週間「超ミニ本試験」第9回/②解答・解説
1.被災労働者は、災害発生当日、午前の勤務を終了し、平常どおり会社から約30メートルの距離にある自宅で昼食をすませたのち12時50分頃、午後の勤務に就くため自宅を出て徒歩で会社に向かったが、自宅横の路地から県道へ出たとき、突然県道脇に駐車中のトラックの陰から跳び出した野犬に右下腿部を咬みつかれ、負傷したものである。本件は、通勤災害と認められる。
〇 本件災害は、その発生原因に関し、被災労働者の積極的な恣意行為が認められず、また、通勤経路に内在すると認められる危険(野犬に咬まれる危険)が具体化したものであり、通勤との間に相当因果関係が認められる。(昭和53.5.20基収1172号)テキストP205~206
2.二次健康診断等給付の範囲は、二次健康診断及び特定保健指導とされているが、二次健康診断は1年度につき1回、特定保健指導は二次健康診断ごとに1回とされている。
〇 したがって、同一年度内に1人の労働者に対して2回以上の定期健康診断等を実施している事業場であっても、一次健康診断において給付対象所見が認められる場合に当該年度内に1回に限り支給することとされている。(法26条2項)テキストP252
3.労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者のみ、遺族補償年金を受けることができる遺族とされない。
× 労働者の死亡前に、当該労働者の死亡によって遺族補償年金を受けることができる先順位又は同順位の遺族となるべき者を故意に死亡させた者は、遺族補償年金を受けることができる遺族としない。(法16条の9)テキストP241
「船頭(先・同)さんを」「殺しちゃダメよ」(だって、舟を漕い(故意)でるんだもん)
4.休業補償給付は、業務上の事由による傷病の療養のため労働することができないために賃金を受けない場合に支給されるものであるから、労働契約の期間満了等により労働関係が消滅した後においても、当該傷病による療養のため労働することができないために賃金を受けない状態である限り、支給される。
〇 保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない。(法12条の5第1項)テキストP256
5.療養補償給付を受けようとする者は、療養の給付又は療養の費用の支給のいずれについても、所定の請求書を当該療養に係る病院若しくは診療所、薬局又は訪問看護事業者を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
× 療養の給付については、所定の請求書を、指定病院等を経由して、所轄労働基準監督署長に提出しなければならないが、療養の費用の支給については、所定の請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(則12条、12条の2)テキストP223~224
6.精神障害の認定基準においては、発症前おおむね6か月の間の出来事について評価の対象とすることから、いじめを繰り返し受け続けて9か月あまりでうつ病エピソードを発病した場合、6か月より前の出来事については、評価の対象とならないとしている。
× いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるものについては、発病の6か月前よりも前に開始されている場合でも、発病前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を評価の対象とすることとされている。(心理的負荷による精神障害の認定基準(令和5.9.1基発0901第2号))テキストP208
7.国内において事業を行う中小事業主が、海外派遣者の特別加入に係る政府の承認を受けるためには、当該中小事業主は、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託しなければならない。
× 中小事業主等の特別加入については、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託するものであることを要件とされているが、海外派遣者についてはそのような要件はない。(法33条1項6号、7号)テキストP279、281
8.概算保険料申告書については、一元適用事業所であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業の一般保険料に係るもの(保険関係成立届に併せて健康保険法及び厚生年金保険法の新規適用事業所の届出又は雇用保険の事業所の設置の届出をしようとする場合に限る。)は、年金事務所、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して、所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することができる。
× 労働保険事務組合に労働保険の事務の処理を委託している事業については、設問の場合であっても年金事務所、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長を経由して概算保険料申告書を提出することはできない。(則38条2項1号)テキストP410~411
9.労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することができる事業主の地域的範囲について、特に制限は設けられていない。
〇 (法33条1項)テキストP432
10.当初、独立の有期事業として保険関係が成立した事業が、その後、事業の規模が変動し有期事業の一括のための要件を満たすに至った場合は、その時点から有期事業の一括の対象事業とされる。
× 当初、独立の有期事業として保険関係が成立した事業については、その後事業規模の変更等により一括要件に該当した場合であっても、一括の対象とはならない。(昭和40.7.31基発901号)テキストP391~392