発生事業場から賃金を受けている場合は、災害発生事業場を離職した日の直前の賃金締切日以前3か月間に非災害発生事業場において支払われた賃金により算定する。(令和2.8.21基発0821第2号)
E 〇 (令和2.8.21基発0821第2号)
〔問 5〕 正解 C(三つ)
ア 〇 (法16条の4第1項1号)
イ 〇 (法16条の4第1項2号)
ウ 〇 (法16条の4第1項3号)
エ × 当該遺族である子・孫が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときであっても、労働者の死亡当時から引き続き障害等級5級以上等の障害の状態にあるときは、遺族補償年金の受給権は消滅しない。(法16条の4第1項5号)
オ × 当該遺族である兄弟姉妹が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したときであっても、労働者の死亡当時から引き続き障害等級5級以上等の障害の状態にあるときは、遺族補償年金の受給権は消滅しない。(法16条の4第1項5号)
〔問 6〕 正解 C
A 〇 海外派遣者の特別加入については、派遣元の団体又は事業主が、国内において行う事業(事業の期間が予定される事業を除く。)についての労災保険の保険関係に基づき、特別加入の申請をし、政府の承認を受けることによって行う。(法36条1項、昭和52.3.30発労徴21号・基発192号)
B 〇 (法33条1項6号、7号、昭和52.3.30発労徴21号・基発192号)
C × 特別加入者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付が受けられる場合にも、我が国の労災保険給付との間の調整は行う必要がないとされている。(法36条1項、昭和52.3.30発労徴21号・基発192号)
D 〇 海外派遣者としての特別加入している者の災害の業務上外の認定については、国内の労働者の場合に準ずる。したがって、赴任途上及び帰任途上の災害については保険給付は行われない。(法36条1項、昭和52.3.30発労徴21号・基発192号)
E 〇 (法33条1項6号、7号、昭和52.3.30発労徴21号・基発192号)
〔問 7〕 正解 B(アとウ)
ア 〇 労働者が故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。(法12条の2の2第2項)
イ × 設問のような規定は存在しない。なお、労働者を故意に死亡させた者は、遺族補償給付を受けることができる遺族としないこととされている。(法16条の9第1項)
ウ 〇 なお、刑事施設等に拘禁等されている場合(未決拘留等の場合を除く。)に不支給となるのは、保険給付のうち、休業(補償)等給付に限られる。(法14条の2、則12条の4)
エ × 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。(法12条の5第1項)
オ × 偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を「その者」から徴収することができる。なお、この場合において、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行われたものであるときは、政府は、その事業主に対し、保険給付を受けた者と連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができるとされている。(法12条の3第1項)
〔問 8〕 正解 E
A 〇 請負事業の一括が行われるのは、労災保険に係る保険関係についてのみであり、雇用保険の保険関係については、その対象とならない。(法8条1項、則7条)
B 〇 請負事業の一括により、元請負人が事業主とされた場合であっても、労働基準法等の労働関係の当事者として下請負人やその使用する労働者に対して使用者となるわけではない。(法8条1項、則7条)
C 〇 なお、やむを得ない理由により、設問の期限内に当該申請書の提出をすることができなかったときは、期限後であっても提出することができることとされている。(法8条2項、則7条、8条)
D 〇 なお、「やむを得ない理由」とは、天災、不可抗力等の客観的理由の他、事業開始前に請負方式の特殊性から下請負契約が成立しない等の理由をいう。(法8条2項、則8条)
E × 「概算保険料が160万円以上、かつ、請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億8,000万円以上」ではなく、「概算保険料が160万円以上又は請負金額(消費税等相当額を除く。)が1億8,000万円以上」である。(法8条2項、則9条)
〔問 9〕 正解 B
A 〇 口座振替により納付できる労働保険料の範囲は、継続事業(一括有期事業を含む。)及び有期事業に係る本来の概算保険料(延納する場合を含む。)及び本来の確定保険料の不足額である。なお、一般拠出金についても口座振替により納付することができる。(法21条の2第1項、則38条の4)
B × 口座振替により納付することができるのは、納付書によって行われるものに限られる。(Aの解説参照)(法21条の2第1項、則38条の4)
C 〇 (法21条の2第1項、則38条の2)
D 〇 (法21条の2第1項、則38条1項、2項7号)
E 〇 なお、当該保険料の納付に関し必要な事項について金融機関に電磁的記録(情報通信技術活用法に規定する電磁的記録をいう。)を送付したときは、設問の納付書を金融機関に送付することを要しない。(法21条の2第1項、則38条の3)
〔問10〕 正解 D
A 〇 なお、事業主は、代理人を選任し、又は解任したときは、所定の事項を記載した届書により、その旨を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。(則73条)
B 〇 (法42条、則74条)
C 〇 (法41条1項、平成21.2.27基発0227003号、徴収関係事務取扱手引Ⅰ)
D × 確定保険料申告書が法定期限内に提出された場合、時効の起算日は「その提出された日」ではなく、「その提出された日の翌日」である。(法41条1項、平成21.2.27基発0227003号、徴収関係事務取扱手引Ⅰ)
E 〇 政府が行う労働保険料その他徴収法の規定による徴収金の徴収の告知又は督促は、時効の更新の効力を生ずる。(法41条2項)