社会保険労務士試験「プチ講座」
みなさん、こんにちは。本日は予定を変更して「平成27年度本試験の結果発表」についてお話ししたいと思います。
ご承知の方も多いかと思いますが、結果発表を受けて受験界に激震が走りました。
その理由は、「2.9%!」前代未聞の合格率です。(ちなみに前年度は9.3%でした。)
社労士試験は、昔からセブンイレブンの(合格率7%~11%の範囲で合格者数を調整する)試験と言われていました。(この枠を外れて、平成25年度に5.4%となったことはありましたが、これは選択式の難易度が極端に高かったことによるものです。)
必然ですが、合格者数も前年度の4,156人から1,051人に激減しています。
これは明らかに意図的なものであると考えざるを得ません。何故ならば、社労士試験の合格基準点は毎年異なり(絶対的合格基準点は存在せず)、科目別に設定されている「選択式3点」、「択一式4点」の最低基準点も、ほぼ毎年度難易度によって補正する(下げる)方法を取っているからです。
つまり、今年度も選択式4科目について行われた最低基準点の補正を更に下げる或いは他の科目にも範囲を広げることで、難なくセブンイレブンをキープできたにもかかわらず、あえてそれをしなかったということは、まず「合格率2~3%」ありきだったことが容易に想像できます。
その理由は現時点では全くもって定かではありませんが、「社労士が補佐人として司法の場に出ることができるようになったため、司法書士試験と同等の合格率にしなければならない」、「社労士の数が増えすぎているので、しばらく合格者数を調整しなければならない」、「記述式を復活するために(採点に手間がかかるので)受験者数を減らさなければならない」などという憶測が飛んでいます。
来年度の受験を目指している方は、この「2.6%」に決して怯んではなりません。今年度の合格基準点(択一式45点、選択式21点)は、過去の合格基準点に比べて特に高くなっているわけではありません。また、全体として見れば問題の難易度も平均的なものでした。もちろん、今年度の受験者のレベルが低かったなどということは絶対にあり得ません。
では何故合格者数が少なかったのか、今年度の試験問題の中でその原因は次の3つにあると思います。
1つめは、択一式に「長文問題」が多かったことです。平均的な択一式問題冊子は56ページといわれていますが、今年度は64ページ!でした。これによって思わぬタイムスケジュールの狂い(あせり)が出たこと、頭のスタミナを思いのほか奪われてしまったことで、多くの受験生が得点が伸びなかった(普段の実力が出せなかった)ものと考えられます。
2つめは、選択式の労災保険法の問題(細則と判例からの出題であまり見かけないパターンの問題)で躓いてしまったことです。多くの受験生が2点止まりだったにもかかわらず、補正(2点救済)が行われませんでした。
3つめは、選択式の労働一般の問題(誰もが予想だにし得ない「調査もの」からの出題)で足元をすくわれてしまったことです。補正(2点救済)が行われましたが、多くの受験生が1点止まりでした。
この「3つのケース」への対策をしっかり打つことが来年度の試験に向けて必須の課題となります。具体的は方法については、機会を改めてお話ししたいと思います。