週間「超ミニ本試験」第9回/⑥解答・解説
1.加給年金額の対象となる配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けている場合であっても、当該配偶者に係る加給年金額は支給停止されない。
〇 加給年金額の加算対象となっている配偶者が、繰上げ支給の老齢基礎年金の支給を受けている場合であっても、他の支給停止事由に該当しない限り、配偶者が65歳になるまで加給年金額が加算される。なお、一定の場合、配偶者が65歳に達したときは、当該配偶者の老齢基礎年金に振替加算が行われることになる。(法46条6項)テキストP292~293
2.遺族厚生年金及び遺族厚生年金と同一の支給事由に基づく遺族基礎年金の受給権を取得した妻について、当該受給権の取得から1年後に子の死亡により当該遺族基礎年金の受給権が消滅した場合であって、当該消滅した日において妻が30歳に到達する日前であった場合は、当該遺族厚生年金の受給権を取得した日から起算して5年を経過したときに、当該遺族厚生年金の受給権は消滅する。
× 「当該遺族厚生年金の受給権を取得した日」ではなく、「当該遺族基礎年金の受給権が消滅した日」である。(法63条1項)テキストP320~321
3.離婚時みなし被保険者期間は、特別支給の老齢厚生年金において、報酬比例部分の額の計算の基礎となる被保険者期間には算入されるが、定額部分の額の計算の基礎となる被保険者期間には算入されない。
〇 なお、離婚時みなし被保険者期間に限らず、特別支給の老齢厚生年金において合意分割の影響を受けるのは、報酬比例部分に限られる。3号分割においても同様である。(法78条の11、法附則17条の10)テキストP329
4.在職老齢年金の受給者が、令和7年5月31日付けで退職し、かつ被保険者となることなくして被保険者の資格を喪失した日から起算して1か月を経過した場合、当該被保険者資格を喪失した月前における被保険者であった期間を老齢厚生年金の額の計算の基礎とするものとし、令和7年7月から年金額が改定される。
× 設問の場合、退職日(令和7年5月31日)から起算して1か月を経過した日(同年6月30日)の属する月(同年6月)から、いわゆる退職時改定により年金額が改定される。(法43条3項)テキストP290
5.障害厚生年金の額については、当該障害厚生年金の支給事由となった障害に係る障害認定日(基準障害による障害厚生年金については基準傷病に係る障害認定日とし、併合認定による障害厚生年金については併合されたそれぞれの障害に係る障害認定日のうちいずれか遅い日とする。)の属する月後における被保険者であった期間は、その計算の基礎としない。
〇 設問のとおり、障害認定日の属する月までの被保険者であった期間を障害厚生年金の額の計算の基礎とすることとされている。(法51条)テキストP306
6.実施機関は、いわゆる定時決定の規定により、毎年4月から6月までの報酬を算定の基礎としてその年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定するが、随時改定の規定により6月から8月までのいずれかの月から標準報酬月額が改定され、又は改定されるべき被保険者については、その年に限り定時決定の規定を適用しない。
× 「6月から8月まで」ではなく、「7月から9月まで」である。なお、育児休業等終了時改定及び産前産後終了時改定の規定により7月から9月までのいずれか月から標準報酬月額が改定され、又は改定されるべき被保険者についても同様である。(法21条3項)テキストP47
「資格取って空(6月1日から7月1日まで)しい」「海底(改定)で泣く(7月から9月まで)」
7.厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経る前であっても、提起することができる。
× 厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する社会保険審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。いわゆる不服申立て前置の対象となっている。(法附則29条6項)テキストP346~347
8.障害手当金の受給要件に該当する者が、当該障害手当金に係る障害の程度を定めるべき日において、同一の傷病について労働者災害補償保険法の規定による障害補償給付を受ける権利を有する場合、その者には障害手当金が支給されない。
〇 障害の程度を定めるべき日において、同一の傷病について、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法、労働基準法の障害補償、労働者災害補償保険法の障害補償給付等を受ける権利を有する者には、障害手当金は支給されない。(法56条)テキストP311
9.現物給与の価額の取扱いにおいて、派遣労働者であって派遣元と派遣先の事業所が所在する都道府県が異なる場合は、派遣元事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用する。
〇 現物給与の価額の適用に当たっては、被保険者の勤務地(被保険者が常時勤務する場所)が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することを原則としているが、派遣労働者については、派遣元事業所が所在する都道府県の現物給与の価額を適用することとしている。(法25条、平成25.2.4保保発0204第1号)テキストP44
「現(現物給与)と」「元(派遣元)」
10.60歳台前半の在職老齢年金の受給権者であって、雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給を受けることができる者は、当該老齢厚生年金について、在職老齢年金制度の仕組みによる支給停止に加え、最大で標準報酬月額の100分の4に相当する額が支給停止となる。
〇 具体的には、受給権者の標準報酬月額が雇用保険のみなし賃金日額に30を乗じて得た額の100分の64に相当する額未満であるときに、当該受給権者の標準報酬月額に100分の4(最大の支給停止率)を乗じて得た額が支給停止されることになる。(法附則11条の6)テキストP299
「天使(10:4)のテーゼ」