令和6年度本試験択一式解答・解説(健康保険法)

注)この解答・解説は、速報段階のものであり、後日変更する場合があります。また、試験機関による解答について保証するものではありません。

〔問 1〕 正解 E

A × 全国健康保険協会は、厚生労働大臣から事業年度ごとの業績について評価を受けなければならないが、厚生労働大臣は、当該評価を行ったときは、遅滞なく、全国健康保険協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならないこととされている。(法7条の30)

B × 「その申し出た日の属する月の末日が到来するに至ったときは」ではなく、「その申出が受理された日の属する月の末日が到来するに至ったときは」である。(法38条7号)

C × 「その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1か月を経過した日のいずれか遅い日」ではなく、「その雇用契約が締結されないことが確実になった日又は当該1か月を経過した日のいずれか早い日」である。なお、設問中の「一般労働者派遣事業」は、現行法では「労働者派遣事業」となっている。(法36条2号、則29条1項、平成27.9.30保保発0930第9号)

D × 設問の保険医療機関の指定の取消し後5年を経過しない医療機関に係る再指定の取扱いについては、①人口5万人未満市町村(その指定の取消しにより当該地域が無医地区等となるものに限る。)その他地域医療の確保を図るために再指定をしないと支障が生じると認められる医療機関については、指定取消し後2年未満においても再指定を認めることができるものとされており、また、②不正請求の金額又はその金額及び件数の割合が軽微であると認められる医療機関については、指定取消し後2年以上5年未満で再指定を認めることができるものとされている。(法65条3項1号、平成10.7.27老発485号・保発101号)

E 〇 任意継続被保険者の標準報酬月額は、原則として、①任意継続被保険者が一般の被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額と、②当該被保険者の属する保険者の全被保険者における前年9月30日の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のいずれか少ない額をもって、その者の標準報酬月額とすることとされているが、健康保険組合においては、前記①の額が②の額を超える任意継続被保険者について、規約で定めるところにより、①の額をもってその者の標準報酬月額とすることができる。(法47条2項)

〔問 2〕 正解 B

A 〇 (法3条1項2号ロ、9号、平成24年法附則46条5項、7項、12項、令和4.9.28保険発0928第6号))

B × 厚生労働大臣は、この指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。(法73条)

C 〇 (法151条、152条)

D 〇 (法7条の29第1項~3項)

E 〇 (法173条1項)

〔問 3〕 正解 E(エとオ)

ア 〇 (法53条、26条4項、昭和25.6.21保文発1420号)

イ 〇 具体的には、出産育児一時金又は家族出産育児一時金の支給額の8割に相当する額を限度として、出産費の貸付を受けることができる。(法150条5項、平成13.6.15庁文発1102号)

ウ 〇 適用事業所に該当しなくなった場合の届出規定である。(則20条1項)

エ × 「特例退職被保険者を含む全被保険者」ではなく、「特例退職被保険者以外の全被保険者」である。(法附則3条4項)

オ × 「厚生労働大臣に届け出るものとする」ではなく、「公表するものとする」である。(法160条5項)

〔問 4〕 正解 B

A 〇 (法63条2項、昭和17.1.28社発82号、昭和27.9.29保発56号)

B × 健康保険組合が当該事務を社会保険診療報酬支払基金以外の事業者に委託した場合であっても、公費負担医療に係る診療報酬請求書の審査及び支払に関する事務については、社会保険診療報酬支払基金が取り扱うこととされている。(法76条5項、平成14.12.25保発1225001号)

C 〇 なお、厚生労働大臣は、指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。(法28条1項、令30条)

D 〇 (令24条1項)

E 〇 (法99条2項、則84条の2第1項)

〔問 5〕 正解 E

A 〇 (法120条)

B 〇 なお、「匿名診療等関連情報」とは、診療等関連情報に係る特定の被保険者その他の厚生労働省令で定める者(本人)を識別すること及びその作成に用いる診療等関連情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した診療等関連情報をいう。(法150条の10第1項、令44条の2)

C 〇 (法193条1項、昭和3.7.6保発514号)

D 〇 (法213条の2第2号)

E × 「当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、当該健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときは、被保険者の住所は記載が不要である」との規定は、改正(令和5年12月1日施行)により削除されている。なお、当該被保険者が全国健康保険協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報の提供を受けることができるときは、被保険者の住所は記載が不要である。(法48条、則24条1項9号)

〔問 6〕 正解 D

A × 健康保険組合が管掌する健康保険の一般保険料率の変更における厚生労働大臣の認可の権限は、地方厚生局長に委任されているが、当該変更が健康保険組合の設立、合併又は分割を伴う場合は、その対象から除かれている。(法160条13項、205条1項、則159条1項8号)

B × 定款の変更については、原則として、厚生労働大臣の認可を必要とするが、厚生労働省令で定める事項(事務所の所在地の変更等)については、厚生労働大臣への届出で足りる。(法7条の6第2項、則2条の3第1号)

C × 「使用されるに至った日」とは、事業主と被保険者との間において事実上の使用関係が発生した日をいう。(法35条、昭和3.7.3保発480号)

D 〇 なお、休業手当をもって標準報酬月額の決定を行った後に一時帰休が解消したときは、随時改定の対象とすることとされている。(法41条1項、平成15.2.25保保発0225004号・庁保険発3号)

E × 「全部又は一部」とは、偽りその他不正の行為により受けた分が、その一部であると考えられるので、全部又は一部としたものであって、偽りその他不正の行為によって受けた分はすべてという趣旨である。(法58条1項、昭和32.9.2保発123号)

〔問 7〕 正解 D

A × 健康保険組合は、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額及び介護保険料額の負担の割合を増加することができるが、減少させることはできない。(法162条)

B × 健康保険組合である保険者の開設する病院若しくは診療所又は薬局は、保険医療機関等の指定を受けなければ、当該健康保険組合以外の保険者の被保険者の診療を行うことはできない。(法63条3項3号、昭和32.9.2保険発123号)

C × 被保険者が死亡したときは、民法の規定による相続人が(未支給の)傷病手当金や療養費等の請求権を承継し、受領することとなる。(法61条、昭和2.2.18保理719号)テキストP16

D 〇 (法63条3項、則53条1項3号)

E × 付加給付については、被保険者期間等により支給額又は支給期間に差異が生じるものや特定の医療機関に受診した場合に限り支給するものなど、受給機会の均等を損なうおそれのあるものは行わないこととされている。(法53条、健保組合事業運営基準)

〔問 8〕 正解 B

A × 「督促状の到達の翌日から」ではなく、「納期限の翌日から」である。なお、設問中の「保険者」は、正しくは「保険者等」である。(法181条1項)

B 〇 (法101条、昭和24.3.26保文発523号)

C × 厚生労働大臣は、匿名診療等関連情報を提供しようとする場合には、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。(法150条の2第1項、3項)

D × 全国健康保険協会は、その役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準を定め、これを厚生労働大臣に届け出るとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。(当該基準について、厚生労働大臣の承認を得ることを要しない。)(法7条の35)

E × 義手義足は療養の過程において、その傷病の治療のため必要と認められる場合に療養費として支給する取扱いがなされるが、症状固定後に装着した義肢に要する費用及びその修理に要する費用を療養費として支給することは認められない。(法87条1項、昭和26.5.6保文発1443号)

〔問 9〕 正解 C(三つ)

ア × 設問の規定(指定更新申請のみなし)は、病院や病床を有する診療所については、適用されない。(法68条)

イ 〇 (法65条1項、3項1号、67条)

ウ × 設問のような規定はない。保険医又は保険薬剤師の登録は、登録の抹消又は取消しがない限り、その効力を失うことはない。(法64条)

エ 〇 (法89条1項、2項)

オ 〇 (法92条3項)

〔問10〕 正解 D

A × 出産手当金の支給について、「出産日の前日まで引き続き1年以上の被保険者期間があること」とする要件は付されていない。したがって、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。(法102条1項)

B × 扶養の事実は、被扶養者となった当時(設問の場合、失業した当時)の状況によって被扶養者となるかを決定することとなるため、被扶養者となることができる。(法3条7項、昭和23.11.17保文発781号)

C × 設問の場合、育児休業等開始日の属する月(令和5年10月)と育児休業等終了日の翌日が属する月(令和6年1月)とが異なるため、保険料の免除期間は、育児休業等を開始した日の属する月(令和5年10月)から育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月(令和5年12月)までの月となる。したがって、令和6年1月分の保険料は免除されない。(徴収される。)(法159条1項1号)

D 〇 被保険者丙は、令和6年4月15日からいわゆる「4分の3基準」を満たすこととなったため、同日付けで健康保険の被保険者の資格を取得する。(法3条1項9号)

E × 設問の適用事業所については、国又は地方公共団体の当該適用事業所を除くこととされている。また、「一般の被保険者とは異なる短時間被保険者」という用語はない。(平成24年法附則46条1項、5項、則23条の3の3、令和4.9.28保保発第5号・6号)