平成28年度社会保険労務士試験(択一式)講評
1 総評
昨年度に比べると長文問題は少なかったが、個数問題が7問(昨年度は3問)あり、総合的な難易度としては、ほぼ同じレベルかと思う。
問題内容としては、易しい問題と難しい問題の二極化が顕著になっており、すべての問題に正面から取り組んだ方にとっては、後半の疲労度がかなり高かったと思う。
合格基準点としては、7%前後の合格率であれば「44点」を予想するが、昨年同様3%を割りこむ場合は、「48点」が安全圏かと思う。また、難問が一定の科目に偏っていなかったため、科目別の救済はないと思う。
当たり前のことではあるが、出題ミスがなかったことは良かったと思う。
2 科目別講評
(1)労働基準法及び労働安全衛生法
労働基準法は、非常に基本的な論点の問題が多く、6点は得点可能であった。逆に労働安全衛生法は難問ばかり(問8と問10は超がつく難問)で無得点の方も多いのではないかと思う。
したがって、この科目は最低6点を確保。
(2)労災保険法(徴収法含む)
労災保険法の問2、3、6、7は過去問ベースの問題であり、しっかり得点したい。徴収法については、満点も可能であるが、問8と問10をしっかり取っておきたい。
したがって、この科目も最低6点を確保。
(3)雇用保険法(徴収法含む)
雇用保険法の問1、2、4、7は過去問ベースの問題であり、しっかり得点したい。徴収法については、問8と問9を落ち着いて取っておきたい。
したがって、この科目も最低6点を確保。
(4)一般常識
労一については、労働経済(問4と問5)は相変わらず難しい問題であった。問2は易しかったので、これと問1または問3のいずれかを得点したいところ。
社一については、法令問題である問6~8の3問は得点可能。問9と問10は決して難しい題材ではないが、正確な知識で対応出来た方は少なかったのではないかと思う。
したがって、この科目は最低5点を確保。
(5)健康保険法
問5~9の5問は過去問ベースの問題であり、しっかり得点したい。残りの問題は細かい部分の問いかけも入り込んでいたため、2つに絞り込んだ後に迷ってしまった方も多いのではないかと思うが、何とか2点は取りたい。
したがって、この科目は最低7点を確保。
(6)厚生年金保険法
これといった難問がなく、改正論点も多く含まれていたため、解き疲れを考慮しても7点は得点可能かと思う。
したがって、この科目も最低7点を確保。
(7)国民年金法
問3と問5と問7は必ず得点したいところ。問8は、Aが誤りであることにすぐ気がつけば、問9を解くエネルギーが残ったかと思うが、そうでなければ両問とも落としてしまった方が多いのではないかと思う。問10は決して難しい問題ではないが、頭の中が朦朧としてしまい解けなかった方もいるのではないかと思う。
したがって、この科目は最低5点を確保。