平成28年度社会保険労務士試験(選択式・社会保険法関係)講評
5 社会保険に関する一般常識(3点は得点可能)
(1)A、B(健康保険法の沿革)
Aはテキストベースの知識ではあるが、やや難問であった。Bについては、平成21年度健康保険法の択一式で出題実績もあり、易しかったかと思う。
(2)C(児童手当法第12条第1項)
未支払の児童手当からの出題である。目が行き届いていない箇所ではあるが、児童手当の支給要件児童が「15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童」であることを思い出せば、比較的容易に解答することができたかと思う。
(3)D、E(国民健康保険法第9条第3項、第6項)
D、Eは国民健康保険法における基本事項(択一式論点)であるため、比較的易しかったと思う。
6 健康保険法(3点は得点可能)
(1)A、B(令第41条第1項)
70歳未満の高額療養費に係る高額療養費算定基準額は記憶必須事項であるため、A、Bについては必ず得点しなければならない問題である。ただし、Aは252,600円を0.3で除したものであることを知っていれば、A、Bについて容易に解答することができる。
(2)C(令第42条第1項)
A、Bに関連する高額療養費多数該当に係る高額療養費算定基準額からの出題である。覚えておくべき数字ではあるが、やや難しかったかと思う。
(3)D、E(法第88条第2項、第3項)
Dは覚えているところではないが、選択肢を見れば自然に選ぶことができたかと思う。Eについては、入院時食事療養費など他の給付についても規定されており、また、日本の医療制度の大きな特徴であるフリーアクセスを表す部分でもあるため、基本事項といえる。
7 厚生年金保険法(3~4点は得点可能)
(1)A、B、C(法第46条第1項)
いわゆる高在老の仕組みについての条文問題である。決して易しくはないが、すべて基本用語であるため、2箇所は正解したい。
(2)D、E(法第79条)
いわゆる付帯事業の条文問題である。平成23年度国民年金法の選択式で同様箇所の出題実績があり、よもや再度の出題があるとは予想されていなかったところではあるが、Eは択一式の論点でもあるため、解答出来た方が多かったと思う。
8.国民年金法(3~4点は得点可能)
(1)A、B(法第1条)
目的条文からの出題であり、比較的易しかったと思う。
(2)C(法第90条の3、平成26.3.31厚労告第91号)
いわゆる学生免除に係る遡及免除期間についての問いかけである。近年の改正事項で、法定免除以外の他の免除にも共通の規定であり、なおかつ、選択肢にも紛らわしいものがないため、易しい問題であった。
(3)D、E(法第109条の5第1項、則第105条、106条第2項)
財務大臣への権限の委任からの出題である。改正事項として選択式に出題されることが十分予想されていた箇所であったため、比較的易しかったと思う。