択一式定番問題第2回
第2回は、「労災保険法(21問)」と「労働保険徴収法(9問)」です。前回同様、すべて「誤り」の問題(過去問ベースの問題)です。
●労災保険法
問1 通勤による疾病とは、通勤途上で生じた疾病その他厚生労働省令で定める疾病をいう。
答1 「通勤による疾病」は、厚生労働省令で定めるものに限られており、厚生労働省令では、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」と規定している。(キーン(起因)、キーン(起因)とくるのがツーキーン(通勤)ですね。)よって、「通勤途上で生じた疾病」であっても、「通勤による負傷に起因する疾病その他通勤に起因することの明らかな疾病」でない場合は、「通勤による疾病」に該当しない。
問2 休業補償給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、四半期ごとの毎月勤労統計における労働者1人当たり平均給与額が100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合には、その上昇し、又は低下した四半期の翌四半期から、その上昇し、又は低下した比率を乗じてスライドされた額となる。
答2 「翌四半期から」ではなく、「翌々四半期から」である。(給付基礎日額、よくよく見てね。です。)
問3 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
答3 給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする。(数ある「端数処理」のキングオブキングスです。試験会場に必ず持っていってください。)
問4 労働基準法12条の平均賃金相当額が年齢階層別の最高限度額を超えるため、当該最高限度額が年金に係る給付基礎日額とされた場合における給付基礎日額のスライドは、当該最高限度額にスライド率を乗じることにより行う。
答4 年齢階層別の最低・最高限度額との大小の比較は、スライド制の適用がある場合には、スライド率を乗じた後に行う。(「スベリこんでハマリこむ」ですね。スライド制を適用した後に年齢階層別最低・最高限度額を適用します。)
問5 給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害若しくは死亡の原因である事故の発生した日とされる。
答5 平均賃金を算定すべき事由の発生した日とは、業務上の事由又は通勤による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって疾病の発生が確定した日とされている。(負傷、死亡は、事故発生日。疾病は診断確定日。2つに分かれるところがポイントです。)
問6 特別加入者に対して支給する年金たる保険給付の給付基礎日額については、年齢階層別の最低・最高限度額の適用がある。
答6 特別加入者に対して支給する年金たる保険給付の給付基礎日額については、あらかじめ給付基礎日額に最低額(3,500円(家内労働者等については、2,000円)と最高額(25,000円)が設定されているため、年齢階層別の最低・最高限度額の適用はない。(特別加入者は、産交(35)バスで日光(250)に行くからですね。)
問7 療養補償給付を受けようとする者は、療養の給付又は療養の費用の支給のいずれについても、所定の請求書を当該療養に係る病院若しくは診療所、薬局又は訪問看護事業者を経由して所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
答7 療養補償給付たる「療養の費用の支給」を受けようとする者は、必要事項を記載した請求書を、直接、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。(治療を受けた病院等が指定病院等であるかどうかによって、分かれますね。)
問8 療養の給付の範囲は、(1)診察、(2)薬剤又は治療材料の支給、(3)処置、手術その他の治療、(4)居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、(5)病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護、(6)移送のほか、政府が療養上相当と認めるものに限られる。
答8 療養の給付の範囲は、設問の(1)~(6)「のうち政府が必要と認めるもの」に限られる。(病院等が必要以上の治療行為(保険給付の無駄遣い)をしないように、政府が釘を刺しているということです。)
問9 休業補償給付と傷病補償年金については併給が可能であるが、療養補償給付と傷病補償年金については併給ができない。
答9 休業補償給付と傷病補償年金は代替給付の関係にあり、併給することはできない。また、療養補償給付と傷病補償年金は併給が可能である。(そんなバナナジュースの問題ですね。)
問10 傷病補償年金は、当該傷病に係る療養の開始後1年6か月を経過した日以後において当該傷病が治っておらず、かつ、当該傷病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当する場合に、請求に基づき支給される。
答10 傷病補償年金は、他の保険給付と異なり労働者の請求に基づき支給決定されるのではなく、所轄労働基準監督署長の職権により支給決定される。(とにかく、傷病補償年金に「請求」という言葉はありません。鹿児島のラーメン屋さんと一緒(食券スタイル)です。)
問11 障害補償一時金の支給を受けた労働者の当該障害の程度が自然経過により増進し、新たに第7級以上の障害等級に該当するに至った場合には、当該障害等級に応ずる障害補償年金が支給される。
答11 設問の障害等級の変更(自然的経過による変更)が行われるのは、障害補償年金の受給権者に限られる。(定番の引っ掛け問題です。)
問12 介護補償給付は月を単位として支給されることとされており、常時介護を要する被災労働者については、その月に費用を支出して介護を受けた日がある場合、最高限度額を上限として、その費用として支出された額が支給されるが、その額については、親族又はこれに準ずる者による介護を受けたことがないときであっても、最低保障額が適用される。
答12 親族又はこれに準ずる者による介護を受けたことがなければ、最低保障額は適用されない。(なお、親族等介護が行われた場合であっても、初月については、最低保障額は適用されないことにも注意してください。)
問13 遺族補償給付を受けることができる配偶者には「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」も含まれるが、これは、あくまで婚姻の届出が法律上可能な状態にあった者に限られるのであって、いわゆる重婚的内縁関係にあった者は含まれない。
答13 重婚的内縁関係にあった者については、届出による婚姻関係がその実態を失って形骸化し、かつ、その状態が固定化して近い将来解消される見込みがなかった場合に限って、事実上の婚姻関係にある者を配偶者として認めるものとされている。(いわゆる「愛人問題!?」です。)
問14 業務上死亡した労働者の子で労働者の死亡の当時16歳であったものが遺族補償年金を支給されることになり、17歳のとき障害等級第4級の障害の状態になって18歳に達した日以後最初の3月31日が終了した場合、その障害の状態が続いているときは、その子は引き続き遺族補償年金を支給される。
答14 遺族補償年金の受給権者・受給資格者となるための年齢要件や障害要件、あるいは生計維持要件などは、いずれも「労働者の死亡当時」それらに該当していたことを要するため、設問の場合、18歳に達した日以後最初の3月31日が終了したときに失権することになる。(国民年金や厚生年金保険と異なり、いわゆる「後から障害」は受給権等の延長の対象となりません。)
問15 遺族補償年金を受けることができることとなった者が、その後その祖父の養子となった場合には、遺族補償年金を受ける権利は消滅する。
答15 遺族補償年金の失権事由とされているのは、「直系血族又は直系姻族以外の者」の養子となったときである。祖父は直系血族であるから、その養子となった場合は失権しない。(「チョクチョク意外なよう子さん」のときに、消えてしまう(失権)ですね。」
問16 遺族補償年金を受けることができる遺族の要件としての「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」ことが認められるためには、単に労働者と生計を一にしていただけでは足りず、労働者の収入によって消費生活の大部分を営んでいたことが必要である。
答16 「労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた」とは、もっぱら又は主として労働者の収入によって生計を維持されていることを要せず、労働者の収入によって生計の一部を維持されていれば足りる。したがって、いわゆる共稼ぎもこれに含まれるとされている。(一家の大黒柱でなくとも(私のような爪楊枝でも)、生計を維持していた者と認められるということですね。)
問17 遺族補償一時金が支給される場合において、その労働者の死亡の当時満20歳でその収入により生計を維持されていた妹と当時満70歳でその収入により生計を維持されていなかった祖母が遺族として残されているときは、妹が遺族補償一時金の受給権者となる。
答17 兄弟姉妹は、生計維持の有無を問わず最後順位であるため、設問の場合は、祖母が遺族補償一時金の受給権者となる。
【遺族補償一時金の受給資格者の優先順位】
(1)配偶者
(2)生計維持関係のあった子、父母、孫、祖父母
(3)生計維持関係がなかった子、父母、孫及び兄弟姉妹
問18 葬祭料を受ける権利の時効は、葬祭が行われた日の翌日から進行する。
答18 「葬祭が行われた日の翌日」ではなく、「労働者が死亡した日の翌日」である。(葬祭料は、「葬祭を行う者」に支給される(行ったかどうかは問わない)からですね。)
問19 二次健康診断等給付は、社会復帰促進等事業として設置された病院若しくは診療所又は都道府県労働局長の指定する病院若しくは診療所において行われるが、その請求は、一次健康診断の結果を知った日から3か月以内に行わなければならない。
答19 二次健康診断等給付の請求は、「一次健康診断を受けた日から」3か月以内(天災その他請求をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。)に行わなければならない。(二次健康診断等給付の時効(2年)の起算日は、「一次健康診断の結果を了知し得る日の翌日」となっているので、気をつけてください。)
問20 外国の事業場で勤務する労働者に係る特別加入は、新たに日本国内から派遣される場合にのみ認められ、既に日本国内から外国に派遣されて事業に就業している労働者を特別加入させることはできない。
答20 すでに海外の事業に派遣されている者を特別加入させることも可能である。ただし、現地採用者は、(例え日本人であっても)海外派遣者特別加入制度の趣旨及び加入の要件からみて、特別加入の資格はない。(この人は、派遣されて来た人ではないからです。)
問21 船舶が沈没した際にその船舶に乗っていた労働者の死亡が3か月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族補償給付の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没した日に当該労働者は死亡したものとみなされる。
答21 「死亡したものとみなされる」ではなく、「死亡したものと推定する」である。(カモメのすいてい(水兵)さんです。)
●労働保険徴収法
問22 雇用保険に係る保険関係が成立している雇用保険暫定任意適用事業の事業主が、当該保険関係の消滅の申請をし、厚生労働大臣の認可があった日の翌日に、その事業についての当該保険関係が消滅する。この場合において、当該申請書には、その事業に使用される労働者の2分の1以上の同意を得たことを証明することができる書類を添付する必要がある。
答22 「2分の1以上の同意」ではなく、「4分の3以上の同意」である。なお、労災保険に係る保険関係が成立している労災保険暫定任意適用事業の保険関係の消滅申請の場合は、その事業に使用される労働者の「過半数」の同意が必要とされている。(いわゆる「比較論点」ですね。)
問23 法39条1項においては、「国、都道府県及び市町村の行う事業その他厚生労働省令で定める事業については、当該事業を労災保険に係る保険関係及び雇用保険に係る保険関係ごとに別箇の事業とみなしてこの法律を適用する。」とされている。
答23 国の行う事業は、労災保険に係る保険関係が成立する余地がないため、二元適用事業とされていない。二元適用事業は、(1)都道府県及び市町村の行う事業、(2)都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業、(3)港湾運送法に規定する港湾運送の行為を行う事業、(4)農林水産の事業、(5)建設の事業に限られる。(逃げろ(二元)トシコ(都道府県、市町村、港湾運送)ノリスケ(農林水産、建設)ですね。)
問24 船舶製造の事業が数次の請負によって行われる場合には、徴収法の適用については、それらの事業は一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる。
答24 請負事業の一括は、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち「建設の事業」が、数次の請負により行われる場合に法律上当然に行われる。
問25 数次の請負によって行われる事業が一の事業とみなされ、元請負人のみが当該事業の事業主とされる場合においても、下請負人の申請に基づき厚生労働大臣が適当と認めたときは、元請負人の諾否にかかわらず、当該下請負に係る事業については、当該下請負人が元請負人とみなされる。
答25 請負事業の一括が行われる場合であっても、下請負事業の請負金額が1億8千万円以上であるとき、又は、概算保険料額が160万円以上であるときは、「元請負人及び下請負人が共同で」、下請負人を事業主とする認可申請書を提出し、その認可を受けることにより、下請負人をその請負に係る事業の事業主とすることができる。
問26 請負事業の一括が行われている事業において、下請負人をその請負に係る事業の事業主とする厚生労働大臣の認可を受けるためには、当該下請負人の請負に係る事業の概算保険料が160万円以上、かつ、請負金額が1億8千万円以上であることを要する。
答26 下請負事業の分離の要件は、概算保険料が160万円以上「又は」1億8千万円以上であることを要する。(「イマイとミカミの法則」ですね。徴収法上「以上▲以上」とあれば、▲は「又は」「未満△未満」とあれば、△は「かつ」です。(この法則は、徴収法しか使えません。)
問27 継続事業の一括の認可を受けた指定事業の事業主は、その指定事業の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、遅滞なく、継続被一括事業名称・所在地変更届を指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
問27 指定事業の事業主は、その指定事業の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、「変更を生じた日の翌日から起算して10日以内」に、「名称、所在地等変更届」を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出しなければならない。なお、「指定事業以外の事業」の名称又は当該事業の行われる場所に変更があったときは、「遅滞なく」、継続被一括事業名称・所在地変更届を、指定事業に係る所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
問28 政府は、事業主が概算保険料申告書を所定の期限までに提出しないとき、又は概算保険料申告書の記載に誤りがあると認めるときは、当該労働保険料の額を決定し、これを事業主に通知することとなるが、事業主は、その通知を受けた日から30日以内に納入告知書により納付しなければならない。
答28 「30日以内」ではなく、「15日以内」である。また、「納入告知書」ではなく、「納付書」である。(認定決定は、悪いことをしたので、いーこ(15日)にしてないと。「コラッ!の告知書、のんきな納付書」 「労働保険料の納付様式」原則として、納付書だが、納期限から遅れて支払うようなものは納入告知書(ただし、概算保険料の認定決定については、納付書であることに注意!してください。)
問29 増加概算保険料の納付の要件に該当するに至っている場合であって、事業主が増加概算保険料申告書を提出しないとき、又はその申告書の記載に誤りがあると認められるときは、所轄都道府県労働局歳入徴収官は増加概算保険料の額を決定し、これを当該事業主に通知しなければならない。
答29 増加概算保険料については政府の認定決定は行われない。(こちらから言わない限り、「増加」したことは分からないからですね。)
問30 雇用保険に係る一般保険料の額の免除の対象となる高年齢労働者とは、保険年度の4月1日において65歳以上である労働者をいう。
答30 「65歳以上」ではなく、「64歳以上」である。また、短期雇用特例被保険者及び日雇労働被保険者については、対象とならない。(「明太子(免除対象高年齢労働者)、虫(64)が入っていたのでマケて(免除して)もらった、またこよう(雇用保険)っと」ですね。)