週間「超ミニ本試験」第10回/②解答・解説

1.労働者が、就業に関し、自宅と就業の場所との間を往復するに際し、通勤に必要な合理的な経路を逸脱した場合であっても、日常生活上必要な行為を行うためにやむを得ない理由があれば、当該逸脱の間に生じた事故についても保険給付の対象となる。

× 通勤移動に係る逸脱・中断が日常生活上必要な行為であって最小限度のものである場合は、その後の往復については通勤とすることとしている。逸脱・中断中はいかなる場合であっても通勤としない。(法7条3項)テキストP213~214

2.一次健康診断の結果その他の事情により既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる者は、二次健康診断等給付を受けることができない。

〇 二次健康診断等給付は、あくまでも過労死等の「予防給付」であるため、既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる者については、行われない。(法26条1項)テキストP252~253

3.業務上の負傷により全部休業している労働者に対して、事業主が休業中の生計を補助するため給付基礎日額の100分の60未満の金額を支払っている場合は、給付基礎日額(最高限度額を給付基礎日額とすることとされている場合にあっては、その適用がないものとした場合における給付基礎日額)から事業主が支払った金額を差し引いた額の100分の60に相当する額の休業補償給付が支給される。

× 所定労働時間の全部について労働不能(いわゆる全部休業)である場合は、金額を全く受けないか、平均賃金の60%未満の金額しか受けない日を「賃金を受けない日」として取り扱うこととされている。なお、平均賃金の60%以上の金額を事業主から受領すると「労働基準法の休業補償(平均賃金の60%)」を受けているものとみなされるため、「労災保険法の休業補償給付」は支給されない。(法14条1項、昭和40.9.15基災発14号)テキストP225

4.遺族補償年金の受給権者である被災労働者の子で、被災労働者の死亡当時12歳であって厚生労働省令で定める障害の状態になかった者が、17歳のときに厚生労働省令で定める程度の障害の状態になったときは、18歳に達する日以後の最初の3月31日を経過しても、当該障害の状態が続いている限り、引き続き遺族補償年金が支給される。

× 遺族補償年金の受給資格として要求されている年齢要件や障害要件は、あくまでも労働者の死亡当時に満たしていなければならず、設問の被災労働者の子は、18歳に達する日以後の最初の3月31日に失権することとなる。(法16条の2第1項)テキストP242~243

5.精神障害の認定基準においては、例えば対象疾病の発症直前の1か月間におおむね160時間を超える時間外労働を行った場合には、当該極度の長時間労働に従事したことのみで心理的負荷の総合基準を「強」と判断するとしている。

〇 なお、設問のほかに恒常的な長時間労働が認められる場合の総合評価を「強」と判断する例として、下記のものが挙げられている。

・発症直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働を行った場合

・発症直前の2か月間連続して1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働を行った場合

・発症直前の3か月間連続して1月当たりおおむね100時間以上の時間外労働を行った場合

(心理的負荷による精神障害の認定基準(令和5.9.1基発0901第2号))テキストP208

6.休業補償給付を受ける労働者が同一の事由について厚生年金保険法の規定による障害厚生年金又は国民年金法の規定による障害基礎年金(同法30条の4に規定する障害基礎年金を除く。)を受けることができるときは、その額が調整されて減額されることとなる。

〇 休業補償給付についても社会保険との調整の対象となり、傷病補償年金の調整率を乗じて得た額が支給される(法14条2項、法別表第1、令2条、4条、6条)テキストP261~262

7.一人親方等の特別加入者のうち、漁船による水産動植物の採捕の事業に従事する者は、通勤災害に関する労災保険の保険給付を受けることができない。

〇 ①個人タクシー業者、個人貨物運送業者、自転車配達員、②乗船漁師(設問の者)、③指定農業機械作業従事者、④特定農作業従事者、⑤家内労働者等については、住居と就業の場所との間の往復の実態がはっきりしないため、通勤災害に関する保険給付は行われない。(法35条1項、則46条の22の2)テキストP282

8.雇用保険の適用事業が雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき任意加入の認可があったものとみなす。

〇 雇用保険の適用事業が雇用保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、自動的に任意加入の認可があったものとみなすこととされている。なお、任意加入の認可があったものとみなされる事業を擬制的任意適用事業という。(法附則2条4項)テキストP389

9.不動産業を主たる事業とする事業主であり、常時使用する労働者が50人を超える場合、事務組合に労働保険事務の処理を委託することはできない。

〇 (法33条、則62条2項)テキストP432

10.建設の事業のうち、有期事業の一括が行われるのは、事業主が同一人であって、それぞれの事業の規模が、概算保険料に相当する額が160万円未満又は請負金額が1億8,000万円未満の場合である。

× 建設の事業のうち、有期事業の一括が行われるのは、事業主が同一人であって、それぞれの事業の規模が、概算保険料に相当する額が160万円未満かつ請負金額が1億8,000万円未満の場合である。なお、立木の伐採の事業のうちで、有期事業の一括が行われるのは、事業主が同一人であって、それぞれの事業の規模が、概算保険料に相当する額が160万円未満かつ素材の見込生産量が1,000立方メートル未満の場合である。(法7条5号、則6条1項)テキストP391

「みかみ(未満・かつ・未満)」さん